ライナス帝国は個性豊かだ。(ラルフリード視点)
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その日、精霊たちによってある一報が届けられた。
『愛し子が闇の聖獣様と遊んでいるよー!』
ついに、ネマが闇の聖獣がいる場所へたどり着いたね。
もう少し時間がかかるかと思ったけど、どんな環境でもネマはじっとしていられないみたいだ。
ネマがさらわれた先、イクゥ国の城の一角でそれを見つけたとき、僕は思った。
ネマは本当に愛し子なんだなと。
◆◆◆
ディーの力で、獣王様が仰っていた尖塔の中を映すと、そこにはディーにそっくりな存在があった。
「闇の聖獣……。まさか、こちらにいたとは……」
セリューノス陛下もたいそう驚かれている。
「まぁ!本当にディーと色が違うだけなのね」
カーナは好奇心の方が勝つのか、闇の聖獣の姿に釘づけになっている。
「あの魔法陣はなんでしょうか?見たことのない構造ですわ」
カーナに言われて、闇の聖獣の周りにある魔法陣に目をこらす。
……カーナはこれで魔法構造を読み取れたの!?
目をこらして見ても、魔法陣に描かれた文様は小さくて、僕にはなんの魔法なのかも読み取れなかった。
ディーにお願いして、魔法陣をよく見えるようにしてもらう。
そのとき、光景の中の闇の聖獣と目が合った気がした。
「ゼアチル、お前はわかるか?」
「申し訳ございません。わたくしにもわかりかねます」
「ふむ……。精霊よ、マロウにここへ来るよう伝えてくれ」
誰か詳しい人を呼ぶようだ。
セリューノス陛下の方を気にしていたら、やたらとディーの尻尾が腕に当たるようになった。
『ラルフ!ラルフ!闇さんとお話できた!』
「……えっ?」
ディーはよほど嬉しいのか、尻尾だけでなく、耳まで動いている。
「ディー、お話ってどういうことかな?」
精霊が闇の聖獣の声を届けた様子はなかったし、闇の聖獣の鳴き声が聞こえたなんてこともない。
『ぼくのこと、歓迎してくれた!』
尻尾の動きが激しくなる。
周りからの視線を感じるけど、まずはディーからしっかり聞き出さないと。
「闇の聖獣様から話しかけられたの?」
『そうだよ。ちょっとびっくりしたけど、影を通して声を届けているんだって教えてくれた』
影?闇の聖獣の能力を使って、声を届けたということかな?
そのことをみんなに伝えると、陛下だけが納得した表情を見せた。
「条件はあるが、ユーシェも距離関係なく声を届けることができる」
陛下の物言いから、かなり限られた使い方しかできないのだろう。
その条件を満たしていても、精霊に頼む方が早いんじゃないかな?
「闇の聖獣と会話ができるのであれば、ネフェルティマ嬢救出の助力を願えるのではないか?」
闇の聖獣の能力は、ほとんどわかっていない。
でも、ネマと連絡を取り合えるようになれば、救出も迅速に行えると思う。
ディーから声を届ける方法はわからないと言うので、まずはお話がしたいということを精霊に届けてもらった。
少しして、闇の聖獣から声が届いたのか、ディーが首を傾げたと思ったら、何度か頷く。
『ちょっと明るくするね』
たったそれだけの説明だったけど、すぐにディーの角が光り始め、ディーの影が濃くなる。
濃い影は伸びていき、壁に映し出された光景と重なった。
ディーの影なはずなのに、違和感を覚える。
すると、影の一部が細く長く、生き物のように蠢き始めた。
『契約者たちよ、私に何用だ?』
蠢く影は文字を形取り、意味のある文章となった。
「こちらの声は聞こえているのだろうか?誰にも聞かれたくないので、精霊を介したくはないのだが……」
『光のこわっぱの影を通して空間を繋げているので、聞こえておるよ。精霊どもに聞かれたくないのであれば、追い出せばよい』
光のこわっぱって、ディーのことだよね?
