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宴で出会った人々。 前編

12/28にコミカライズ12巻、スピンオフの男子部が同時発売されます!

原作16巻は1/10発売予定です。

会場に戻り、中を見渡すと、すぐに獣王様を見つけられた。

彼女の側に問題のドワーフがいるかもしれないので、気づかれないよう近づいてみる。

獣王様の周りには、ライナス帝国と意匠の異なる服を着た男性が数名いた。おそらくイクゥ国の高官と思われる。


「あちらにはいません」


エレルーンさんはそう言うと、さりげなく周囲を見回して、目的の人物を探す。

私は顔を知らないので、エレルーンさんと軽く雑談を交わしながら、彼女が見つけるのを待つ。


「いました。明るい青色の服を着た紳士としゃべっている奴です」


エレルーンさんの視線の先を追う。

イクゥ国風の服を着た中年の男性と和やかな雰囲気で話している貴族の若い男性……って、あれはヘリオス伯爵では!?

ドワーフの女性は見た目が男性的で、ヘリオス伯爵は男装の麗人。

仲良くおしゃべりしている男性二人は、本当はどちらも女性で……。でも見た目は男性で……。

視覚情報と脳内情報が異なるから、脳がバグりそう!

とりあえず、エレルーンさんがドワーフだと言う人の顔は覚えた。

……いや、ちょっと不安だから、精霊にもお願いしておこう。


「森鬼、ちょっと……」


両手を広げて抱っこを促し、抱きかかえられたところで内緒話をする。


「エレルーンさんが言っていた人、森鬼もわかった?」


私がヘリオス伯爵と問題の人物にちらりと視線をやれば、森鬼は小さく頷いた。


「じゃあ、あのドワーフらしき人に精霊をつけてくれる?」


森鬼は周りにいるであろう精霊たちに、まず可能かどうかを問う。


「できると……おい、ちょっと待て。お前たちは駄目だ。水のナノがやれ」


何やらいきなり揉め出した。

水の精霊を指名したってことは、他の精霊だとダメな理由があるのかな?

まぁ、風の精霊だとやらかしそうではあるけどさ。


「ドワーフは火と土を扱うだろう?精霊はそういった者を好ましく感じるらしい」


森鬼が言いたいのは、魔力の属性ではなく、自然のものに触れているかどうかってことだろう。

精霊は好ましく感じた者に、(まれ)に幸運を授ける。ほんとに、ちょっとした、ラッキー!って思う程度のものだけど。

この世界ではそれを『精霊がささやく』と言う。

とりあえず、森鬼がなぜ水の精霊にお願いしたのかは理解した。

火と土の精霊だと、ドワーフに肩入れするかもしれない可能性を考慮してのこと。

ここで風を選ばなかったのは、森鬼も風の精霊はやらかしそうって思っているんだろうなぁ。


「ネマ様、こちらに向かっている気配があります」


スピカの耳が小刻みに方向を変えているのを見て、こんなに大勢の人がいる中でも聞き分けできることに感心した。

ネコ科には負けるが、イヌ科の聴力は人間よりもいいもんね。

……もしかして、人間の五感って生き物の中では最弱!?

大抵の生き物は何かしら突出した感覚を有し、厳しい生存競争の中を生き抜いている。

そんな生き物と比べると人間の能力は低い方だろう。

人間最弱説は置いといて、こちらに向かっているのは偶然なのか、それとも意図的か。


「誰かわかる?」


「ゼルティール・ヘリオスだそうだ」


私の質問に、スピカではなく森鬼が答える。

ゼルティール・ヘリオス……ヘリオス伯爵の親族だとしたら、ちょっとまずいかも!


「おにいさん!」


「はい。私はここで失礼します」


名前を呼べないからとっさにお兄さんと言ってしまったけど、ちゃんと察してくれたエレルーンさんは一礼をしてすぐに人混みに紛れ、見えなくなった。

はぁ……できる女って感じで格好いいな。ラグヴィズがベタ惚れしているのもわかる気がする。


「ネフェルティマ様、ご挨拶申し上げます」


こちらに向かってくる人物は、意図的に私たちに近づいてきたようだ。

獣王様が着ている衣装と似た感じのドレスを着ているけど……。

その人物が礼のために下げていた頭を戻すと、私は驚いてあっと声を上げてしまった。


「ルティーさん!」


名前はすこーんっと忘れていたが、この可愛い美人顔は忘れない!

