★10周年お礼小話 未来の私がやらかした!前編
遅くなりましたが、去年11月になろうにもふなでを投稿して丸10年を迎えました!
ありがとうございますm(_ _)m
こちらのお礼小話はパラレルとしてお楽しみください。
それは突然のことだった。
いつものように遊んでいただけなのに、なぜか目眩がして、地面に座り込んでしまった。
「うー気持ち悪い……」
胃がぎゅーっと絞られるような感覚に、吐き気まで込み上げてくる。
しばらくじっとしていると、目眩も吐き気も治まった。
でも、なんで急に?
不思議に思いながら立ち上がると、目の前の光景が変わっていることに気づいた。
「あれ?ここって……うちの屋敷!?」
ライナス帝国の宮殿の庭で遊んでいたのになんで?
「うちの子たちは!?」
慌てて辺りを見回しても、魔物っ子たちの姿はない。
まさか……私ってば瞬間移動の能力が開花した!?んなわけないよねー。
心の中で一人ボケツッコミをやって気持ちを落ち着かせる。
あり得るとしたら、神様の悪戯だろう。
「とりあえず、屋敷に帰ろう」
お庭にずっといてもしょうがないし、魔物っ子たちはいないけど、寄生している黒がいるから一人じゃない!
屋敷の中に入り、マージェスを探す。侍女頭のリィヤでもいいんだけど……。
「あ、マージェスかリィヤ知らない?」
ちょうど使用人がいたので、二人の居場所を聞こうと声をかける。
すると、使用人はこれでもかっていうくらい目を見開いて、口をパクパクさせた。
「大丈夫?」
化け物でも見たかのような反応に、私もどうしたらいいのかわからない。
「ぱぱぱ……パウルさぁぁぁん!大変ですぅぅぅ!!」
使用人は叫びながら走って逃げた。
パウルって、パウルも瞬間移動してきたの?
とりあえず、使用人が逃げた方に歩いていく。パウルがいるなら、パウルと話しした方が早いもんね。
エントランスホールに出ると、先ほどの使用人に引っ張られているパウルを発見した。
「パウル!」
「ほら!言った通りでしょ!」
私がパウルに呼びかけると、使用人が私を指差しながら騒ぎ出す。
だから、そのお化けが出た!みたいなリアクションはなんなの!?
そしてパウル!
目が合うなり、深い深いため息を吐くなんて、ちょっと失礼でしょ!
「ネマお嬢様、よくお聞きください」
私の前で片膝をつき、真剣な表情のパウル。
その顔に何を言われるのかとドキドキしながら、わかったと承諾する。
「どうやらネマお嬢様は時間を超えていらっしゃったようです」
「………………はぃぃぃい??」
言っている意味がわからない上に、突拍子もなさすぎて素で返してしまった。
「ですから……」
パウルは真剣な表情を崩すことなく、状況を説明してくれた。
パウルが告げた年号は現在は今より十年先の数字。
何事かと集まってきた使用人たちの中に、知らない顔があるのは確かだけど、私がライナス帝国に行っている間に変わったんじゃないの?
それに……。
「私をだまそうったってそうはいかないわ!だってパウル、あなた顔が変わってないじゃない!」
十年経った世界と言うのなら、パウルが老けてないのはおかしい!
私がそう訴えると、周りの使用人たちも何か囁き始めた。
やっぱり騙せなかったとか言っているのかな?
何を企んでいるのか知らないけど、私を騙そうなんて百年早いわ!
「まだ仕事中です。パウル以外は持ち場に戻りなさい」
見破ったり!とドヤ顔をしていたら、懐かしい声が聞こえた。
「マージェス!」
我が家の家令マージェスの姿を見つけ、私は駆け寄る。
「……これこれはまた。ネマお嬢様、懐かしいお姿をされておりますね」
マージェスに抱っこをせがみ、抱き上げられて違和感に気づいた。
「マージェス、老けた?」
記憶にある姿より、皺が深くなったような?