まぁ、ディーは聖獣に成ったばかりだから、他の聖獣たちからしたら子供みたいなものなのかもしれないけど。
『闇様、酷い!』
『この前もマロウから追い出されたのに!』
『そうだそうだ!ぼくたちはゼンリョーな精霊なのに』
以前にも追い出されたことがあるのか、精霊たちがいつもより激しく不満を表す。
「まもなく、精霊を弾く術を使える者がこちらに来るので、話はそれからにしよう」
『精霊を弾く……魔族の者が皇帝に仕えているのか。面白い。その魔族とも話がしたいぞ』
精霊たちが嫌だ嫌だと騒ぐ中、闇の聖獣が紡ぐ文字はどこか楽しそうに見えた。
これから来るという魔族について、どの種族か、いつからいるのかなど、陛下に問いかける。
他者に対して、こんなに積極的な聖獣も珍しいんじゃないかな?
陛下と闇の聖獣、声と文字。そんな奇妙なお二人の会話を聞いていると、マロウという人物がどんな方なのか、朧げながらにわかってきた。
魔族はエルフ族と同じように長寿種なので、何代もの皇帝に竜医として仕えてきたとか、セリューノス陛下にとっては幼馴染みのような気の置けない存在だとか。
それに、獣王様の洗脳を解いた方が、竜医長のマロウ殿だとヴィルから聞いていた。
「マロウ殿って、ネマとウルクがお世話になっている竜医長殿のことだよね?」
側に控えるパウルに、そっと確認する。
「竜医長はマロウ様で間違いございません。しかし、魔族であることは、わたくしも存じ上げませんでした」
ネマに近づく者は、パウルたち使用人がしっかりと調べており、竜医長のマロウ殿は陛下だけでなく、他の皇族方や総帥閣下からも信を置かれている人物だとあった。
ネマの手紙には、竜医長さんは恥ずかしがり屋さんだけど、竜種が大好きな人で、博識で、たぶん鳥の獣人さんといった内容が書かれていたことを思い出す。
考えてみれば、竜種を本能的に怖がる獣人が、竜種を診られるわけがない。
魔族の中には翼を持つ者もいるそうだから、ネマの勘違いだったということだね。
マロウ殿が魔族だと知ったら、ネマはさぞ驚くだろうな。
そんなネマの姿を見るためにも、怪我一つなくネマを助け出さないといけない。
『マロウ来たよー』
『すごく文句言ってる〜』
マロウ殿の様子がお気に召したのか、精霊たちが楽しそうに笑いながら告げる。
そして、扉を叩く音がした。
「マロウか。入れ」
陛下が入室の許可を出すと、頭まで外套をかぶった人物がぬっと現れた。
なるほど。ネマが鳥の獣人だと勘違いするのも納得がいく。
彼の背中には、明らかに翼だとわかる膨らみがあるからね。
「………………」
「緊急だ。ネフェルティマ嬢がさらわれた件は、お前も精霊から聞かされているだろう?」
「…………」
ネマとヴィルが言っていたのはこれか。
マロウ殿は人との交流が苦手なようで、とても声が小さいそうだ。だから、会話をする際は、彼の声を精霊に届けてもらわないといけないと。
セリューノス陛下はネマに似ているなと感じた。
相手に一癖も二癖もあろうが、関わりたいと思った者には手段を問わないようなところが特に。
手紙の内容からして、ネマもマロウ殿の変わったところなど気にせず、積極的に関わろうとしていたんだろうね。
ネマを助けるためだと陛下が告げると、マロウ殿は呼び出された不満をのみ込んでくれた。
「早速だが、この部屋から精霊を除いてくれるか?」
陛下がそう告げるやいなや、精霊たちがいっせいに文句を口にする。
そして、多くの精霊が追い出されたくないと、陛下とマロウ殿の体にしがみついた。
とても微笑ましい光景だけど、精霊たちがいると困るのも事実だ。
ネマを救出するための詳細を相手に知られるわけにはいかないからね。
ネマが命名したプシュー作戦では、聖主が精霊と意思疎通できることを知らなかったし、関係者のほとんどが名に誓っていることもあり、情報漏洩はそこまで懸念材料ではなかった。
