33、警備隊オリバー②
読んでいただいてありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
楽しんでいただけると嬉しいです。
3度目は本当に運命なのか?
3日後、いつものように食堂で使う食材を買いに行った帰りのことだ。
さすがにもう2度と会うことはないだろう、と思っていたオリバーさんが前から歩いてくる。
今日は警備隊の制服だ。
「やあ、アニー。よく会うね」
「オリバーさん、こんにちは。本当によく会いますね」
今まで全く会わなかった人がこんなに頻繁に会うなんて。
それとも今までにも会っていたけど意識してなかっただけなのか。
「この前も沢山買い物をしてたけど、重くない?俺が待とうか?」
「力はあるので大丈夫ですよ。オリバーさん、今日はお仕事ですか?」
がっしりした引き締まった体に警備隊の制服がよく似合っている。
「ああ、今は休憩中だけどね。アニーはこの近くで働いているのかい?」
「ええ。近くの、ひだまりの猫って言う食堂で働いてます」
さすがに職場くらいなら言っても大丈夫だろう。
相手の職場も知ってるわけだし、怪しい人ではなさそうだ。
「そうだったんだ。こんな可愛い子が働いてるならもっと早く食べに行くんだった」
可愛いなんて言われると照れるな…。
「良かったら今度食べに来てくださいね」
「ああ、ぜひ行かせてもらうよ。じゃあ、気をつけて帰って」
「はい、ありがとうございます」
オリバーさんの去って行く行く背中を見つめる。
制服姿、かっこよかったな…。
ひょっとしたら本当に運命ってあるのかも知れない。
この時の私は、恋の始まりと浮かれて警戒心を弱めていた。
まさかあんなことになるとは思わずに…。
「こんばんわ」
次の日の夜、食堂ひだまりの猫にオリバーさんがやってきた。
「あっ、オリバーさん。本当に来てくれたんですね」
私が言うと、オリバーさんは少し照れたように笑った。
「当たり前だよ。1人だけどいいかな?」
「もちろんです。カウンターにどうぞ」
オリバーさんは今日は私服だ。
私服もかっこいいけど、制服姿をまた見たいな。
「ライラちゃんもここで働いてるんだね」
「はい、そうなんです。ゆっくりしていってくださいね」
そう言うとライラはライオネルさんの元に行く。
私はお水の入ったグラスをカウンターのオリバーさんに運んだ。
「オリバーさん、ご注文は何にしますか?」
「なにがおすすめなんだい?」
「えーと、なんでも美味しいんですけど、オムライスとか、肉野菜炒めとか、ステーキとかかな?」
「じゃあ、ステーキをお願いするよ」
「はい、少し待っててくださいね」
私がオーダーをとって厨房に行こうとすると、いつものようにガイアスとテーブルにいたディルックが私を呼び止めた。
「アニー、アイツは誰だ?知り合いか?」
「あの人は警備隊のオリバーさんだよ」
私が言うと、ガイアスが考えるように呟いた。
「ん?警備隊のオリバー…?」
「ガイアス知ってるの?」
私が聞いたが、知らないと言う。
「同じ名前のやつは知ってるが」
「へー、この辺じゃよくある名前なのかな。あ、ディルック、オリバーさんに絡んじゃダメだよ」
一応ディルックに釘を刺す。
「そんなまね、しねえよ」
ディルックはすっかり不貞腐れてしまった。
厨房に行くとマリーさんが身を乗り出してオリバーさんを見ていた。
「ちょっと、イケメンじゃない。あの人が例の警備隊の人?」
「はい、そうなんです」
私はちょっと照れて行った。
「オリバーさん、来てくれたんだね。よかったじゃん」
ライラがからかう。
「うん」
マスターが心配そうに出来上がったステーキを私に渡す。
「ステーキ上がったよ。しかし…俺はなんか心配だな」
「ちょっとあなた、心配しすぎよ」
「そうだな、娘を持つ親ってこんな気持ちなのかもな」
私が焼き上がったステーキをオリバーさんのところに持って行く。
「お待たせしました」
「ありがとう、アニー。すごいな、美味しそうだ」
「美味しそうじゃなくて、美味しいんですよ」
私は笑って言った。
「ハハ、それは楽しみだ。いただくよ」
オリバーさんは美味しそうにステーキを平らげ、すっかり食堂のファンになったと言っていた。
会計をして、ドアの外まで送って行くと、オリバーさんが言った。
「すごく美味しかった。またくるよ。ところで、あのブロンドの男性はアニーちゃんの彼氏かい?」
ブロンド…ディルックのことか!
「ち、違いますよ。私、彼はいません」
「そうなのか。それは嬉しいな」
「え?」
私が聞き返すとオリバーさんは、じゃあねと手を振って帰って行った。
どう言う意味かな…。
しばらくドアの外にいると、ディルックが店から出てきた。
「アイツは帰ったのかよ」
「アイツってオリバーさん?帰ったよ」
ディルックはフンと鼻を鳴らしてオリバーさんの歩いて行った方向を見つめた。
「なんか胡散臭い野郎だ。気をつけろよ、アニー」
「何言ってんの。オリバーさんは警備隊の人だよ。胡散臭いなんて失礼だよ」
「それでもだ。頼むから気をつけてくれ」
「うん、わかった。ありがとう」
ヒューと夜風が吹いて寒さを感じた。
「外は少し寒いね。さあ、店に戻ろうか」
「ああ」
私達はドアを開けて店に戻った。
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