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第28話『カーくん』 後書き:小話

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犬獣人(神獣人)フェルナによって《夢牢の核》が破壊された直後、夢幻の静域にそびえる木々から、無数の繭がぽたり、ぽたりと垂れ落ちていく。


繭の中に囚われていた人々が、次々と目を覚まし、ぼんやりと辺りを見回していた。


何故解放されたのか分からず、ざわめく人々。

その様子を尻目に、フェルナは涙目で呟く。

「ごはん……?あれ?ここって、元の場所……」


その時──。

煌めく魔石をくわえた一羽のカラスが、ふらふらと羽ばたきながら空を舞い、フェルナの肩に、ぽすんと着地した。


息も絶え絶えのカラスをじっと見つめ、フェルナはぽつりと呟いた。

「美味しそう……」

「ク、クワァッ!?」

びくりと跳ねたカラスの口から、煌めく魔石がぽろりと落ちる。

フェルナは反射的に手を伸ばし、それを軽やかに受け止めた。


「お、お待ちください!わ、私は《断絶の翼》──カーヴァ=ノワと申します!」


羽をばたつかせながら、カーヴァは必死に言葉を続ける。

「お名前を伺ってもよろしいでしょうか!」


「フェルナだよ。こんにちは、カー……くん?」


「フェルナ様──お助けいただき、誠にありがとうございます!」

カーヴァは深々と頭を下げた。


「先ほどフェルナ様が打ち滅ぼされたノクスという魔物は、冒険者たちの意識を囚え、無敵の領域を築いておりました。

ですが──あの一撃!まさに奇跡のような光景でございました!」


「ノクス……?……ごはんくれなかったやつ?」


「そ、そうです!

あの時、にっくきノクスめの蜘蛛糸を通じて、私はフェルナ様の魔力の深淵に触れることができました。

そして確信いたしました──フェルナ様のポテンシャルは、私が生涯をかけてお仕えするにふさわしいものであると!


私はこのような身なりではございますが、ユニークスキル《魔力絶縁》を持っております。

本来ならば、魔力の流れを遮断することで、装備や術式の干渉を防ぐことが可能です。


今回は不意を突かれ、ノクスに捕らえられてしまいましたが……次こそは、きっとお役に立てるかと存じます!」


カーヴァは羽を広げ、胸を張った。

「どうか、この《断絶の翼》、カーヴァ=ノワを、フェルナ様のお傍に置いていただけませんか──!」


「えー……お傍にって言われても……絶対ローさんが怒ると思う。

それに、そういう力は秘密にしろって、おじーちゃんに言われてるから困るよ」


「なるほど──

“ローという方が認めそうにない”。

そして、“力については秘密にしろ”とご家族から言われている。

つまりフェルナ様は、ご自身の立場と周囲との関係性を考慮し、私を迎えることに躊躇されている……ということですね」


カーヴァは、くちばしを軽く鳴らしながら、丁寧に言葉を続けた。

「それでは、問題解決のためにお伺いしたいのですが──。

ロー様をはじめ、仲間の皆様の性格や懸念点について、少し教えていただけますか?」


「えーとね、ローさんはいつも“この駄犬め!赤字だー!”って怒ってるかな。

でも、エルマさんとカイルさんとララさんは、たぶん怒らないと思うよ」


カーヴァの瞳がわずかに輝いた。

「お仲間は……カイル様、と申されましたか?

……なるほど。夢牢の中で、彼と短く言葉を交わしました。


あの方の意志の強さと、仲間を想う心。今でも鮮明に覚えております。

そのカイル様が、フェルナ様の仲間であるならば……私は、このご縁を大切にしたいと感じております」


カーヴァは小さく頷き、羽を整えながら言葉を続けた。

「ご安心ください。フェルナ様の秘密は厳守いたします。

そして、明確なメリットを提示できれば、受け入れていただける可能性が高いと判断いたします。

また、ロー様に対し、懸念を払拭するための実務的な貢献を提案する手段は心得ております。


そして何より……ロー様が、フェルナ様に対して少々当たりが強い点が気に掛かります……。


しかし、全て、私カーヴァ=ノワにお任せください。


ロー様には、自らの暴言を悔いて深く反省していただくと共に……。

ここはひとつ、本日の給仕係などを担当させ、態度の改善を促してみせましょう」


------------


身体強化系:《高速木登り》《高速滑空》《千里眼》

便利系:《サーチ》《鑑定》

皮膜系:《収納膜》《防御膜》《隠密膜》

尻尾系:《ファントムテール》

肉球系:《ジャンプスタンプ》《ショックスタンプ》《エアスタンプ》

ヒゲ系:《ウィズセンサー》《ウィズスピア》


ラースのパーツ:

《言語パーツ》《通信パーツ》


---

ノクスは、囚えた全員の魔力を最大限活用しておりますが、その強化にはわずかなロスがありました。


例えば10の力を持つ冒険者3人を囚えていた場合、強化された核の防御力は、3人の合計よりも少し低い、29程度となります。


そのため、囚われた全員が「せーの」で全力をぶつければ、核を破壊することが可能。その程度の能力でした。


…しかし、囚えた人数が多いほど、「せーの」は難しくなります。

それに加えて、今回のように互いが"断絶"されてしまうと、タイミングなど合わせようもありません。


フェルナ様の持つ、"内側から湧き出る無限の力"こそが、ノクスを打ち破る唯一の手段であったと言えます!


このような御方に出会えたことは、まさに神の導き…このカーヴァ、一生をかけてお仕えする所存にございます!クワァッ!


******


次回2025/12/13、0:05頃、次話を更新予定です

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― 新着の感想 ―
カーヴァくんかわいい! 口調が論理的なのに隠しきれないポンコツさもいとおしいですね。 フェルナといいコンビになってくれそうで、これからの周りの人との掛け合いが楽しみです!
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