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★13巻お礼小話 確実に引き継いでいるママンの血。

アニメ化企画進行中ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

詳しくは活動報告にて。

宮殿の敷地はとにかく広いのだが、こんなものまであったとは……。

私の目の前にそびえるは、野球場に似た何か。

いや、屋根がついているので、ドームの方が近いかもしれない。

先帝様が若いときに造らせた、警衛隊専用大型訓練場である。


今日は、ここで行われる訓練の見学にお呼ばれしたのだ!

ダオの警衛隊とクレイさんの警衛隊が合同訓練をするからって。


「ネマ!こっちだよ!」


案内された先は、観客席と呼ぶには席数が少ない上に豪華仕様な一角。

そこにダオとマーリエ、クレイさんの姿があった。

警衛隊の訓練って、実は完全非公開の極秘扱いなんだって。

隊員の得意不得意を調べられて、警備の穴をつかれるとまずい、という理由からだそうだ。

隊員の顔ぶれがそうそう変わらないから、時間をかければ調べられそうだもんね。


「ダオの隊長さん、なんかきんちょうしてる?」


訓練場に整列している隊員たち。

クレイさんの警衛隊はキリッと気合いの入った雰囲気だが、ダオの警衛隊はみんな緊張してガチガチな様子だ。


「ダオのところは合同訓練が初めてだからだろう」


クレイさんがそう教えてくれた。

ダオはまだ公務を行っていないので、他の皇族の警衛隊と連携を取ることもなかったということか?


「他の警衛隊は合同訓練をよくやっているの?」


ダオは他の皇族たちの警衛隊がどんな感じなのか気になるようで、クレイさんにいろいろと質問をしている。


「他の警衛隊にも隊内のことを知られないようにするのが慣例となっているから、めったにやらないんだ」


皇族同士で同じ公務にあたることもあるのに、他の警衛隊を知らないで護衛ができるの!?

私が驚いた顔をしたからか、クレイさんはちょっと気まずげに理由を語り始めた。


「合同訓練をするようになったのも、祖父上の時代からなんだ。兄弟の皇族を亡き者にしようと企む者が昔いたことから、相手に手の内をさらさないようにと、警衛隊の交流がなかったそうだ」


皇帝になるには、聖獣の契約者って明確な基準があるにもかかわらず、そんな恐ろしいことが!!

長く続く国だけあって闇が深そう……。


「だが、これから公務に出ることになるダオの警衛隊には必要なことだ。我が警衛隊は、兄上やエリザのところと違って突出した部分はないが、その分、欠点もないと自負している。だから、ダオの警衛隊のよし悪しを見えやすくできると思っている」


クレイさんは、ダオのお手本になろうとしているのか。

確かに、お手本にできそうなのはクレイさんのところしかないかも……。

陛下方は聖獣の能力に合わせて警衛隊を構成しているし、テオさんとルイさんのところは獣人が多めで、エリザさんのところは魔法を主軸に組んでいるらしい。

アイセさんのところは隊員数が少ないということ以外不明で、警衛隊員を連れているのを見たことがない。

マーリエ父の警衛隊は……存在感が薄い。気配を消すのが上手い人の集まりなのかも。

改めて思うが、我が国の近衛騎士たちが正統派な近衛でよかった!

警衛隊がガシェ王国にあったら、ヴィがヤバいを通り越した集団を作りそうだもの!!


「そろそろ始まるみたいよ」


マーリエは興味ないかと思いきや、意外にも真剣な眼差しで訓練場を見つめている。

ダオに関係のあることだからかな?


クレイさんの隊長さんが、何か一言お願いしますとクレイさんに言う。


「いつも通り、実戦のつもりで全力を出すように」


こういうとき、一言と言いながら長々と話すお偉いさんが多いのに、クレイさんは本当に一言で終わった。

そして、ダオもと促す。


「あ……僕は、剣術もまだまだだけど、強くなりたいので、みんなの強いところを見せてください!」


最後だけが丁寧になっちゃうのもダオらしいね。

恥ずかしいのか、顔が真っ赤になっているのが可愛い。

よくできましたと、ダオの頭を撫でているクレイさんも、その可愛いらしさにメロメロだ。

それに、強いところが見たいなんて言われたら、警衛隊員たちもいいところを見せたくなるだろう。

警衛隊員たちはこちらを見つめ、号令に合わせて一斉に礼をした。


クレイさんの警衛隊が襲う役で訓練は始まった。

守る要人はダオの隊から出すと、動きを予想して守りやすくしてしまうため、クレイさんの隊員が努めている。

訓練とはいえ、激しい剣戟の音がここまで届く。

ダオ隊は前衛と後衛で陣形を組み、前衛は剣と文様符(もんようふ)を使い、敵役を倒していっている。

訓練ってこんなに流血するものだったっけ??

