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37.元英雄、大事な存在に気づく

 ハルトとアーシャはすぐにグリード男爵家に向かった。

 残されたヴォルトは俺たちと共に魔王城の中を散策することにした。

 丁寧に作られた家具に巨人が寝ても問題なさそうな大きなベッド。

 それに子どもには見せられない拷問部屋まで用意されていた。


「さすがにこんなに広いと住めないよな……」

「「「えっ!?」」」


 子どもたちは驚いて目を大きく開けていた。

 やはり子どもにとったら大きな家がよかったのだろう。


「よかきゃった」

「オラも今の家がよかったんだ」

「マシュが家を建てたって言うからさ」


 なぜか安堵している子どもたちに俺は首を傾げる。


「お前たちはここに住みたくないのか?」

「「「うん!」」」


 即答する子どもたちの言葉に、俺は少しウルッとして目頭を押さえる。

 まさか俺の家の方が良いとは思いもしなかった。


「あしょこはだいじなの」

「思い出がいっぱいだもんね!」

「早く帰りたいなー」


 子どもたちにとったら俺の家が帰る場所で大事なところって思っていた。

 ただでさえウルっとしていたのに、涙がポタポタと溢れ出てくる。


「パパッ!?」

「とーちゃん!?」

「ボス!?」


 俺の姿に子どもたちはあたふたとしていた。

 必死になって子どもたちを育ててきたが、色々なものをもらったのは俺の方だった。

 子どもたちと出会って本当に良かったと思う。

 俺はその場でしゃがみ込むと、三人を強く抱きしめる。


「パパ……よちよちだね!」

「へへへ、とーちゃん痛いよ」

「ボスは泣き虫だ」


 マオは俺の頭を撫で、もずくは少し照れた様子で微笑み、ひじきは少し呆れたように笑っていた。

 みんな性格が違って可愛らしい我が子だ。

 少しだけ背も高くなって、成長したのを感じる。


「私も仲間に入れてくれませんか?」


 そんな空気を壊すようにマシュマロは見つめていた。

 さすがにマシュマロに抱きつかれたら、俺たち全員潰されそうな気がする。

 俺たちはマシュマロをジーッと見つめて、近寄って来るや否や離れた。


「そんな……」


 少し寂しそうな顔をしているマシュマロの肩を俺はそっと叩く。


「大きな魔王城を建ててくれてありがとう」

「ヴォルフ……!」

「だが、ここはマシュマロが使ってくれ」

「ふぇ!?」


 マシュマロが家からいなくなれば、子どもたちだけなら我が家はそこまで狭くないからな。

 俺の言葉にマシュマロは落ち込むかと思ったが、なぜかやる気に満ちていた。

 きっと俺たちが住みたくなる家を作ろうと決意でもしたのだろう。


「隣にあの家を持ってこればいいんですね!」

「はぁん!?」

「魔王城とくっつけたら問題ないよな。じゃあ、行ってくる」


 マシュマロはヴォルトに魅了魔法をかけているのを忘れたのか、男のように去っていった。

 あいつは転移魔法が使えるため、本当に家を移動させそうな気がする。

 勝手に移動させることを後で土地の管理者であるハタジイに言わないといけないな。

 せっかくならハタジイも一緒に住むのも良いかもしれない。


「僕もしばらくここにいたらダメかな……」


 小さな声で呟くヴォルトの言葉に俺は首を傾げる。


「何かあったのか?」

「ヴォルフ様に魔法を教えてもらいたいです!」


 俺の手を強く握る手からはヴォルトの本気度を感じた。

 だが、途中マオを意識しているのかチラチラと視線を向けているところが気になる。


「俺は厳しいぞ?」


 さすがに娘はやはないとは言えないため、少しばかりの圧を放った。


「付いていきます!」


 それでもヴォルトの真剣な顔は変わらなかった。

 きっと本気で魔法を学びたいのだろう。

 それに魔法を学びたい子が近くにいれば、我が子たちも興味を持つかもしれない。

 我が子は元気いっぱいで、このままだと脳筋タイプになりそうだしな。

 そんなヴォルトにマオは近づいていく。


「ぼると……パパはあげないよ!」


 マオは俺をギュッと抱きついてきた。

 きっと俺が取られると思ったのだろう。

 ヴォルトの片思いはしばらく俺が壁になりそうだ。

 ただ、今はマオに名前を呼ばれて嬉しそうにしていた。


「ってか今ヴォルトって呼ばなかったか?」

「ぼると……だよ?」


 ヴォとは発音できていないが、ボって言えているなら、似ている俺の名前ぐらいは言えそうな気がする。


「マオ、俺はヴォルフだ」

「うぉ……うぉうぉ、パパッ!」


 結局マオは俺のことをパパとしか呼べないようだ。


「とーちゃんはとーちゃんだよ!」

「みんなのボスだ!」


 子どもたちの言葉に俺は微笑む。

 名前なんてどう呼ばれても構わない。

 俺にとっては、この子たちが傍にいてくれることが何よりの証だからだ。

 大きな城も、豪華な家具も必要ない。

 「パパ」「とーちゃん」「ボス」と呼んで笑ってくれる、この日常こそが俺の宝物になっていた。

ここで第一章は終わりです!

一旦、更新はストップさせていただき完結済みにします。


よかったら⭐︎登録やブックマークよろしくお願いいたします。

ランキングに載りたいな| |д・)笑

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