【純文学】あたしのオノマトペって、変?2
「まぁまぁ、お嬢さん。あったかいコーヒーでもいかがですか?」
お店のおじさんがそう言って、紙コップにインスタントコーヒーをどぴゅどぴゅ入れてくれた。
スティックシュガーをどろどろ入れて、ポーションミルクをズボッと入れて、ガリガリかき回す。
あたしはそれを両手で持つと、思わず口から「いたっ!」と声が漏れた。
「これ、あったかくないじゃん! バクバクに熱いじゃん!」
「フフフ。騙されましたね?」
お店のおじさんが正体を現した。
シャキシャキのヒゲ面を、つるっと脱ぎ捨てた。
「ミヒー!」
おじさんは悪の怪人『ヒゲヅラー』だったのだ。
「浩介! 助けて!」
あたしが叫ぶと、浩介は張り切って「王!」と言った。
浩介だって正義と欲望の超人、『なんとか』なのだ。
スマホを前にかざすと、加工アプリが起動した。
浩介の姿が変わっていく。
シャランラ、くるりーん☆とファンシーな効果音とともに。
いや間違えた。
じゅらるみん、ぐるじぃー☆とファンシーな効果音とともに、だ。
「ミヒッヒー!」
「じょわらびか!」
そんな声をあげて、二人のバケモノが対峙した。
ギックリ! と組み合う。
ぽこっ! と、浩介が怪人を投げ飛ばし、木のテーブルがへにゃらららーん! と、音を立ててぶっ壊れた。
あたしは急いで車に乗り込むと、浩介をほったらかして一人で逃げ出した。
じょぶるるるーん! エンジン音が唸る。
走り出すと、雪がフロントガラスにぼわぼわと降り注ぎ、雪山が自由の歌を歌っていた。
ヤマ√ じょんじょろりーん♪ じょんじょろりん♪