致命傷を与えないように、多少の手加減はしているみたいだけど……。

あ、死んだふりしている人を発見!

上手いこと転がって、邪魔にならないところでパタリと動かなくなった。

怪我をした人は一度下がって治癒魔法をかけてもらい、復帰する人としない人に分かれている。

そうやって、敵役の人数を減らしていくのか!


ダオ隊の方が優勢に見えたが、長引くにつれて前衛がどんどん押されていく。

クレイ隊の獣人たちに手こずっているせいだと思われる。

力自慢の獣人たちが、ダオ隊の隊員を豪快に訓練場の端までぶん投げていた。

ぶん投げられた隊員が前線に復帰するまでの時差を利用して、武器を持った人間の隊員たちがダオ隊の要人に迫る。

ダオ隊は土魔法を駆使してバリケードを作るも、ここでまさかの上空からの攻撃!!

獣人の力を利用して、高くジャンプしたクレイ隊の一人が要人に向かって魔法を放つ!

ダオ隊も応戦するが、魔法の発動が遅れ、クレイ隊が放った魔法の方が先に要人に届いた。


「それまで!」


要人役は魔法を受けて気を失っている。

戦闘が終わると、治癒魔法を使える隊員たちがあちらこちらで怪我をした隊員たちを治していた。


「純粋な武力が足りていない。獣人一人に対して、二、三人がかりで対応していただろう?獣人には獣人を当てなければ」


クレイさんの感想に、私もなるほどと頷く。

ただ、この戦闘訓練を見ていて思ったのだが、魔法を使っているわりには広範囲の魔法を使っていなかったのが気になる。

訓練だからなのか、クレイさんに質問してみた。


「広範囲に効果をおよぼす魔法はそれだけ魔力を使うし、行使する魔術師の隙が大きくなる」


「でも、文様符を使っていたよ?」


「文様符を使っていた者たちは、自分の属性ではないものを使っていたんだ」


それなら、もっと効率よく広範囲に攻撃できるのでは?


「敵が固まっているところを水の魔法で敵をぬらして、雷の魔法でビリビリにすればよくない?」


雷の魔法は風の上級魔法だが、警衛隊になら使える者もいるだろう。

その雷の魔法を発動させるまでの間、魔術師の一人や二人、守ることできそうだよね?


「……ネマ、水をかけても雷でビリビリしたりしないんだよ」


なぜか慈愛に満ちた眼差しを向けられた。

こちらの世界ではビリビリしない?なんで??


「雨のときでもビリビリしないの?」


「嵐のときの雷でも、そういうことは聞いたことないな」


なんでだろう?性質が違うのかな?

……はっ!!電解質か!

魔法で作られる水は不純物のない水だということを思い出した。

電気を通す性質のものが溶け込んでいなければ、純水は絶縁体だ。そして、不味い!!

味はさておき。つまり、電気伝導率のよい水溶液を作ればいいわけだが……やっぱり食塩水だろうか?

化学的なことは真面目に勉強してこなかったのでさっぱりだ。

つか、実験や研究は魔術師たちが自分でやって、最適化すればいいんじゃね?

丸投げになってしまうが、魔法が使えない私は適切な回答はできないと思うし。


「雷のビリビリを通す性質を持ったものを水にとかすの。そうしたら、ビリビリが通るでしょ?」


それが何かっていうのはわからない。

この世界にも塩はあるが、地球の塩化ナトリウムと同質とは限らないからね。

しかし、魔法で『美味しい水』があるのだから、電気を通す水を作れるはずだ。


「ネマの言うビリビリがいまいちわかりづらいのもあるが……」


「えっ!ビリビリしたことないの!?」


いや、さすがに感電したことある人の方が少ない……地球にはそこそこいるね。

静電気の実験で、バチッて一斉に感電していたわ。


「冬に服がバチバチしたり、金具をさわったときにバチッてなったり……」


自分で例を挙げておきながら、おや?って思った。

そういえば、こちらで静電気を感じたことがあっただろうかと。

でも、ラース君が雷の魔法を使ったときに、肌がピリピリしたのは覚えている。


「うーん、記憶にないなぁ」


クレイさんだけでなく、ダオとマーリエもないと言う。

それなら、体験してもらった方がわかりやすいかも。

ラース君が雷の魔法を使って帯電するなら、静電気のビリビリ実験ができるはずだ!


