38.偶然ではなく必然
いつもとは違う時間での投稿ですが本日2回目の投稿です
皆様良い週末をお過ごしください( ˙꒳˙ )ノ
「あぁ…アリー、君が僕の知らない所で危険な目に遭っているのを知って頭に血が上ったけど…、冷静に考えた方が良さそうだ。まずは話してくれてありがとう。最初のそれは、アデルバート殿下と兄上が学園に来た時の話だね?長い期間辛かっただろう…よく耐えて偉かった。ここにいる皆んなのお陰もあるかと思う、皆んなもアリーシアの支えになってくれて本当にありがとう…
心からの感謝を。
そもそも話を聞くと、あの女の接触頻度が多い様に感じるが、ジュリアン様達はどこまで把握してた?僕の方にも報告来てないんだよね…あの女が隠密行動に長けてるとは思えないんだが…これは後ですり合わせをしよう。
そして魅了についてだが…これに関してはなんとも言えないな…遠い遠い昔には人々を魅了する魔法があったらしい、特定の人物だけが受け継がれる魔法として古い文献にあったのを以前目にした事がある。いわゆる魔女だね、今の魔法みたいに属性や詠唱による物なのか、媒体として何か必要とするのか…詳しい事はわからない。
一つ確かなのは、魔法や魔道具含め…現存する物の中に相手を魅了出来る物は、何一つ存在しない。と、その書物には書いてあったけど…それが真実なのか、意図的に書かれたのか…それさえわからないんだ…。そもそも本自体古い物だったからね、そして、もう一つ気になる事が…報告にもあったんだが、あの女は精神干渉に関する書物を所持していた。それは魔物相手に、幻覚を見せたり、自制心を弱めたり、平衡感覚を狂わせたりする植物で、おもに知能が低い魔物や動物除けやトラップに使われているぐらいだね。何故なら自我や意識、知能の高い人間には高い効果は出ないし、人に使うと罰せられる、今はそんなのに頼らずとも魔法や魔道具で事足りるから、扱っている人間は少ない筈だ。」
「お兄様…その…わたくしも詳しく知っている訳ではないので…あの…皆様も…話半分で聞いて頂きたいのですが…先程の植物ですが…痛覚を誤魔化す…例えば痛み止めの様な薬として扱われている事はないでしょうか?そのままでなくても、容量やもしかしたら種類も違うかもしれませんが…意識や感覚を麻痺させる様な……」
……………「「「 あ(りますっ)るっ! 」」」
しばらくの間をおいて、ジェイソンの他にも同時に声が上がった。ジェイソン曰く、名前は聞かなかったが、以前魔物討伐に向かった先で、現地の騎士が森の奥で怪我をした際、手持ちの薬も底をついていた為、魔物除けに植えていた草を何かして飲んでいて、本人は気休めの民間療法だと言っていたが…痛み止めの効果があったのかもしれない。と…
するとセオドアも、昔…近所の年寄りから聞いた話なのだと、前置きをしつつ…自分達平民は医者にかかれない者達もいて、そんな時は薬草に頼る事になるが、その薬草すら手に入れる事ができない者は、魔物除けの草を食べていたのだと。妹のルーナが病気になり医者も匙を投げた時、その話を思い出し、そのじーさんを頼ろうとしたが亡くなっていた為、教会や他の年寄りに聞いて回ったが、知っている者は居なかった…、なので話の中にあった"魔物除けの草"だけを頼りに探したが…この辺で使っている所は無く、自生してる物も探す事が出来なかったのだと…もしかしたら何か手掛かりになっていたかもしれないのに、と肩を落とすセオドア…。
そのセオドアの話の続きをするかの様に今度はミラが、私も話をしていいかと遠慮がちに話し始めた。
アリーシアが話した、"痛覚を誤魔化す痛み止め様な効果のある植物"…これを聞いて思い出したのだと。そう言ってミラは、自分の家の何代前かは忘れたが、ご先祖様が男爵を名乗るきっかけとなったのは、商いが成功した事であり、扱った物が草であったと聞いていた。初めて自分の家の成り立ちを聞いた時は、"草"?と訝しんだが…なんとそれは戦のあった時代に、痛み止めとして重宝されたのだと…その草のお陰で爵位を買ったのか、もしかしたら…その功績により男爵を賜ったのかもしれない。何故ならグリーンの名が付けられているからだ…。その昔話を父親から聞いた時は、まだ幼かったし興味もなかった為、記憶も薄れていた…だが今ここで、アリーシア、ジェイソン、セオドアの話を聞いてハッキリと思い出した…そしてリリーが、うちが取り扱う薬関連に興味があると言っていた事にも納得がいった。あの草…薬の事を言っていたのであれば、この王都ではうちでしか取り扱っておらず、それもごく僅かである。…その事を何故リリーが知っていたのかは謎だと、ミラは自分の知っている事と思い当たった事を全て話し、心強さを感じながらこの先を委ねた…。
三人の話を聞いたアリーシアは心の奥が震えた様に感じた。"全てが…繋がっている…"そう思えたからだ。
普段だったら集まる事がないメンバーであり、勿論これまでの接点もない…しかし、兄の話から始まり、セオドアの幼い頃の記憶、ミラの先祖の話まで…点と点が繋がり一つの道筋が出来た……まだそれらが同じ物であるかも、リリーが探っている物なのかもわかっていないし、確証がある訳でもない…しかし何故か、アリーシアは感じていた。これは必然なのだと…
恐れからなのか、武者震いなのか…全貌未だハッキリとせずだが…今この瞬間、間違いなく歯車が回り出したのだとアリーシアは確信し、そして覚悟したのであった…
ミラとリリーのやり取りは25話リリー カーターの策略
ミラの紹介は26話ミラ グリーン男爵令嬢
にあります…何の事?と思われますよね?ちょいちょい伏線回収的な事が出てきますので、前の話を引っ張り出して申し訳ないのですがお付き合い頂ければ幸いです。
(流して読まれても多分大丈夫だと思います。)
読みにくい様でしたら申し訳ないです…。すみません…




