13.アリーシアの勇姿
日本語の美しさや難しさを改めて実感しています…
図書館に残された私達は互いに顔を見合わせた…
「アリーシア様、先程はとても凛々しくございました。
私の事で怒って下さったんですよね?ありがとうございます。」
「っ!そのっ…つい……知らない方にラシュカール様があの様に言われて…わたくし…ラシュカール様はすごい方なのにって……」
「ハハハッ!あの勇敢な姿が嘘の様に可愛らしくなってしまいましたね!これは…ジュリアン様が羨ましがるだろうなぁ…さっ報告に行きましょうか?」
普段の様に気安くなったラシュカール様が私を揶揄いながらエスコートする様に腕を出してくれたので
「ラシュカール様も先程の怖いお顔が嘘の様にお優しいお顔になりましたね、フフッ」
と返事をしたら頬が染まり驚いたお顔になった…気安く返事をし過ぎたかしら…と少し心配しながらエスコートされジュリアン様の所へ向かった。
ラシュカール様は、私が図書館で突撃された所から一言一句漏らさず報告をされた。ジュリアン様は
「いい度胸だ…」
と…とても不穏な空気を醸し出し笑ってらした…怖い…
「ジュリアン様、アリーシア様にお見せ出来ないお顔になってますよ!この件は後にして、貴方様の優秀な側近を身を挺して庇って下さったアリーシア様を優しく労って下さいませ。」
「お前…自分で優秀とかよく言えるな?」
「アリーシア様自ら仰って下さったんですよ?かっこよかったなーさっきのアリーシア様!謝罪なさい!って、迫力満点でしたよ!」
「ラッ!ラシュカール様!…おやめ下さい…わたくし
恥ずかしい…」
そう言って顔を真っ赤にして両手で顔を覆うアリーシアをラシュカールから隠したジュリアンは
「アリーシア、ラスカルの矜持の為に戦ってくれたのだな、ありがとう。アリーシアの勇姿を讃え何か礼をしたいのだが…その…何か欲しいものとか、して欲しい事はないかっ?なんでもいいぞっ!」
「もうっジュリアン様まで揶揄わないで下さいっ、それになんでもなんて殿下が軽々しく仰ってはいけませんっ」
「わかっている、でもアリーシアは特別なんだ…では、揶揄ってしまった詫びとしてならどうだろうか…?」
「………でしたら……あの…ラシュカール様の事を…」
「なにっ?ラスカルがどうしたっ?何故そこでラスカルの名が出てくる!」
「その…ジュリアン様の近くに来るようにラシュカール様を呼んで下さいませんか?」
「「 ?????? 」」
「こっちへ来い?」
「もっと優しく柔らかく…最後に名前を呼んで下さい」
「「 ?????? 」」
「さぁ…もう一度お願いします…おいで…と…」
「お…おいで …ラスカル…」
「!!ありがとうございますっジュリアン様っ!!!」
訳が分からない二人をよそにホクホク顔のアリーシアはもう一度お願いしますっと懇願していた…珍しく興奮したアリーシアのお願いを二人は戸惑いつつも叶えてあげるのであった……。
後日…ジュリアンとラシュカールはアリーシアより、
黄色い毛並みでシマシマの大きな尻尾を持った…少しぽっちゃりしたアライグマという動物のぬいぐるみを進呈された……
そして、アリーシアの気を引く為、アリーシアがいる所でジュリアンはラシュカールを必要もないのに何度も優しく近くに呼んでいた。それを遠目に見ていた女生徒達がまたもや新しい扉をノックもせずに開いていった……
アリーシアはジュリアンにラシュカールの事を紹介された時、ラスカルとあだ名で呼んでいるのを知って…思い出してしまったのです……。それからこの状況をずっと狙ってました。もちろんアリーシアは、おいで〜今日も…って歌を脳内再生して楽しんでいます。
このお話とは別に短編作品を投稿しましたので、お時間ありましたらお立ち寄りください。




