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陛下からの報告がやばかった!

みんな忙しいみたいで、特にお兄ちゃんとヴィは王宮にいないときの方が多かった。

ギィの本を読まされた次の日も、ヴィはどこかに行ってたようだし。

そういう私も、今日はお姉ちゃんと一緒に王様からお呼びがかかっている。

あちらでの生活のこととか聞かれるのかなぁって気楽にいたんだけど、連れていかれた先が予想外でびっくり!


「ここって……」


王様の侍従が案内してくれたのは、貴賓室の中でも最上クラスの部屋だ。

普段は施錠されていて、王宮どこでもフリーパスを持っている私でも、南棟の侍女頭か王家の侍従長の許可がないと立ち入れない。

なぜこんなところに?と不思議に思ったが、貴賓室にいた面々を見て超納得!


「へいかにルイ様!そうすいさんもいっしょって、何かあったんですか!?」


こんな顔ぶれが揃っているということは……三人が避難してきたとか?

それくらい大ごとがライナス帝国で起きている!?

お姉ちゃんも私と同じように感じたのか、繋いだ手を強く握った。


「いや、ある程度片づいたから、ガルディーに説明するついでに君たちにも聞いてもらおうと思ってね」


……ガルディーって誰だっけ?あ、王様か!

呼び捨てにできるくらい二人は仲良しってこと?

陛下に座るよう勧められたので、遠慮なくお姉ちゃんとソファーに座る。

王様が来るまで、ガシェ王国に戻ってどんなふうに過ごしていたかを聞かれた。

私は家族だけでなく、お家の使用人やプルーマとも再会できたこと、竜舎や獣舎に遊びにいったこと、そこで竜舎の長ギゼルとウルクがやり合ったことなどを、身振り手振りを交えて話す。


「ほぅ。リンドブルムとムシュフシュの戦いか。それはさぞ見応えがあっただろう」


怪獣特撮映画より迫力が凄かったよ!

お姉ちゃんもこちらに戻ってきてから、趣味を満喫している。

さすがに魔法の実験とかはやっていないけど、オスフェ家の私設魔術研究所の副所長たちと抱えている案件のチェックをしたり、王立魔術研究所の研究員たちと意見交換をしたりと、魔法三昧だ。


「それでようやく名称が決まったのです!」


お姉ちゃんが意気揚々と告げると、陛下もルイさんも興味津々といった様子で耳を傾ける。

ちなみに総帥さんは興味なさそうにしているね。


「我が家の研究員たちがたくさん案を出してくれた中から『魔動列車』という名称になりましたわ」


そう。なんの名称を決めていたのかというと、トロッコもどきのだ。

ロスラン計画は当初、ヘリオス領のみでの内容だった。

たまたまラグヴィズたちドワーフと知り合い、彼らを保護する必要が出てきたので、ロスラン計画の拡張を表向きの理由とした。

トロッコもどきはドワーフたちの移動手段として、彼らが使っていた魔法をヒントに私が提案したもの。

トロッコもどきの主だった権利はオスフェ家が管理しているけど、開発研究はオスフェ家の私設研究所とライナス帝国の合同で行われている。

今までは発案のきっかけとなったドワーフにちなんで、トロッコもどきの開発計画をドワーフ計画と呼んでいた。

しかし、正式名称はオスフェ家がつけると決まっていたらしく、オスフェの研究員たちで候補を吟味し、二つに絞ってお姉ちゃんへ提出された。

そのうちの一つが魔動列車だ。

意味は、魔力で動く馬のない馬車の車列だとか。

もう一つは線車(・・)

意味は、線の上を走る馬のない馬車を略したもの。

私も人のことは言えないけど、他にもっとなかったの?って聞いたら、移送箱とか乗合籠とか、箱や籠を意味するものが多かったそうだ。

この二つが特に支持されたのは、魔動列車ってなんか格好よくない?いやいや、線車も響きがいいよ!と研究員たちが盛り上がったかららしい。

私も何か名前の案、出せばよかった!


