★【異世界恋愛】私のクリスマスプレゼントに興味も示さない彼が憎い
彼へのクリスマスプレゼントに編んだマフラーが、床に落ちている。
皆が通る廊下でなく、二人だけの部屋の床だから、まだましだとでも仰りたいの? 部屋の中で履物を脱ぐらしい東洋ならいざ知らず、靴で歩く絨毯の上に無造作に投げ出された茶色いマフラー。色白な貴方にはこの色が似合うと思って、私、真心を込めて編みましたのに……。
憎い……
貴方が憎い……!
私がこれほど愛しているのに、貴方はいつでも我儘勝手! 私が抱擁を得ようとする手をするりとすり抜けて逃げていってしまう!
でも愛しているの……。
あぁ……、私の愛しいナツ。
ナツ・クン・フェレンティーノ! 貴方のことをこんなにも愛しているのです!
「フーン?」
あぁ……! 彼に独り言を聞かれてしまった! 心の声が思わず口から出てしまっていたみたい!
彼はどうでもいいように前を通り過ぎて、私がおやつに食べようと思っていたプレッツェルをひとつ口に咥え、彼の秘密基地へ持って行こうとする。
「だめっ」
首の後ろを掴んで持ち上げると、悔しそうな顔をしながら大人しくなった。
その首に、無理やりマフラーを巻きつける。
手を離すと、ブルブルと頭を振って、マフラーを跳ねのけた。
再び床の上に放置される茶色いマフラー。
あぁ……、彼は気まぐれで、自由すぎる。
フェレットの獣人を夫にしてしまった私が悪いのよね……。




