29、夏祭り②
いつも読んでいただきありがとうございます。
今日は早めの時間の投稿です。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
それから1時間後、私達の屋台に並ぶ列はみるみる長くなった。
屋台は大忙しだ。
「はい、苺とぶどう1つずつですね」
「りんごお待たせしました」
私とライラが飴を売る一方、厨房は大パニックだ。
「あなた!出来上がりの飴の在庫が少なくなってきたわ」
マスターはりんごに飴をつけながら言った。
「何?もうか?早すぎる。ディルック、悪いがゴードンに言って今ある苺とぶどう、りんごをありったけ買ってきてくれ。りんごはこの際デカくてもいい」
「わかった!行ってくる」
ディルックが八百屋のゴードンさんのところに走った。
「マリー、アニーと売り子を変わって砂糖を倉庫から運んでもらってくれ」
「わかったわ」
私はマリーさんと交代し、倉庫から大きな砂糖の袋を厨房に持ってきた。
「アニー、ありがとう。その鍋に砂糖をボウルに3杯ぶち込んでくれ」
「はい、マスター」
「まさかこんなに売れるとは…」
そこへディルックが大きな袋を2つ抱えて現れた。
「マスター、苺とぶどうはこれで全部だ。りんごは小さいのはこれだけで、大きいのはまだあるって」
「わかった、ありがとう。お前らフルーツを洗って、その布で水気をとってくれ。串に刺すのも頼む」
しょうがない、本気を出すか。
私は水気を切ったフルーツにすごい勢いで串を刺していく。
苺とぶどうは3個ずつ放り投げて串で順に受け止める。
りんごは作業台に並べて一気に串を投げた。
グザグザッと音がして一度に10個ずつのりんごに串が刺さる。
「早いなアニー、俺も負けちゃいられない」
ディルックも苺を投げ始めた。
「お前らすごいな」
マスターが呆れたように言った。
それから1時間後、さらにディルックが大きいりんごを追加で買いに走り、さらに1時間後には大きいりんごで作った飴も完売した。
「こんな早い店じまいは初めてだ」
屋台に完売の紙を貼りながらマスターが言った。
「みんなのおかげだ。ありがとう。これは今日の分の特別手当だ。皆、今から祭りを楽しんできてくれ」
マリーさんが袋に入った特別手当を私とライラ、ディルックに渡してくれる。
「俺ももらっていいのか?」
ディルックがマスターに聞くと、マスターは笑った。
「何言ってるんだ。当たり前だろ。お前が頑張って働いてくれたおかげでこれだけ売れたんだぞ」
「マ、マスター」
何故かディルックは泣きそうだ。
「じゃあ、ライオネルが待ってるから私は行くわね」
屋台から少し離れたところにライオネルさんが見える。
様子を見にきたライオネルさんに、もうすぐ終われることを伝えたら待っていてくれたのだ。
思ったよりずっと早く、彼と祭りに参加できるとライラはとても喜んでいた。
「アニーは夏祭り初めてでしょ?ディルックに案内してもらったら?」
ライラの言葉にディルックが目を輝かせて私を見た。
「そうだよ!ぜひ俺に夏祭りを案内させてくれ」
「うーん、それじゃあお願いしようかな」
ディルックは拳を上げて喜んだ。
「やったー!祭りデートだ!」
「いや、デートじゃないから」
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
返事が返せないこともありますが、感想必ず読んでます。ありがとうございます。
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