【見た夢の記録】ミミズクさん
昨日見た夢そのまんま。
起きてからもはっきり覚えていたけど意味はわからない。
お父さんと従兄弟のお兄ちゃんと、広いお庭を歩いていた。
それはおじいちゃんの家の庭で、江戸時代に建てられたその家は、今ではとっくに取り壊されて、市の博物館に変わっている。
懐かしいその庭の、大きな池のまわりを三人で、何を探していたのかは忘れたが、探検するように歩いていると、のどかな太陽の下、向こう岸の平らでやわらかい土の上を、もふもふしたネコのようなものが、ちょんちょんと跳ねながらやって来るのが見えた。
「あれ、ミミズクじゃない?」
びっくりしてわたしが声をあげると、それがこっちを見た。
緑色の水晶玉みたいな目の中に、針みたいな瞳があった。
お父さんはいつの間にかどこかへ消えていて、お兄ちゃんと二人でミミズクさんに近づいた。
彼はわたしたちを怖がる様子もなく迎え、でもちょっと緊張したように視線を横にそらした。
「おまえ、ミミズクなの?」
お兄ちゃんが聞くと、
「うん、そろそろ天に帰ろうかと思ってた」
小学生の男の子みたいな声で、ミミズクさんがそう答えた。
わたしは引っ込み思案なので、二人の会話を黙って聞いていた。
お兄ちゃんが聞いた。
「この世を灰燼に帰す方法とか知ってる?」
ミミズクさんが答えた。
「白い鉄のケースを火で熱して飛ばすといいよ。ガンガンガンって跳ね回って、大型トラック二台まとめて灰にできる」
「それって危なくないか?」
「すごく危ないから、やめたほうがいいよ?」
「サンキュー。いくら払ったらいい?」
「じゃ、2万5千円」
財布を取り出して、お札を数えるお兄ちゃんをミミズクさんがじっと見てた。
すっとぼけたような顔で横を向くと、お金は受け取らずに飛び上がった。
高いところへ消えていくミミズクさんのお尻を見送りながら、わたしは『やっぱりミミズクさんはお金には興味がないんだな』と嬉しくなっていた。