ヘリオス家の性別逆転姉弟の女装の美男(びなん)の方!!


「わたくしのことを覚えていてくださり、嬉しいですわ」


インパクト強すぎて、一度会ったら忘れられないよ。


「ネフェルティマ様をお見かけしたので、ぜひご挨拶をと思ったのですが、ご歓談を邪魔してしまったようで……」


エレルーンさんと一緒だったところは見られていたか……。


「大丈夫ですよ。友達のご家族にごあいさつをしたあとでしたので。それより!」


エレルーンさんのことは曖昧に誤魔化し、私は森鬼から降りて、ルティーさんに詰め寄る。


「その衣装、すごくすてきですね!かわいいのも似合っていますが、今日は大人のみりょくを感じます!」


少しわざとらしいかもしれないが、おしゃれが大好きな女の子っぽく話題を振る。

私自身、おしゃれはほぼ使用人任せなのでファッションセンスは皆無だが、こちらの世界で美しいものに囲まれ、目が肥えた自信はある!

その目が訴えている!ルティーさんのドレスはなかなかの逸品だと!!


「ふふふっ。ありがとうございます。実は、イクゥ国の商人から勧められて買ったのですが、着ていく機会がなくて」


ルティーさんが着ているドレスはタイトなタイプで、獣王様と同じように体のラインがばっちりわかる。

しかし、ルティーさんのデザインにはある工夫がされていた。

広く浅い襟ぐりは鎖骨を美しく見せているし、スカートのスリットから見える生足は(なまめ)かしい。

肩から腕にかけてはゆったりとした形に、着物のだらりの帯に似た腰帯。

鎖骨や生足に視線が行くようにして胸や腰を目立たなくし、袖幅にゆとりを持たせることで肩から腕の筋肉を、腰帯を垂らすことでお尻を隠している。

男性が着ることを前提に作られたデザインなのは間違いない!

あと帯が可愛い!!

というようなことを力説した。


「ネフェルティマ様の仰る通りです。男性の体つきを上手く隠すように作ってもらいましたの!……足が見えるのはちょっと恥ずかしいですけど」


恥じ入る姿も可愛い!周囲にいるお兄さんたちが、ちょっと危ない扉を開いてしまいそうだよ!

でも確かに、ライナス帝国の女性が着るには、かなり挑戦的なデザインではある。

特にスリットで生足披露は、淑女たれと教育される貴族のご令嬢方には羞恥で卒倒するレベルじゃないかな?


「それなら、すかし生地をあてるといいと思います。すかし目を細かくすれば見えなくなるし、粗くして見えそうで見えない際どさを攻めるのもいい!」


()かし生地はレースを用いた生地のことだけど、ライナス帝国では地方独自のレース模様があり、時には流行になることも。ガシェ王国でも数年ごとにどこかの地方の透かし模様が流行ったりする。


「透かし生地も可愛いとは思いますが、いっそのことこの切れ込みをなくした方がよくないですか?」


「ダメです!」


スリットがなくても、ルティーさんならセクシーに着こなすかもしれないけど、美人さんの生足を隠してしまうなんてもったいない!


「いいですか、チラリと見えるのと、見えそうで見えないでは、得られるこうふんが違うのです!前者はおぉ!ってなって、後者はぐぉぉってなります」


猫が物陰に隠れたとしよう。

その物陰からちょこっと尻尾の先が見えていたら、誰しもがそのチラ見せ具合にぐぅかわって(もだ)えるだろう。尻尾の先がピコピコ動いていたらなおよし!