髪の毛は変わらずふさふさなので、気のせいかもしれないけど。
「わたくしめも六十を過ぎましたからね。爺にもなりましょう」
んんん?マージェスってそんな歳いってたっけ?
もしかして、本当に十年先の未来だったりするの??
「パウル、今のネマお嬢様はどちらに?」
「おそらく、こちらのネマお嬢様と入れ替わり、過去に行かれているのではないかと」
パウルがやや呆れていることから、十年先の私が何かやらした結果ってことのようだ。
本当に十年先ならね!
「パウルはこのままネマお嬢様についているように。わたしは大旦那様方へ急ぎ知らせを入れる」
マージェスの指示をパウルが受け、ついでに私も引き渡された。
私がマージェスの言葉に首を傾げているうちに、パウルによってリビングに連れていかれる。
家族団欒をするいつもの部屋は、少し調度品が変わっているくらいの変化しかない。
私が記憶している、ホッとできる雰囲気はそのままでなんだか安心した。
「ねぇ、パウル。本当に十巡後の世界なの?」
「はい。その証拠に、いつも側にいた魔物たちがいませんし、旦那様方のお姿を拝見すればご理解いただけるかと」
パウルは手際よくお茶を用意しながら言う。
確かに、魔物っ子たちはどこにいるんだろう?
それに、十年後のパパンとママンかぁ。老けてるのかな?
ママンは変わらなさそうだけど、パパンは想像つかないというか……メタボになったり、ハゲてたりしたらどうしよう。
家族の十年後の姿を見たいような、見たくないような。
「そういえば、魔物っ子たちはなんでいないの?」
そもそも、魔物っ子たちは私の護衛要員なので、私が大きくなったからといって離れるとは思えない。
「ハクとグラーティアはレイティモ山で暮らしています」
パウルが言うには、ハクは親スライムへと進化して大きくなり、グラーティアも屋敷で飼うには大きすぎるということで、レイティモ山でのびのびと暮らしているらしい。
グラーティア、そんなに大きくなったのか!
それなら、グラーティアに乗ることも夢じゃない!!
「大きくなったと言っても、グラーティアには乗れませんよ。すぐに振り落とされますから」
どうやら、私はすでに挑戦して失敗しているようだ。
だが、諦めてはいけない!
グラーティアが母親くらい大きくなれば、鞍みたいなのを取りつけることも可能だろうし、絶対乗れる!!
星伍と陸星は使用人養成所の訓練のお手伝いで屋敷にはおらず、ノックスとウルクは敷地内のどこかにはいるだろうとのことだった。
「森鬼と海は?」
「その二人は……」
なぜか言い淀むパウル。
言いにくいって……まさか!?
「旦那様に同行しております」
二人によくないことが起きたのかと身構えていたが、まったく違う回答で気が抜けた。
「……なんで?」
気が抜けたあと、疑問が湧き上がる。
海は、食事と情報収集を兼ねてお出かけすることはよくあるが、森鬼は基本、私の側から離れない。
それなのに離れているって、よっぽどのことが起きているのだろう。
「今回は、魔物の拠点の視察も含まれておりますので」
「魔物のきょ点?」
「現在、レイティモ山から分離した魔物たちが暮らす場所が、国境沿いに点在しているのです」
魔物が関わっているなら、森鬼が出向くのもわかる。
でも、精霊と意思疎通ができる森鬼がいるんだから、海に情報収集させる必要はないよね?
「海はなんで同行しているの?」
「今のカイは、昔に比べるととても強くなったからです」
海が強くなったというのも驚きだが、聞きたいのはそこじゃない。
だけど、パウルはそれ以上語ろうとはしなかった。
この状態になったパウルの口を割らせるのは骨が折れる。
お兄ちゃんかお姉ちゃんの協力がないと無理だ。
「この十巡って何があったのか聞いてもいい?」
仕方なしに話題を変えるも、パウルはパウルだった。
「それはやめておいた方がよろしいでしょう。ネマお嬢様が先のことを知ってしまったせいで、何かしら変化が起こるかもしれませんので」
淡々と告げられる言葉に、私はなるほどと納得してしまう。
元の時代に戻れたとき、未来の出来事を知っていたら、それを変えようとしてしまうかもしれない。
自分のことながら、やらないと言い切れないから悲しいわ。
となると……やることがなくて暇なんですけど!