「魔動列車かぁ。なんか格好いいね」


ルイさんは研究員たちと感性が似ているのか、名称を気に入ったようだ。


「お披露目に間に合ってよかった」


陛下はなかなか決まらないことにやきもきしていたのかな?

どこかほっとした様子を見せている。


お姉ちゃんは他にも、開発中のあれやこれの話をして、陛下たちが興味を示したらすかさず売り込んでいた。

お姉ちゃんが、私設研究所(うち)に出資しませんかなんて言い出さないか、ひやひやしたよ。

私設研究所の運営は、ほとんどお姉ちゃんが任されているからね。

本格的な商談へと発展する前に、王様の到着が告げられ安堵した。


「待たせたね」


私とお姉ちゃんは立ち上がって礼を執る。

すぐに楽にするよう言われ、気さくに話しかけてくる王様。

お姉ちゃんに美人になったねとか、私を見て、気持ち大きくなったなって。

王様が親戚のおじさん化してる!あと、気持ち大きくなったってどういうこと?そういう親戚のおじさんフィルターがかかってる?

私、まだ成長していないから……。くぅ、涙が出てくるぜ。


「父上、ネマは大きくなっておりません」


「……ヴィル、本当のことを言ってはネマが可哀想だろう」


この親子は!!本人の前でズバズバ言うんじゃない!


「すぐにヴィより大きくなるもん!」


ヴィの成長はあと数年で止まるはず。身長が伸びたとしても、その数年でちょっとだけだと思う。

それに私はこれからどかんと成長する予定だ。

パパンとママンの子供だし、一七〇センチは超えるだろう。


「どうだろうな?」


そう鼻で笑うヴィ。


「私は、おかあ様みたいなすらりとした美人になるの!」


ママンやお姉ちゃんの足元にはおよばないだろうが、上の下……いや、中の上くらいの美人に育つのではないかと予想している。

私の宣言を聞いて、ヴィと王様が声を出して笑う。笑い方もそっくりだな、この親子!


「うんうん。ネマはセルリアに似た美人になれるさ」


王様はそう言ってくれた。

陛下とルイさんに目をやると、二人とも肩を震わせながら笑うのを堪えている模様。


「ネマちゃんはどちらかというと、可愛いまま大人になると思うよ?」


「おとう様とおかあ様の子供なのに?」


私がそう言うと、ルイさんは考え込んでしまった。

パパンもママンも、可愛い系ではないからね。

その子供であるお兄ちゃんは美麗系のイケメンだし、お姉ちゃんも華やかな美少女だ。

なので私も可愛い系ではなく、綺麗系の顔立ちになるはず!


「デールラントは昔、たいそう可愛い顔をしていたよ」


「昔とは幼い頃ということですか?」


お姉ちゃんが質問した。

パパンの幼少期なら、パパンの両親とともに描かれた肖像画があるので、めちゃくちゃ可愛かったことは知っている。


「いや、今のラルフリードくらいの年頃まで、よく女の子に間違われるくらいには可愛かったぞ」


王様の答えに、私もお姉ちゃんも驚いた。

パパンがそんな年頃まで可愛い感じだったとは、到底信じられない!


「デールラントが十二歳の頃の肖像画が、王宮にあるから今度見せてあげよう」


王様はそう約束してくれたけど、そもそもなんで王宮にパパンの肖像画があるんだろうね?

不思議に思って聞いてみたら、パパンが王位継承権持ちだからって返ってきた。

王様が国内の貴族令嬢と結婚していたら、パパンが他国の女性と政略結婚する場合も考えられていたから、お見合い写真的な意味で肖像画が必要だったらしい。

同じ理由で、お兄ちゃんの肖像画もすでに王宮で保管されているとか。

お兄ちゃんの肖像画も見てみたい!


「……そういえば、お父様の肖像画、お母様と結婚してからのものしか見たことないわ」


パパンの肖像画の話をしていて、お姉ちゃんが思い出したように呟いた。

言われてみれば、両親と一緒に描かれているもの以外、全部ママンと一緒か、私たち子供と一緒のものしかない。

パパンにとって、可愛い時期はコンプレックスだったのかな?