また、猫の姿を見たくて覗いても見えなかったら、その尊い姿を一目見せておくれと懇願(こんがん)してしまう。


「そういうものなのですか?」


ルティーさんが半信半疑というか、やや困惑した顔で言った。

先ほど妄想した猫の例を話そうかとも思ったが、より類似したもので例えた方がいいような気もする。


「うーん……そうだ!ルティーさん、ちょっと耳を貸してください」


耳を貸してくれと言ったものの、身長差があるためにルティーさんに抱っこしてもらうことになった。

見た目は女性でも、やはり男性。抱っこされたときの安定感はちゃんとある。


「あのね、ルティーさんは森鬼を見てどう思いますか?」


「シンキって、ネフェルティマ様の護衛の?」


私がこくりと頷くと、ルティーさんは森鬼を見て、そして私に視線を戻して言った。


「たくましくて格好いい方だと思います」


その返事を聞いて、私も笑顔を返す。

自分の子が褒められるのは嬉しいからね。


「じゃあ、ちょっと想像してください。森鬼がお風呂に入っているところを」


「えっ、ちょっと……」


お風呂という言葉にルティーさんが焦りを見せた。

しかし、私は間髪入れずに先を続ける。


「湯船から覗く、たくましい腕と胸筋……」


意識させるため、わざとルティーさんの腕と胸元に手を置く。

ふむ……当たり前だけど、鍛えてない体つきだな。


「森鬼がお風呂から出ようと立ち上がったけど、湯煙がじゃまをしてそこから下は見えそうで見えない……。見たくない?森鬼のきれいに割れた腹筋を」


私を抱くルティーさんの手に力が籠もる。

ふっふっふっ。想像した?想像しちゃうよね??


「チラ見えと、見えそうで見えないとの差を理解していただけましたか?」


「その、あまりにも幻想的で……って、そういうことではありません!」


怒られちゃった……。

ルティーさんにはちょっと刺激が強すぎたか。

他に例えるとしても、実演ができれば一番いいんだけどなぁ。

グラーティアは可愛いけど、好き嫌いが分かれるだろうし、ノックスはお留守番だし。うーん。


「あ!いいこと思いついた!ルティーさん、ちょっと待っててくださいね」


そう言って、私はルティーさんに下ろしてもらい、背を向ける。

念のため、森鬼たちに壁役をお願いして、周りからも見えないようにしてもらった。

胸元からある物を取り出し、それを両手に包んで隠す。

きっとこれならルティーさんも理解してくれるはず!


「ルティーさん、この手の中には、私の宝物……いや、オスフェ家の家宝が入っています」


「オスフェ家の家宝?」


「はい!我が国王へいかよりたまわったすんごいものです!」


ルティーさんの好奇心を(あお)るために、話を盛りに盛りまくる。

でも、嘘は言っていないからね。


「見たいですか?」


「えぇ。見せていただけるのでしたら」


「じゃあ、ちょっとだけですよ?」


私は上の手を外して、中身を見せた。……一秒だけね。


「……青い宝石ですか?」


「おいしいけど不正解です。もう一回見せるので、よーく見ててくださいね」


次はゆーっくりと手を動かして、全部が見えた瞬間に隠した。


「どうですか?少ししか見えないって、こう……かき立てられるものがありませんか?」


「確かに、しっかりと見たい、もっと見たいと思いました」


「では、次はじっくり見てください。この手のすきまから!」


両手をおにぎりを作るときのような形にして、手と手の間に隙間を作る。

その両手をググーッと限界まで伸ばすが、ルティーさんは体を屈めないと隙間を覗くことができなかった。

私はというと、なるべく光が入らないように腕の位置をキープしなければならず、二の腕と肩がつらい。


「……よく見えません」


「何かあるとわかっているけど、その正体がわからないと気になりますよね?その『気になる』がルティーさんが今着ている衣装の効果なのです」


「……ネフェルティマ様の仰りたいことはなんとなく理解しました」


なんとなくでも理解してもらえたのなら御の字だけど、まだ引っかかっている部分があるような感じだね。


「その衣装はルティーさんの好みではないかもしれませんが、商人さんはルティーさんのかわいい以外の魅力を引き出す衣装をすすめてくれたんだと思います」


「可愛い以外の魅力……。そんなものがわたくしにあるのでしょうか?」


自信なさげなルティーさんの様子に、私はようやくあることに気づく。

ヘリオス領で会ったときのルティーさんは、感情豊かで活力にあふれていた。それこそ、私がその衣装似合うねと言えば、そうでしょうと自己肯定感の高い返事をしそうなくらいに。