何か時間を潰せることがないかと問えば、庭で遊んでいてくださいって……。
それ、いつもと変わらなくね?
「遊び相手はいますので、ご安心を」
渋々、パウルに連れられて庭に向かうと、アイルがいた。
アイルが遊び相手なのか?
「うわっ!本当に小さい頃のお嬢様だ!」
アイルは、パウルと違って老けていた。
私の記憶するアイルは二十代の青年なのだが、ここにいるのは職人っぽい雰囲気を放つ、おじさん手前の青年。
「アイルは老けてる!」
「ネマお嬢様酷いなぁ。俺はいつでも若々しいですよ!」
あ、中身は変わってないや。
「アイルが遊んでくれるの?」
「俺、こう見えても忙しいんで無理です。ネマお嬢様の相手はこいつらがするんで」
アイルがどこからともなく取り出したのは、二匹のスライム。
薄いピンクとオレンジっぽい黄色をした子たちだ。
「ハクトーとオートーです。ハクが生んだ、最初のスライムですよ」
白、親スライムに進化しただけでなく、子供まで生んだの!?
それにしてもハクトーとオートーって……白桃と黄桃のことだろうなぁ。色もそれっぽいし。
私が付けそうな名前なのは確かだ。
おそらく、色シリーズからダブらないものが思いつかず、果物シリーズに移ったのだろう。
雫の子たちにも、檸檬や蜜柑、葡萄といった果物の名前の子がいるわけだし。
「白桃に黄桃、少しの間、いっしょに遊んでくれる?」
――ぴゃぁぁぁ!?
――けけけけぇぇ!?
ちょっと待て……鳴き声、おかしくね?
ぴゃぁはスライムならありそうな鳴き声だけど、けけけけって妖怪の鳴き声にあったよね?
スライムたちの反応からして、私に驚いているのはわかる。
たぶん、誰よあんた!的なことを言っているに違いない。
名前を付けていても、さすがに未来の私と同一人物だとは認識できないか。
「新しい遊びを思いついたんだけど、白桃と黄桃が遊んでくれないんじゃ仕方ないね。パウル、やっぱりおやつにするわ!」
――ぴゃっ!
――けけっ!
新しい遊びと聞いて反応する二匹。
どうしようかと悩んでるようで、二匹が小さい声で相談し合っている。
「ちなみに、私がネフェルティマだということは、パウルが認めているわ」
二匹が悩んでる点は、私が信じていい人間なのかだと思い、パウルの名前を出した。
私が名付けた子たちなら、パウルを信頼しているのは間違いない。
パウルが認めているならと、受け入れてくれるだろう。
私の思惑通り、新しい遊びの誘惑に勝てなかった白桃と黄桃は、私の足元に転がってきた。
「さすがネマお嬢様。スライムの扱いはお上手ですね」
パウルにそう言われたけど、それ褒めてる?
釈然としないが、パウルは私とスライムたちを置いて屋敷に戻り、アイルも庭仕事に戻った。
「黒、出てき……ぶへっくちん!」
黒よ。しゃべっている最中に出てこられると、変なくしゃみになるからやめてくれ。
黒を呼び出すと、白桃と黄桃がびっくりして固まった。
黒は黒で、見慣れぬスライムに誰コレ状態だ。君の甥っ子か姪っ子だよ。
黒に状況を説明し、白の子供だと二匹を紹介すると、驚きすぎて変な形に……。
「黒。びっくりなのはわかるけど、元に戻って」
その形はいろいろとヤバいから!
なんとか黒を元の肉まん型に戻し、これからやる遊びのルールを説明する。
二対二に分かれての陣取り合戦だ!