「オスフェ公の尊厳が危ういので、そろそろ本題に入りましょう」


ヴィの一言で、部屋の空気がピリッと引き締まった。

パパンの可愛い時期の話、もうちょっと聞きたかったけど、陛下たちに付き合わせるのは申し訳ない。


「では、どこから話そうか?」


陛下が悩むほど報告することがいっぱいあるのかな?

ルイさんがすかさず、賊のことから話すべきと助言をする。


「そうだな。結果から言うと、宮殿で捕らえた賊は、イクゥ国使節団の者たちだった」


パウルが掴んできた情報では未確定だったけど、本当に使節団の人が犯人だったのか!!


「彼らの目的は、ライナス帝国に捕えられた獣王の番を探すこと。だから、宮殿内で警備が厳重で、人気が少ない場所に侵入したそうだ」


いろいろ質問したいことがあるけど、今は我慢して陛下の話を聞く。

陛下は、捕らえた使節団の者たちから、獣王様の番が誰なのかを聞き出せた。

カーリデュベルが番だと言われ、陛下はすぐになんらかの方法で欺いているのだと気づいたそうだ。

イクゥ国の前身である獣王国には、ある神話が語り継がれていた。それは、イクゥ国になった今でも残っている。

鵬族は神様が授けた王で、必ず番で生まれるとかなんとか。

精霊たちに確認したところ、生まれたときには確かに鵬族の男の子がいたらしい。

しかし、あるときを境に、その存在が感じられなくなったと。


「おそらく、獣王の番は聖主によって精霊が感知できない部屋に監禁されているのだろう。そして、自分の右腕であるカーリデュベルを番だと獣王を洗脳した」


精霊が入れない部屋に洗脳……。

ガシェ王国にいたルノハークにも洗脳された者がいたそうだし、国境近くの遺跡では、精霊が入れない部屋があって、そこで聖主が何かやっていたようだし。

この方法が聖主の定法なのだろう。


「例の遺跡でカーリデュベルを捕えられたことは僥倖(ぎょうこう)だったね」


今回、獣王様がライナス帝国に来た本当の目的が、カーリデュベルの救出。

彼らは、宮殿で寝泊まりする間にこっそりと脱走させようと計画していたらしいが、宿泊先は輝青宮ではなく別宮だった。

そのため、急きょ計画の変更を迫られる使節団の面々。

宮殿に滞在できる限られた時間で目ぼしい場所を絞り、工作員を使って正門前で暴動を起こさせる。

その騒ぎの隙に、カーリデュベルの居場所を突き止め、脱走させる目論見だったが成功しなかった。

カーリデュベルが捕えられている場所は宮殿ではないのだから。


「しかし、賊はよく短期間で輝青宮を調べることができたな?」


王様の疑問に、短く協力者がいたと答える陛下。


「先に、獣王のことを話そう。獣王とは直接話をして、かけられていた洗脳も解いた」


陛下曰く、獣王様の洗脳を解いたら大人しくなり、素直に全部白状したらしい。

あの一緒に羽子板をした日。私ならカーリデュベルが捕えられた場所を知っているのではないかと思って、わざと近づいたんだって。

獣王様は、私が愛し子なのを知っていたから。

仲良くなれたと思ったのに、獣王様はそうじゃなかったのかな?番の敵って思いながら、嫌々相手をしていたんだろうか?

そう思ったら、めっちゃ沈んだ……。

下心あって近づいてくるのは別に構わない。私が気をつければいいだけのことだから。

私が好きだと思った人に嫌われていたことがショックなんだと思う。こう、胸がずーんっと落ちていく感じ……。


「ネフェルティマ嬢、大丈夫かい?」


「……はい」


心配かけまいと、なんとか返事をする。

そのとき、総帥さんが私の近くにやってきて、ぽふっと尻尾が降ってきた。


「ほら、好きにしていいぞ」


条件反射で尻尾を握ったけど……本当に好きにしていいの?痴女扱いされない??