「ルティーさんはすごく魅力的ですよ?その衣装だって、子供の私でもドキドキしちゃうくらい色っぽくて、似合ってます!」


「……ネフェルティマ様は幼いのにとても聡明(そうめい)なのですね」


ルティーさんの指摘に、私はドキッとした。

なんか、暗に子供らしくないと言われているようで……。調子こいてしゃべりすぎたかもしれない。


「もうすぐ八歳ですから!」


見た目は五歳でも、もうちょっとすれば八歳になるのだ。貴族の子供であれば、ある程度教育が進んでいる時期でもある。

国にもよるが、貴族の子供はだいたい五歳頃から本格的に教育が始まる。特にライナス帝国では、教育を始めるのが早い。

ライナス帝国の皇族は公務ができるようになったら、自分で自分の味方を増やすために交遊会などを開き、貴族の子供と交流を持つからだ。皇族が公務を始めるのは十歳前後が多いようだが、陛下や先帝様、マーリエ父はもっと早かったとルイさんが言っていた。

そういった例外がいつ来てもいいように、皇族に近づきたい貴族たちは、自分の子供に早め早めの教育を施しているのだろう。

なので、年齢を強調すれば、ルティーさんも納得するだろうと思ったのだが……。


「八歳!?……ネフェルティマ様、どこかお体の調子が悪いのですか?もしかして、ライナス帝国に来られたのはそのため……」


納得どころが、逆に驚かれてしまった。この見た目で八歳は無理があったか。

なんか思いっきり勘違いされているし。


「めがみ様のごかごがあるので、私は健康そのものですよ?ちょっと人より成長が遅いだけです」


私が二年も眠っていて、その間成長していないことは隠してはいないので、調べればすぐにわかる。だけど、率先して言いふらしてもいないので、普段はヘリオス領にいるルティーさんは知らなかったのだろう。

それに、女神様の言葉を信じるなら、私の成長期はもうすぐそこに来ている!


「すぐにおねえ様より大きくなりますよ!」


私がそう力説すると、ルティーさんは安堵の表情を浮かべ、笑ってくれた。


「ネフェルティマ様はいつも前向きなのですね。羨ましいな……」


小さく呟かれた最後の言葉に、私は何かあったのだと確信する。


「何かあったのですか?」


聞いていいものなのかと、少しだけ逡巡(しゅんじゅん)するも、意を決して聞いてみた。


「あ、いえ。大したことありません。宴ではよくあることなので、お気になさらないでください」


宴ではよくあること……ねぇ。

大方、貴族たちに心無いことでも言われたのだろう。

ヘリオス伯爵はロスラン計画で今注目されている貴族だし、ある意味この姉弟は有名だから、(ひが)んでいる者は多そうだ。


「ルティーさん、笑いましょう!それが仕返しになるのです!」


「仕返し……ですか?笑うことが?」


「私の想像ですが、ルティーさんはしっとされているんだと思います。女性に大人気なかっこいいおねえ様がいて、本人も男性なのに女性よりも美人とくれば、そりゃあひがまれます」


さらに、ヘリオス領は今後発展が見込まれ、皇族からの覚えもめでたい。

そのおこぼれにあやかろうとすり寄るのが貴族社会なのだが、男女が逆転しているこの姉弟にはそれが行えない。

なぜなら、そういったことにご趣味がおありで?とあらぬ疑いをかけられるリスクが高いからだ。

例えば、ルティーさんと仲良しな男性がいたとしよう。

パッと見は男女のカップルだが、実際は男同士。そこにあるのは友情だとしても、お互い女装が趣味だから仲がいいのでは?と思う人も出てくる。

また、恋愛対象が同性だと思われるパターンもありえるよね。

じゃあ、女性ならどうなるのかと言うと、恋愛対象として見られないし、女装が似合う男性が好みだと周囲に勘違いされることを恐れるんじゃないかな?

