【詩】茨城のおじさん
茨城のおじさんは
いつでも作業服を着ている
作業服と同じ色の帽子をかぶって
いつも草刈りをしている
早い朝にあくびをしながら
朝食でお腹に詰めてきた納豆パワーで
元気に草刈り機を回す
県道の脇にはいつでも赤いコーンが立っている
車に間違って轢かれないようにするためだ
でもおじさんはいつでも車道に体をはみ出して
車がギリギリを通っていっても身じろぎもせずに
いつでも草刈りをしている
納豆パワーのたまものなのか
それともニブすぎるのかはわからないが
茨城のおじさんは
他のどの県のおじさんよりも
どっしりしている
しかし体の線は細い
そんな茨城のおじさんが
茨城県にはクローン人間のように散らばっていて
どこの道を通っても赤いコーンが立っていて
どの時間帯を車で走っても草刈りをしている
みんな日に焼けていて
みんな同じ服を着ていて
みんな同じ帽子をかぶり
みんながあくびをしている
みんな体の線は細いのにどっしりしていて
牛久の大仏さまに似ているところはちっともなくて
全身から納豆の匂いを漂わせて
納豆以外はけっして食べないなんて
そんなことを言ったら
私は茨城県人から嫌われること間違いなしだ