「森鬼、精霊さんにビリビリできるか聞いてくれる?」


「……ちっこいナノはできないから、できる精霊を呼んでくると」


ふむ。下位精霊だと雷に関連する現象は起こせないのか。

そういったことも知らないから、調べてみるのも面白そうだな。


「ネマ、何を企んでいるの?」


「たくらむだなんて人聞きの悪い」


純粋な知的好奇心だよ!



訓練を一時中断してもらい、静電気のビリビリ実験をすることにした。

いわゆる百人おどし。江戸時代からある立派な実験だよ。

訓練場の半分ほどを使い、みんなで手を繋ぎ、輪の状態に広がる。


「精霊さん、ちょっとピリッてくるくらいでいいからね!いっぱいビリビリするのは絶対ダメよ!」


精霊に力加減を間違わないよう念押しは忘れない。

一応、電気ショックで心臓が止まる可能性を考慮して、治癒魔法が使える隊員さんは実験に加わらずに見学してもらっている。


「じゃあ、お願い!」


………………あれ?

私に静電気を溜めることになっているのだが、何も変化がない。


「主、風の聖獣に守られているから、ビリビリとやらを送れないと言っているぞ」


風の聖獣……ラース君ってことだよね?

精霊以外に何かあったかな?

……あっ!思い出した!

ヴィからもらった腕輪だ!たぶん。

でもこれ、確か常に身につけていろって言われてたような……外しちゃっても平気かな?

とりあえず、ラース君にビリビリ実験するから腕輪を外していいか聞いてみるか。

精霊を通じて何度もやり取りすることしばし。

精霊さん、長距離を行ったり来たりさせてすまん。

途中でヴィも口出ししてきたが、最終的に条件付きで腕輪を外す許可が下りた。


『腕輪を外している間、ラースが呼んだ精霊を側に置くこと』


私は精霊の姿が見えないので、邪魔になることもないしいいかと承諾したんだけど……。

まさか、こんなことになるとは思わなかったよ。


ラース君の命令でやってきた精霊は、風の上位精霊一体と同じく風の中位精霊が二体。

森鬼曰く、中位精霊の二体はダオの交遊会事件のときにもいろいろと手助けしてくれた精霊さんらしい。

これに狂喜乱舞したのがエルフたちだ。

仕事中であることも忘れて、最初に来てくれた上位精霊も合わせて精霊たちを取り囲み、今にも跪いて拝みそうな勢い。

怖いから!

ヤバい集団の絵面になってるから!!


◆◆◆


風の上位精霊の姿は見えないけど、私のかけ声で静電気を用意してくれたのがわかった。

なぜなら、私にめっちゃ静電気が溜まっているからね!

視界の隅で、髪の毛がボサァッて逆立っているのが見える。下敷きを使わずに、スーパーサ○ヤ人状態になっているの凄くない?


「せーの……」


バチィッ――


「い゛でっ!!」


クレイさんの手に触れた瞬間、大きな音と青い光が発生し、私の悲鳴も出た。

放電の衝撃が想定していたよりも痛い!!

それなのに、みんなの反応は(かんば)しくない。私一人痛がっているのはなんでだ!


「ビリビリというより、なんかむず痒くなったよ?」


「むぅ」


クレイさんの感想に納得のいかない私。

実験の手順は間違っていないはずなのに、何かいけないんだろう?


「主、でかいナノが耐性があるからと言っているぞ?」


「耐性って……魔力の属性が関係しているの!?」


森鬼を通じて精霊に質問した結果、どうやら風属性の魔力は電気を通しにくい性質があることが判明した。

まったく通さないわけではなく、電気抵抗率が大きいって感じなのかな?

