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【詩】スカイブルーの瞳
彼の瞳は日本人だった
シーソーを漕ぐようにそれが揺れる
何か嘘をついているのだ
そして私のすべてを許すよと優しく笑った
私の瞳も同じ色をしていた
睨む色を浮かべて優しく笑う
甘い声を作れば彼が照れ笑いをした
それで彼のすべてを操縦できると自惚れた
ひとつのかき氷をふたりで食べ終えて
草の広場にふたりで寝転んだ
真正面に夏の空があった
掴みきれないほどの空があった
あなたのねころびが好きだった
自分のねころびは許せなかった
さっき食べたかき氷の色はスカイブルー
空の色はそれよりも複雑だった
少し身を起こして
彼の目を覗き込んだ
うん? というように尋ね返してくるように
彼の瞳が空の色を浮かべた
彼の瞳の中で
空が黒くなった
この日本人の瞳が
スカイブルーに染まればいいのに




