59、決闘
今日も読みに来ていただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
モーリスの始めの掛け声と共に、両者が切り掛かる。
ハリソンは打ち込みつつ、少し様子を見ているようだ。
「ディルック!頑張って!」
私は思わず声を掛ける。
すると徐々にハリソンの剣の速度が上がっていったが、剣の速さではディルックも負けていない。
よしよし、ディルックは冷静に対応できているようだ。
上手く流して体力の消耗を防ぎつつ相手の焦りを誘う。
ハリソンをよく知る私ならではの作戦だ。
ハリソンは魔物相手ばかりで、最近はあまり対人は行っていないだろう。
ストレートに攻めてくる魔物相手と違い、思うようにいかない相手にだんだん焦りが出てくるに違いない。
「いいよ、ディルック!その調子!」
2人の打ち合いを見ているとハリソンの振り下ろす剣の重さにディルックが押されているように見えるが、実際はよくかわしている。
「クッソ!」
思うように攻撃が当たらないハリソンは徐々に苛立ち始めた。
そろそろ来るか…。
ハリソンがディルックの剣をかわして一歩下がる。
「グラビティブレイク!!」
今だ!
ディルックは大きくジャンプするとハリソンから放たれる剣の波動を避け、そのままハリソンの後ろに着地した。
バシッ。
ディルックは素早く振り向き様に木刀をハリソンの背中に打ち込んだ。
「やった!!」
私が喜ぶのも束の間、ハリソンは素早くディルックに木刀を思い切り振り下ろした。
ドゴッと音がして、ディルックが後ろの岩まで飛んでいって、岩にぶつかりそのまま座ったような態勢で動かなくなる。
「ディルック!」
「まあ、大変!」
私とユーリがディルックに向かって駆け寄ると、気絶はしているが息はある。
「ディルック!大丈夫!?」
私が慌てて声をかけると、ユーリが走ってきて治療を始めてくれた。
「あばら3本と右腕が折れてるわね。このくらいならすぐ治るわ」
「良かった…。ありがとう、ユーリ」
しんと静まり返った中、モーリスの声がする。
「1本取ったので、ディルックの勝ち」
呆けていたハリソンが我にかえる。
「待て待て、今のはちょっと油断していただけだ。何かの間違いだ」
モーリスが静かにハリソンに言う。
「往生際が悪いな。1本は1本だ」
ハリソンはガックリと膝をついた。
勝負はついた…。
しかし、1本取った後のディルックへの攻撃を許すほど私は優しくない。
私は、ディルックが気絶しながらも、まだ握っている木刀を彼の手から取った。
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