56、S級冒険者ハリソン⑤
今日も読みに来ていただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
次の日は店の休業日だ。
私はユーリ達が泊まってる宿に来ていた。
ライラ達は一人で行く事を心配していたが、同じパーティにいた仲間達だから大丈夫と私が言い聞かせた。
「アニエス、よく来てくれたわ。座って」
ユーリとモーリスの部屋を訪ねるとそこにはハリソンも来ていた。
「ハリソン…」
「アニエス、昨日は熱くなって悪かった」
ハリソンはわかってくれたのか。
ちらりとユーリの方を見ると何故か首を横に振っている。
「俺の実力で相手と剣を交えたら危うく殺してしまっていたかもしれない。モーリスに止められて良かった」
ディルックはそんなに簡単にやられないと思うが、ここは反論しないでおこう。
「アニエスにとってはお世話になった人たちだ。別れを惜しむ時間も身辺整理の時間も必要だろう。俺たちは任務があるからそうゆっくりもしていられないが、少しなら待てるぞ。もちろんしばらくゆっくりしたければアニエスが後から帰ってきてもいい」
?
私はユーリとモーリスを見た。
2人とも目を瞑り首を振っている。
頭の固いハリソンには、2人の説得も効かなかったようだ。
はーああ。
私は深い深いため息をついた。
「ハリソン、どうしたら私を諦めてガレリアに帰ってくれるの」
私はハリソンの目をじっと見て言った。
「俺はお前の価値をわかってない者達にお前を渡すつもりはない。でもそうだな…あの男が俺から1本でも取れるほどの男ならお前を託してもいいと思っている」
「あの男ってディルックのこと?何言ってるの?彼はまだC級なのよ」
ユーリの言葉に私は訂正を入れる。
「この前B級になったよ」
「それでもよ。傷は私が治せる範囲は治せるけど命はどうにもできないわ」
3人ともディルックをかなり弱いと思っているのか。
ユーリは別に悪くはないのだが、少し腹が立ってきた。
「わかったよ。ディルックがハリソンから1本でも取れたら、諦めて帰ってくれるんだね」
3人がギョッとした顔で私を見た。
「いいのか?奴はB級になったばかりなんだろう?」
自分から言っておいて何を今更とハリソンを見る。
「私はディルックを信じる。場所はこっちで決めるとしていつにする?」
「アニエス?彼に聞かずに勝手に決めていいの?」
「昨日ディルックもハリソンとやる気だったし大丈夫。ルールはハリソンに1本入れたれたらディルックの勝ちでいいんだよね?」
「あ、ああ。それでいいが…本当にやるのか?」
ハリソンは少し戸惑った様子だ。
「時間と場所はまた連絡するね。それじゃ」
私はさっさと宿を後にしてディルックの元に向かった。
ディルックとガイアスの家のドアを叩く。
「アニー、どうした?あいつらとの話どうなった?」
ディルックがドアを開け、私を家に招き入れた。
ガイアスも起きてテーブルで遅めの朝食を食べている。
「ディルックは昨日からずっとアニーの心配ばかりだな」
ガイアスがディルックに言う。
彼もこう見えて、ディルックと共に毎朝鍛錬に励んでいる。
性格は謎だが、冒険者としては真面目で優秀だ。
「当たり前だろ。俺の大切な彼女だぞ」
そう言ってくれるのは嬉しいのだが、少し言いにくい。
「あの…実は、ディルックがハリソンと戦う事になっちゃって…」
さっきは熱くなって勝手に受けてしまったが、ここまで来たら少し申し訳なかったかなと思ってきた。
「は?ディルックが?S級冒険者と?」
ガイアスが驚いて大きめの声を出す。
「ハリソン達がディルックをあまりに弱いと思ってるから少し腹が立って…」
わたしがもじもじして言うと、ディルックは私に微笑んだ。
「S級がなんだってんだ。男にはやらなきゃいけない時がある。それにS級に勝てと言われているわけじゃない。1本入れればいいだけの話だ。受けてやろうじゃないか」
「ディルック!正気か?」
ガイアスは驚きを隠せない。
「本当?ディルックならやってくれると思ってたよ。じゃあ1週間後に街の外の丘の上でどうかな?」
「ああ、望むところだ!」
私達が打倒!ハリソンと盛り上がってると、横でガイアスがため息をついた、
「あーあ、無事に生きて戻れればいいけど」
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