それなら、強めにすればビリビリを感じられるだろうけど……風属性以外の人はヤバいことになる。

なので、風属性持ちは遠慮してもらって、他の属性の人間と獣人だけで実験を続行することに。


「どうしてわたくしが先頭なのよっ!」


「マーリエ。円形だから、どこが先頭ってないと思う」


「減らず口をっ!」


ダオと一緒にしれーっと円から外れようとしたマーリエを、逃がさないとばかりに私の隣に連れてきた。


「ダオたちもあとで実験するんだし、感想を言い合ったりできなくなるよ?」


こっそりとマーリエに耳打ちすれば、躊躇するような様子を見せた。

ふっふっふっ。わかりやすくて可愛いねぇ。

ダオはこういった体験するものが好きだから、感想を語り合えると楽しいよ?


「いっしゅんで終わるから、ね!」


なんとかマーリエを丸め込み、もう一度ビリビリ実験に挑戦だ!


「……ネマ、髪の毛がすごいことになっているわよ?」


「知ってる!」


実験を止めようとしているのか、マーリエは静電気で逆立った髪の毛を指摘してきた。


「いくよー!せーの……」


バチッ――


「ひゃうっ!」


すぐ近くからめちゃくちゃ可愛い悲鳴が上がった。

他の野太い悲鳴はどうでもいい!

マーリエを見やると、しゃがんで縮こまっている。

おそらく、両手で顔か口を覆っているんだと思う。


「マーリエ、かわいぃー!!」


しゃがんだままのマーリエをぎゅーってハグすると、即座に文句が……。


「人前でなんてことをっ!」


「友達だからいいでしょ?」


「と、友達だからって礼節をおろそかにするんじゃないわよ!」


恥ずかしさからくるツンツンモードが炸裂している。

これ以上いじると本当に嫌われそうなので、渋々マーリエから離れた。

というか、マーリエ……ビリビリの衝撃は恥ずかしさでどっかいってしまったのでは?

私もマーリエの可愛さでどっかいっちゃたし。

まぁ、警衛隊員の様子を見るに、ちゃんとビリビリは伝わったようだけど。

みんな、両手をにぎにぎしたり、隣の人と興奮気味に話しているからね。


「マーリエ、もう一回ビリビリいっとく?」


「結構よ!」


食い気味に断られた……。

なかなかマーリエが楽しんでくれる遊びがないなぁ。

さすがにビリビリ実験はないと思っていたけどね。


「ネマ、僕たちはやらないの?」


「やるよ!風属性持ちの人はちょっと工夫しようと思って」


ダオに催促されたので、急いで実験内容を説明する。

風属性持ちの人間とエルフで、下級・中級・上級・特級の順に並んでもらう。

私の見立てでは、魔力が多いと電気抵抗率も大きくなるはず。

なので、段階的に強くしていって様子を見る。

さすがに上級や特級に合わせたビリビリだと、下級や中級の人が危ないからね。


「じゃあ、最初はさっきやったのと同じくらいのビリビリからいくねー!」


三度(みたび)、なんちゃってスーパーサ○ヤ人と化す私。

一部の人が一生懸命笑うのを堪えているのが見えた。

笑うのは構わないが、ダオのキラキラお目めから発せられる『早く』の圧に耐えられないのでやるよ!

すると――。


「ゔゔぅ……」


「二の姫様、大丈夫ですか!?」


バチッとやったら、またもや私には強い衝撃が……。

下級の風属性の隊員が心配してくれるが、それよりも大事なことがある!


「ビリビリはどこまで伝わった?」


私がそう問いかけると、先頭から順番にどう感じたのかを教えてくれた。


「むずむずなら感じました!」


「私もです」


「僕はなんとなくでした。何か感触はしたのですが、痒いとかではなく、何かが触れたような……?」


思った通り、中級になったとたんにビリビリの感触が弱くなり、次の人に伝わっていない。

中級の人は、下級の人より電気が通りにくいということだ。

それなら倍のビリビリを流して……と言いたいところだが、そうすると私の手が大惨事になりそうな予感。

やっぱり、自分の体に静電気を貯めるのは無謀だったか?


「主、どうした?」


「んー、これ以上のビリビリは私の手が心配だなって」


「代わりに俺がやるか?」


森鬼の申し出は大変ありがたいが、森鬼も魔力を持っていないので同じなのでは?