総帥さんはニカッと笑い、私の頭をわしゃわしゃ撫でた。

ゴーシュじーちゃんのように豪快に撫でられるかと思ったら意外や意外。凄く優しい力加減で手慣れている!

総帥さんがいいならと、尻尾をにぎにぎ……。

こ、これはっ!今までのネコ科獣人の中で最高の尻尾かもしれない!!

尻尾だけど、みっちりずっしり感が凄い!

我が国の近衛師団長が飼っているウサギのお姫さまと同じくらいの密度があると思う。

お姫さまは一見すると普通のウサギなのだが、脚が妙に長い。立つとシャキーンッて感じで脚が生える。

そのインパクトはなかなかのものだが、お姫さまの凄いところは毛量と密度だろう。

指を差し込んでも地肌に触れることがない。指が毛に行手を阻まれるのだ!!

ちなみに、お姫さまは名前である。

そのお姫さまを思い出させるほどのみっちり感よ!

尻尾をするりと先っぽの方まで撫でる。

大型のネコ科動物に見られる、先っぽの方がちょっと太いのもまたいい!

あと、先っぽだけちょっと毛が柔らかくて長いのも、にぎにぎが止まらなくなるね。


「はぁぁぁ、ずっと触っていたい……」


なでなでとにぎにぎを繰り返しながら堪能していると、思わず心の声が漏れた。


「そうだろう、そうだろう。俺の尻尾はちびたちにも大人気だからな」


「ちびたち?」


「あぁ、俺の二人の息子だ」


お子さんがいたことにびっくり!……って考えてみれば総帥さんはルイさんと同年代。総帥という重役に就いており、侯爵家当主でもある。結婚して、小さなお子さんがいてもおかしくない。


「下の子はまだ2歳だが、俺の尻尾を咥えるとすぐ寝るから、嫁さんに重宝されている」


ナニソレカワイイ!!

ちっちゃいにゃんこがパパの尻尾をおしゃぶりしながらねんねしているとか!!それは絵に残して家宝にするレベル!!


「ちなみに上のお子さんはおいくつで?」


「四歳だ。俺の尻尾目がけて飛びかかってくる」


まさに親猫とじゃれる子猫!

総帥さんも子供の方から積極的に来てくれるのが、たまらなく嬉しいのだろう。

いつもはキリッとしている顔が綻んでいる。まぁ、パパンほどデレデレしてはないが。

もう少し、総帥さんとお子さんのカワイイエピソードを聞いていたかったけど、私の気持ちが落ち着いたからと報告が再開された。


「輝青宮を奴らが動き回れたのは、手引きをした者がいたからだ。ヴィルヘルトより、帝都の酒場で獣王が怪しい人物と会っていたという情報を得た」


ヴィがなんでそんなことを知ったのかと思ったら、ギィの本の件でエルフの森に行ったときに赤のフラーダと会ったらしい。

実際に怪しい人物を見たのはラックさんたちで、彼らが怪しい人物の手がかりを持っていたから調べることができたと。


「手がかりはヘリオス伯爵家の傍流、ラムジー男爵家の紋章だった。ヘリオス家は以前よりイクゥ国と交流を持っていたが、ロスラン計画でイクゥ国の難民を受け入れるようになってからより密接になっていたようだ」


だから、ヘリオス家の者が獣王様を手助けしたと続くと思ったら、だいぶ違っていた。

ラックさんたちは、獣王様とそのラムジー家の誰かが、私を誘拐するしないの話をしていたのを聞いたらしい。

誰かが私の誘拐を企てていると思って、どうにか知らせるためにエルフの森へ向かったと。


「獣王に店で会っていた人物は誰か問うた。ネフェルティマ嬢は誰だったと思う?」


私に問いかけるってことは、私が知っている人なの!?


