【してはいけない企画失敗作】けっしてバンガ・ボンゴしてはいけない部屋
親友の美沙が一日だけマンションの部屋を留守にするというので、私が留守番をすることになった。
留守番とはいっても、じつはお願いしたのは私のほうだ。彼女の豪華なマンションの部屋にぜひとも住んでみたかったのだ。
「なんでも自由に、好きにしてね。ゲーム機は好きに使っていいわよ。蛇口も好きにひねってね。猫とも好きに遊んで。スマホも見ていいし、オ・ナラもしていいわよ。カブトムシを放たれるのは困るけど、鏡は見てもいいし、笹門 優にツッコミ感想をつけられてもべつにいいし、ダジャレも言い放題、ドリフのコントを観て笑ったっていいのよ。ただひとつ、バンガ・ボンゴだけはしないで」
「なんて!?」
「しないでって言ってるのよ」
「だから何をって!?」
美沙はおおきく溜め息を吐くと、バカを見る目で私を見た。
「お願い。二度も言わせないで」
「ごめん……。ただ、何をしたらいけないのかわからなくて……。覚えるからもう一回だけ言ってくれる?」
「けっしてブンガ・バンガだけはしないでって言ったのよ」
「なんかさっきと違くない!?」
「いい加減にして! いいから言うことを聞いてちょうだい! けっしてパンダ・ランドだけはしないって約束して!」
「何それかわいい!」
「何がかわいいのよ!? オインゴ・ボインゴの!?」
「そんな兄弟、ジョジョに出てきたよね!?」
「いいから! バック・ドロップだけはしないで!」
「誰に技かけるんだよ!? 猫か!?」
「わからないひとね! バッド・トリップしたら本気で怒るわよ!?」
「するかよ! っていうかそういうクスリ、もしかして隠してんの!?」
「チュッパ・チュッパしないでってば!」
「それはするよ! 冷蔵庫におっぱいアイス入ってたもん!」
「ヒンナ・ヒンナしないで!」
「それ、アイヌ語で『おいしい』って意味だよね!? するよ!」
「もう、あんたなんて、知らない!」
「じゃ、好きにするよ!」
「「お後がよろしいようで〜」」