それに、この場には国を代表する立場の面々がいる。
彼らが名に誓うと、それ自体が彼らの弱点となってしまう。
我が国の王太子はそんなこと知るかと言わんばかりに、誓っていたりするけどね。
まぁ、よほどの場合はラースが諌めているはずだから、今のところ問題は起きていない。
「みんなにも、ネマを助ける手伝いをお願いしたいんだけど、それをこれから陛下たちと相談するんだよ」
僕がそう語りかけると、興味を惹かれた精霊たちが近寄ってくる。
『お手伝い?』
『何をすればいいのー?』
『それを今から決めるって言ってるんだよ』
『じゃあ、わたしたちがいてもいいじゃない!』
水の精霊は気遣わしげな様子で僕を見つめ、風の精霊はやる気十分で、土の精霊は風の精霊を落ち着かせようとして、火の精霊が土の精霊にくってかかった。
「でも、内容はみんなには教えられないな」
『ケチー!』
『なんでよ!!』
風の精霊と火の精霊が、頬を膨らませて怒る。
「お手伝いするときの楽しみが減るからね」
僕の言葉に、精霊たちは大きな目を輝かせた。
『楽しみが減るのはだめだね』
『そうね。楽しいことが一番だもの!』
精霊たちはそう納得して部屋を出ていく。
陛下たちにしがみついていた子たちも、楽しいことが待っているならと、渋々受け入れてくれた。
「精霊たちを従わせるとは恐れ入った」
陛下のお言葉に恐縮しながらも、僕は兄だからと返す。
「妹たちのおかげです」
「……お兄様。それだと、わたくしたちがお兄様にわがままばかり言っているようではないですか!」
恥ずかしさからか、カーナが顔を赤くして詰め寄ってきた。
「うん?弟妹にわがままを言ってもらえるのは、兄姉の役得だよ?」
ともに育つ兄弟の関係性は、両親よりも近いものだと僕は思っている。
両親に言わず僕にわがままを言うってことは、両親より気兼ねしない存在で、甘えられるってことだし。
だから、もっと甘えていいんだよという気持ちを込めて、カーナの頭を撫でた。
ライナス帝国では、ネマの姉としてだいぶ気を張っていただろうからね。
精霊たちは自主的に出ていってくれたものの、念のためにとマロウ殿が精霊を弾く術を使用した。
珍しい魔法にカーナの目が輝いているけど、なんとか我慢しているようだ。
「闇の聖獣よ、お待たせした」
『よい。光の契約者も、なかなか面白そうな小僧じゃないか。これなら、光のこわっぱも安心だな』
ディーががうっと返事をした。僕のことを褒められて嬉しがっている。
「早速だがマロウ。闇の聖獣の足元の魔法陣が何かわかるか?」
「……………………」
陛下が思わずといった様子で、片手で顔を隠す。
精霊がいないので、マロウ殿の声が聞こえないことに今気づいたらしい。
少しの間、沈黙が支配する。
「もしよろしければ、僕が拡声の魔法を使いましょうか?」
黙っていては話を進められないので、マロウ殿に声を大きくする魔法を使うことを提案した。
この部屋にいる人物で、風属性を持つのは僕とジョッシュだけだと思われる。
陛下とゼアチル閣下は外見通りな水属性で、カーナは火、パウルは土と水だ。獣王様はわからないが、獣人であることからして魔法は得意ではないだろう。
ジョッシュも拡声の魔法を使えるが、マロウ殿の身分を考慮すると、僕がやった方が体裁的にもいい。
「頼めるかい?」
「もちろんです」
陛下からお許しをいただいたので、マロウ殿に魔法をかける。
これで、聞こえる程度にはなるはずだ。
陛下がマロウ殿に何かしゃべってみろと促す。
「セリューはぼくへの思いやりを学ぶべきだ」
「うん、十分聞こえるね」
マロウ殿の苦言を、陛下はあっさりと無視した。
お二人の間には、長年培ってきたであろう信頼が見える。
……僕とヴィルもはたから見たらあんなふうなのかな?