「……まさか、ヘリオス伯爵ですか?」


創作物の中で王族や高位貴族が身分を隠す場合、所有している爵位の中で最も低いもので名乗ったり、分家の者になりすましたりすることがある。

これもそのパターンだと思った。


「いいや。獣王は『ゼル』と名乗っていたと言っていた」


ゼル……?知らない名前ですね?

わざわざ聞いてくるくらいだから、私の知っている人だと思ったのに……。


「ヘリオス家の家門で、ゼルという名前は一人しかいない。ゼルティール・ヘリオスだ」


なんだってーー!?

……あ、ルティーさんのことか。

雰囲気でなんか驚いてしまったけど、ルティーっていう愛称がマッチしすぎて、本名を忘れちゃうんだよね。


「誰かがルティーさんの名前をかたっている可能性は?」


正直、ルティーさんがそんな大それたことするか、(はなは)だ疑問だよね。

考えられるとしたら、逆らえない立場の人からの命令だけど、そうするとヘリオス伯爵か伯爵以上の爵位を持つ誰かってことになる。


「誰かが偽名を使っていた可能性ももちろんある。そこで、獣王のいうゼルが誰なのか、炙り出そうと思ってね」


ゼル炙り出し作戦は、獣王様を送り出す送別の宴を使ってやるらしい。

予定を繰り上げて、急遽帰国することになったと理由をつけ、イクゥ国と関わりのある貴族だけを招待する。その際、家門すべてが参加するようにと条件をつけるそうだ。

そして、会場に赤のフラーダたちを潜入させて、お店で目撃した怪しい人物を探してもらうというものだった。

いくら招待者を絞っても、会場で探せって無理があるんじゃね?

それに、いきなり家門全員参加してねっていうのも無茶振りだし、陛下にしては作戦が大雑把だなって思った。


「申し訳ないが、カーナディア嬢とネフェルティマ嬢にも宴に出席してもらいたい」


宮殿で騒動が起きて、私たちは安全のために一時帰国したけど、使節団の件や獣王様の件は表沙汰にできない。

私たちが宴で姿を見せることで、問題は解決したと示す。つまり、裏を返せば、使節団が悪さをしたからイクゥ国に強制的に帰す、と見ることもできる。

そうすることで、もっと重要な部分、獣王様の洗脳や本当の番については気づいていないと見せかけるというわけらしい。


「捕まえた使節団の人たちはどうなるのですか?」


「それはイクゥ国の出方次第となる。我々も簡単に許すわけにはいかないのでな」


強制帰国といっても、捕まった使節団の人たちは身柄を拘束されたままのようだ。

実質的な被害はなかったとはいえ、皇族が住む宮殿を荒らしたのだから、国の面子にも関わってくる。

とりあえず、獣王様は使節団の責任者としてイクゥ国に事情を説明する役目があるため帰国させるそうだ。

他に、宮殿の侵入に関わっていない使節団の者もいるそうで、その人たちも獣王様と一緒に帰国するらしい。


「もし、宴で怪しい人物を見つけられなかったらどうするんですか?」


怪しい人物を見つけられなかったら、宮殿に立ち入ることができる身分の者が私を狙っているままということになる。


「その場合、ネフェルティマ嬢たちの一時帰国の期間を延ばすつもりだ」


ガシェ王国も完全に安全とは言えないが、私がガシェ王国にいれば何かしら動きがあるだろうとのこと。

つまり、囮ということだな。

さらに今なら、捕まえたルノハークの捜査協力として、王国騎士団とライナス帝国軍が連携しているから人員も送りやすいと。


「聖主の尻尾を掴むときがきたというわけですね!」


カーリデュベルという聖主の正体を知っている人を捕まえてから、確実に事は動いている。

おそらく、聖主も焦っているのではないだろうか?

まぁ、自分の正体を知る手下が、敵の手に渡ったとなれば焦りもするよね。

陛下がチャンスだと思うのもわかる。

ガシェ王国に帰って私は痛感した。

いい加減、お家で家族団欒がしたいと!

パパンやママンが訪ねてくるのではなく、あの王都の屋敷でみんなで過ごしたい!!

ならば、その囮役、やってやろうじゃないか!!



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