まぁ、私の柔肌よりはマシかもだが。

ひとまずやってもらって、痛みが強いようなら別の手段を講じるか、実験自体を中止にしよう。


森鬼の体に先ほどより倍のビリビリを貯めるよう、精霊さんにお願いした。


「……たまってる?」


森鬼に変化がまったく見られない。

森鬼がなんちゃってスーパーサ○ヤ人状態になるのを楽しみにしてたのに!!


「右腕に貯めているぞ?」


なんですと!?

触ると放電しちゃうから触れないけど、体全体ではなく、部位で留めておけるものなの??

ひょっとして、こっちの世界では常識だったりする?


「二の姫様。精霊術師は、精霊様にお願いした現象の影響を受ける受けないを選ぶことができますよ」


エルフの隊員にそう言われ、私は目から鱗だった。

雨を降らせてとお願いしたら、精霊術師は雨に濡れる濡れないを選べるってこと!?

魔法も効果をおよぼす相手を限定できるんだから、精霊術師もできておかしくはないか……。

じゃあ、やっぱりこの世界の常識だった??

そこら辺は終わってから質問するとしよう。


風の中級と上級の人で輪を作り、森鬼が触れると……。

今までで一番大きな音がして、全員ビリビリを感じられたようなリアクションを見せた。

とは言っても、上級の人はなんかムズムズしたくらいだったけど。


「すごい!ネマの言った通り、なんかビリッてきた!」


ダオは静電気を感じられたことが嬉しかったのか、頬を紅潮させてはしゃいでいる。

ワクワクが抑えられない男の子感が全面に出ているのが、また可愛い。


この調子で上級、特級の人に合わせた静電気を流す。上級はちゃんと静電気を感じられたようだが、特級の人は可能な限り強めても、全然ダメだった。

つまり、ヴィにビリビリな悪戯はできないということだ……。残念!!


「じゃあ、今度は手が水にぬれた状態でビリビリを体験してもらいます!」


これは全員ではなく、中級の人のみで実験する。

その状態で、同じ強さの静電気を流して、ビリビリの感じ方を比較してみるのだ。

その前に、美味しい水が電気を通すのか調べないと!

念のため、これ以降は火気厳禁で!

電気分解で水素と酸素が発生したら、爆発が起きかねないからね。


水魔法が使える隊員に『美味しい水』を作ってもらい、実験に参加する隊員はそれに手を浸して、びちょびちょのまま手を繋ぐ。

濡れた状態で手を繋ぐ感触が気持ち悪いのか、数人の隊員が険しい表情になった。

森鬼が静電気を貯めた手でちょんっと突くと……。

野太い叫び声が幾重にも重なる。

放電の音すらかき消してしまった隊員たちの悲鳴と痛みを訴える声。


「ちゆ術師さん!お願いします!」


私がそう言うやいなや、詠唱を唱える治癒術師。

痛がる隊員たちを、広範囲の治癒魔法であっという間に治してしまう。


「確かに、水で濡らしたときの方が痛がっているように見える」


クレイさんがそう呟くと、濡らした実験に参加したクレイ隊の隊員さんがクワッと吠えた。


「見えるんじゃなくて、めちゃくちゃ痛いんですってば!!」


凄く力説する隊員たちの姿に申し訳なくなる。


「痛い思いさせてごめんなさい」


実験とはいえ、もっとしっかりと説明をして、それでもいいよっていう有志だけにするべきだった。

実験の方にばかり意識がいってしまい、隊員たちの気持ちを置いてけぼりにしたから。


「いえ、我々が甘くみていただけですので!二の姫様は謝らないでください!」


クレイさんに訴えていた隊員さんが慌ててそう言ってくれるけど、余計に罪悪感を覚える。


「ネマ様はカーナ様にそっくりですから、実験に夢中になっちゃったんですよね!」


しょんぼりした私を慰めようとしてくれたのか、スピカがとびっきり明るい声でそう言い放つ。


「おねえ様にそっくり……」


似ていないとはよく言われるけど、確かにお姉ちゃんも魔法のこととなると周りが見えなくなるタイプだ。

そして、それはママンも同様で……。母方の血がそうさせるのか?

今まで、自分はパパンに似ていると思っていたけど、ママン似なのかな??


こうして、ビリビリ実験はなんとか終わったのだけど、最後にダオがとんでもない発言をした。


「こういう、他が使わない魔法を使う隊にしたい!ネマ、もっと他にない?」


……ダオの、開いてはいけない扉を開いてしまったのかもしれない。



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