本当はもっと多い人数で遊ぶ方が楽しいんだけど、二対二でも遊べるようにルールは少し変えてある。
陣取り合戦系の遊びって、ケンケンやじゃんけんするものが多い。
さすがにスライムにケンケンは無理だけど、転がるのを禁止して、移動はジャンプのみにしてみた。
転がられたら私が追いつけない。
陣地は地面に丸を書いて……ができなかったので、スライムたちに芝生を食べさせて書く。
あとでちゃんとアイルに直してもらうよ!
「自分の陣地を守りつつ、先に相手の陣地の中に入った組が勝ち。わかった?」
まず、ペアは各々がやりやすいであろう、白桃と黄桃ペアと私と黒のペアでやる。
少し白桃たちと距離を取って、黒と作成会議だ。
陣地は小さめにしたので守りやすいけど、その分、相手の陣地には入りにくい。
私が陣地を守って、黒の俊敏性を活かす方がいいだろう。
「あんまり大きく跳ぶと隙ができちゃうから、小刻みに変則的に動くのよ」
――にゅっ!
了解と黒が力強く返事をする。
よし!いざ!尋常に勝負!!
…………おーい、三匹とも戻っておいでー!
最初は順調だった陣取り合戦。
私が足で白桃の侵入を防ぎ、黒が黄桃と対峙して、なかなかいい感じだったんだ。
黒が思い切り跳ねると、黄桃も負けじとジャンプする。両者は空中でぶつかり、跳ね返された。
ジャンプしてぶつかり合っては跳ね返えるを繰り返す二匹。
私はなんか見たことあるなぁと思いつつ見守っていると、二匹の争いに白桃が参戦した。
そして今に至る。
三匹でジャンプ!ぶつかってぽよーん!と、楽しそうですね……。私は仲間外れで淋しいです……。
ちょっといじけていた私だが、それを吹き飛ばすくらいびっくりすることが起きた。
「ネマっ!?」
名前を呼ばれて、声がした方を見ると……。
なんと麗しい美青年がいるではないか!
「ひょっとして……おにい様?」
ひょっとしなくてもお兄ちゃんなのは確かなのだが、私が知っているお兄ちゃんではない!
背は高いし、声も記憶より低いよ!!
あと、大人の色気というか、人を魅する何かが溢れ出ている。
天使が進化するとやべぇな……。
「本当に小さい頃のネマだ……」
驚きすぎて足元がおぼつかないのか、お兄ちゃんはふらふらと私の側にやってきて、まじまじと見つめたと思ったらぎゅーってされた。
お兄ちゃんにしては珍しい、ガチで痛い抱擁だった。
数秒で根を上げたのは言うまでもない。
華奢だったお兄ちゃんも、十年経つと立派な男性になっていた。
さすがに森鬼やパウルにはおよばないが、服の下にしっかりと筋肉を感じられる。
細マッチョと言うよりは、均整のとれた体つきだな。
「おにい様、本当に十巡後なのね……」
このお兄ちゃんの姿を見たら、十年後の世界なのは疑いようがない。
「ネマはどうしてこんなことが起きたのか、心当たりはある?」
お兄ちゃんに、ライナス帝国宮殿の庭で遊んでいたら、突然うちの屋敷の庭に飛ばされたことを伝える。
「だから、最初は転移魔法陣みたいに瞬間移動したと思ったの」
「あぁ。確かに、パウルを見ただけじゃわからないかも……」
お兄ちゃんもここ十年、パウルの容姿に変化がないことを認めた。
やっぱりパウル、人間辞めた説が濃厚では?
前々から怪しいと思ってたんだよね。
「それにしても、幼いネマをまた見られるなんて……。創造神様の悪戯だとしても、今回は感謝しかないよ」
なんでか知らないけど、感極まっているお兄ちゃん。
「おにい様も神様のいたずらだと思う?」
私は確実に神様の悪戯だと思っているけどね!
未来の私が何かしたとしても、神様が面白そうって乗らなければこんなことは起きない!
「ディーが創造神様の気配を感じるって言っていたから」
お兄ちゃんの言葉に私はハッと顔を上げる。
「ディー!!」
お兄ちゃんがいるなら、もちろんディーもいるわけで。
極上のもふもふが目の前にあるのに、堪能せずにいられようか!