だったらいいなと少し思った。
「では、先ほどの答えを聞こう。あの魔法陣はなんだ?」
「今の魔法ではないよ。ある属性の効果を無効化する術だ。とは言っても、あれは機能していないけどね」
マロウ殿の発言に、カーナが小さく悲鳴をあげる。歓喜の悲鳴だ。
落ち着くようにと、カーナの手を握る。
カーナは僕の意図を理解し、深呼吸をして気持ちを整えた。
「魔法とマロウの言う術、どう違う?」
「ほんと、人はすぐ忘れる」
そう言って、マロウ殿が語ったのは、大変興味深いものだった。
その昔、多くの魔族がラーシア大陸で暮らしていた頃、彼らが使う魔法は魔術と呼ばれていた。
厳密に言えば、魔法と魔術は異なるが、いつしか魔法を使う者も魔術師と呼ばれるようになる。
魔法とは、魔力を使う方法であり、そこに魔力以外の干渉はない。
しかし、術と呼ばれているものは、魔力以外の力が必要となるらしい。
「その魔力以外の力、そのほとんどが精霊の力の残滓だ。精霊が現象を起こすと、その精霊の力は霧散して世界に溶け込む。やがてそれは小さな塊となり、新たな精霊が生まれる。つまり、精霊の力とは、創造主の力の一種であると考えられているんだ」
精霊も聖獣も、創造神様のお力で生まれると言われている。
それならば、女神様のお力を借りる治癒魔法も同じじゃないのかな?
「では、本来は治癒魔法も術だということですか?」
僕が疑問に感じたことを尋ねてみた。
「そうだよ。だから、治癒術師と呼ばれているんだ。まぁ、魔族も魔術を使う者は稀になっているから、区別する必要はなくなっているのかもしれないけど」
魔族は、精霊の力を魔力と混ぜ合わせて使うことに長けているが、今は魔力だけを使う魔法を使用しているらしい。
理由は、魔法の方が簡単だからと。
「魔術は効果が大きいぶん、準備が面倒だし、手軽に使えるものじゃない。魔法の方がパパッとできていいよね」
マロウ殿はそう言うが、魔法だって大がかりなものは詠唱が長くなったり、魔法陣を設置したりと手間はかかるんだけどな。
もしかしたら、魔族の魔力量を以てすれば、転移魔法を魔法陣なしで発動できるのかもしれない。
「それで、あの魔法陣だけど、指定した属性を背叛する属性で打ち消すものだ。指定されているのはたぶん闇属性」
「なぜ機能していないんだ?」
「精霊には、闇も光もいないだろう?」
陛下の問いに、マロウ殿は当たり前なことを聞くなと言わんばかりに返す。
光も闇も、属性で言うなら創造神様の力になるので、打ち消せるものはないらしい。
強いて言えば、女神様のお力で多少抑えこめる程度だと。
「では、闇の聖獣の意思であそこに留まっているということか?」
「そういうことだね」
さすがに意味がわからなかったのか、陛下は闇の聖獣に直接問うことにした。
すると、返ってきた文字は『カルムが面白い人物だから』と。
「カルム……カルム・アスディロン。聖主か」
まさか闇の聖獣の契約者は聖主なのかと、誰もが落ち着きをなくす。
しかし、それを否定したのも闇の聖獣であった。
「契約者ではないのに、ついていったと?」
『そうだ』
聖獣の感性は人が推し量れるものではないけど、それでも闇の聖獣は他の聖獣と違うみたいだ。
「……ユーシェが、闇の聖獣は物好きだと」
聖獣に年齢があるのかわからないけど、ユーシェ様はディーの次に若い。
そんなユーシェ様が闇の聖獣について知っているのであれば、聖獣の中では常識として知られていることなのかも。
『そんなことを言うのは風竜の奴か地虎の奴だな?あやつらの方こそ変わり者だろうに』
おそらく、お互い自分はまともだと思っているから、認識に齟齬が出ているのだろう。
ラース殿やユーシェ様からみたら、闇の聖獣も挙げられた風竜や地虎も、変わっていると思っているんじゃないかな?