噂に尾ひれがつきまくって、可愛らしい男性が好き、可愛らしい男の子が好き、お稚児趣味!と変化していく未来が私には見える!

そんな噂が大好きな社交界で、おいそれとヘリオス姉弟には近づけない。

結果、すり寄れないなら折ってしまえと、敵対する方に回る、ということだと思う。


「相手に自分が幸せだと見せつけるのです!実力行使で仕返しをするのも一つの手ですが、お前たちなど眼中にないと、微笑みで相手の心を折る方が上品でしょう?」


それでもなお、ちょっかいをかけてくる輩には実力行使をすればいい。


「オスフェ家ではそうされているのですか?」


「いえ。我が家は基本、口で叩きのめします!それで大抵は大人しくなるので」


私から持ちかけておいてなんだが、我が家はそんなに優しくないのだよ!

私の知らないところで何かやっている可能性はあるけど、パパンとママンがおほほと笑いながら毒舌を放つだけで致命傷を与えられるからね。


「まぁ!ご高名なオスフェ公爵様なら、さぞ舌鋒(ぜっぽう)鋭いことでしょうね」


パパンより、ママンの方が切れ味は鋭いけどね。それを言うと、あとでママンに怒られる気がするので黙っておこう。

我が家の最強はママンなのになぁ。私も早くママンの境地まで達したいものだ。

どうにかこうにかルティーさんを励ましていたら、ルティーさんの名を呼ぶ人物が現れた。


「あ、姉様……」


「ルティー、探したぞ」


ルティーさんの隣に立つのはヘリオス伯爵その人。

私たちが話し込んでいる間に、例のドワーフとの歓談を終えたようだ。


「ヘリオス伯爵、お久しぶりです」


「ネフェルティマ様、お久しぶりでございます。ネフェルティマ様のご活躍は、ヘリオス領にも届いておりますよ」


はて?活躍と呼べるようなことをやったかな?

ルノハーク生け捕り作戦は、ヴィとお兄ちゃんが出張ってくれたので、私はおまけ的な位置だったはず。


「ダオルーグ殿下の交遊会での事件や、ミルマ国での武力政変を解決に導いたと」


「それは私ではなく、捜査班のみな様と私のおとう様のかつやくですね」


あの阿鼻叫喚の地獄絵図、思い出すだけでも恐ろしい!

パパンの敵になった人たちが、いつもあんな恥ずかしい方法でやられているとしたら……やっぱりパパンが最強?

矜持を粉々にされるのと、自尊心をボッコボコにされるの、どちらがマシだろうか??


「ご謙遜を。陛下はネフェルティマ様のことを褒めていらっしゃいましたよ」


陛下、それをヘリオス伯爵に言うんじゃなく、私に直接言ってくれればいいのに……。


「それと、ぜひまた我が領地にお越しください。例のものを走らせる準備も、着々と進んでおりますので」


「それは……絶対に見にいきます!」


トロッコもどきの研究は帝都とヘリオス領の両方で行われている。

帝都では動力となる魔道具の部分、ヘリオス領ではレールと動輪をメインに研究開発しているようだ。

このトロッコもどきは、オスフェ家とライナス帝国との共同開発的な事業なので、どちらの研究所にも我がオスフェ家の者をたくさん派遣している。

なので、何かあれば彼らから報告が上がるはずだが、エレルーンさんが警戒しているドワーフのこともあるし、一度は見にいった方がいいよね。

私が宮殿を出るとなると、護衛とかで大所帯になってしまうので、すぐに行けないのが難点だけど。


「それでは、まだ挨拶が残っておりますので、ここで失礼させていただきます」


ヘリオス伯爵は、挨拶回りのためにルティーさんを探していたのだろう。

私のために時間を割いてくれたことにお礼を言い、二人を見送った。

なんとなく、離れていく彼らを見ていたら、ヘリオス伯爵がルティーさんに何かを言い、ルティーさんはぺこりと頭を下げる。

ヘリオス伯爵から離れたことを怒られたのかな?

でも、やっぱり今日のルティーさんには違和感があるなぁ。


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