ディーに飛びついて、まずはその鬣を愛でる。
わたあめのようにふわっふわしているけど、肌触りはシルクより滑らかで、いつまでも頬擦りしていたいくらいだ。
脚の部分は毛が短いのでするっといくけど、逆撫ですると刈り上げみたいにちょっとザリッてするのが気持ちいい。
ラース君は脚は、短毛と言えどディーより長いのでこうはならないんだよね。
ちなみに、ウルクは毛質がディーより硬いのか、しっかりザリザリする。が、逆撫ですると怒られる。
毛の流れに反して触られると、ゾワゾワするらしい。
「ふぃー」
尻尾の先まで堪能して、ようやく一息吐く。
そんな私の様子を見て、お兄ちゃんが笑う。
「ネマは変わらないなぁ」
いや、さすがに変わっているでしょ!
パウルの厳しい指導のもと、立派なレディになっているはず!!
未来の自分に会ってみたいけど、この場にいないってことは、会っちゃいけないパターンなのだろう。
私と入れ替わりに、未来の私が過去に行っているとしたら……パパンたち、驚きすぎて心臓が止まりかけるんじゃなかろうか?大丈夫かな??
「旦那様、戻っておいででしたか」
私に水分補給をさせるために戻ってきたようだ。
パウルの両手には、お茶のセットが載っていた。
「パウル、それは部屋に用意してくれ。ネマ、お茶にしよう」
パウルは畏まりましたと、踵を返す。
パウルの後ろ姿をなんとなく見て、パウルの言葉がおかしかったことに気づく。
「旦那様?」
なぜパウルはお兄ちゃんを旦那様と呼んだのか?
旦那様と呼ばれているのはパパンだ。
ということは……。
「当主は僕が継いだからね」
やっぱり!
ガシェ王国は元々、世代交代が早い。
ほとんどの貴族は二十代で跡を継ぎ、数年は先代のフォローを受けながら当主業を行う。
新当主が問題なければ、先代は悠々自適な隠居ライフを満喫する。
小さい頃から嫡男として教育され、家門を守っていると考えると、リタイア以降が本当の人生の始まりなのかもしれないね。
「じゃあ、おとう様とおかあ様は屋敷にいないの?」
「今はカーナのところにいるはずだよ」
「ん?」
お姉ちゃんの嫁ぎ先に遊びにいっているってこと?
詳しく聞こうとしたけど、屋敷に戻るよう促されて、質問をぐっと堪える。
家族団欒する部屋に戻り、まずは水分補給。
ぷはー!遊んだあとの一杯は美味い!
「それで、おとう様とおかあ様がおねえ様のところにいるってどういうこと?」
気を取り直して質問すると、お兄ちゃんはあっさりと教えてくれた。
「カーナはシアナ特区の研究所を拠点にしているんだ」
私はうんうんと頷く。
「我が家の研究所の長を努めていることもあって、なかなか屋敷に帰ってこられないから、父上たちが視察の途中で寄っている」
お姉ちゃんが我が家の私設魔術研究所の所長かぁ。
きっと、いろんな魔道具を作ることに夢中になっているのだろう。
だから帰ってこないと。
視察に行っているのは旦那様だとパウルは言っていたけど、パパンの間違いなのか?
「じゃあ、おとう様の視察に森鬼たちが同行しているのね」
「あ……」
しまった!って顔をするお兄ちゃん。
私も何ゆえにその反応?とお兄ちゃんを見つめる。
「ごめん。僕の視察先に二人を置いてきた」
「えぇぇっ!?」
お兄ちゃんの言葉に驚いて見せたけど、冷静に考えると大げさだったわ。
だって、魔物たちがいる場所を視察していたんでしょ?
代主や貴族がいる場所に二人を放置してきたのなら大問題だけど、魔物の中なら魔物同士なので問題ない。
そのことを確認すると、魔物の拠点に置いてきたとのことなので一安心。
でも、私が元の時代に戻るまでに帰ってくるかな?
強くなった海、すっごく見てみたい!