「では、愛し子がそちらに捕えられているのは知っているな?」
『あぁ。精霊が騒いでおったからな』
闇の聖獣によると、ネマの側から弾かれた精霊たちが、闇の聖獣に助けを求めたようだ。
愛し子の側に行けるようにして欲しいと。
ネマを助けて欲しいではないのが、なんとも精霊らしいね。
「して、我々は愛し子を助けたい。しかし、我々の動きは精霊を通じて敵に伝わってしまう。そこで、闇の力を借りたい」
『お前たちを闇で覆い隠せということか?』
「やはり、空間を繋いだということは、闇の中でなら隔離もできるということだな?」
闇の聖獣は、短く是と返してきた。
陛下は、闇の聖獣の一言で、闇の聖獣が持つ能力をある程度理解したようだ。
「……それなら、ネフェルティマ嬢の方がよいだろう」
陛下が語った救出方法は、僕たちが動くというより、ネマの行動力が重要となるようなものだった。
◆◆◆
精霊からもたらされた一報を、僕は急いで父上に報告した。
「そうか……。私はまだ動けそうにない。ラルフに一任することになるが、できるな?」
父上の顔が険しくなる。
ネマのために自分が動きたいのに、僕に任せるしかできなくて相当悔しいみたいだ。
今の状況を作り出した犯人に対して、心の中で恨みつらみを唱えているに違いない。
「はい」
父上はその状況を収拾させるために、ここ数日、ずっと王宮に詰めている。
ネマがさらわれたと聞いて、父上はすぐにライナス帝国へ向かおうとしていた。
しかし、見計らったかのように、情報部隊より緊急事態が報告された。
イクゥ国との国境で戦闘の気配ありと。
父上はそれを片付けてから向かうつもりで、代わりに僕を送ったんだ。カーナのことが心配だったからね。
結局、父上は一度もライナス帝国へ行けてはいない。
国境の問題だけでなく、今、ガシェ王国では各所で暴動が起きているからだ。
暴動自体は小規模のものがほとんどだが、その暴動を起こしている者たちが洗脳された庶民とあっては、父上も職務を放り出すことはできなかったのだろう。
精霊が洗脳された者を判別できることがわかり、現在はヴィルを筆頭に、ライナス帝国軍のエルフたちやディルタ領に住むエルフたちの助けを借りて、事前に暴動を抑えるよう動いている。
さらに、ミルマ国により洗脳を解く魔道具と洗脳魔法に詳しい者を派遣してもらい、洗脳された者たちへの治療も対処していた。
「それにしても、聖主は本当に創造神を降臨させるつもりなのか?」
「ヴィルが言うには、その可能性が高いだろうと……」
聖主がいつ、そう考えるにいたったかはわからない。
ネマが、愛し子が生まれたことを知ったときなのか、創聖教に入り込んだときなのか、それとも闇の聖獣を捕らえたときか。
「ネマは愛し子ゆえか、そういったものを惹き寄せてしまうからなぁ……」
父上はそう呟いて、深いため息を吐く。
そういったものには、聖主だけでなく、聖獣や竜種なども含まれているようだ。
「だからこそ、ネマはオスフェに生まれてきてくれたんですよ、父上」
ディーが宝物を守るために僕と契約したように、創造神様も宝物を守るためにオスフェを選んでくださったんだと思う。
「そうだな。ラルフ、ネマを頼んだよ」
「お任せください。では、行ってまいります」
宰相の執務室をあとにして、転移魔法陣の間へと急ぐ。
年末年始は毎日更新やります!




