25、成敗
いつも読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字が多すぎる作者は皆様の報告ですごく助けられています。
今作も楽しんでいただけると嬉しいです。
「マルコスさん、そこから動かないでください。一歩でも動いたら死にますから」
私は手に持った鍬をロングソードのように構えた。
「アニー?どうしたんだい?一体何を?」
私の周りの空気がズンと重さを増す。
「これは人を不幸にする違法な麻薬です。こんなの存在して良い訳がない」
「何を?やめろ!何するつもりだ!」
「全部キレイに処分してあげます」
私は腰を落とし、構えていた鍬を振るった。
「ライトニングインパクト!」
ドゴン!
大きな音と共に、私を中心にして半円を描くように麻薬の畑が見る影もなくなり、茶色いえぐれた地面が見える。
木の塀も粉々に吹っ飛んだ。
後ろを振り返るとマルコスさんが泡を吹いて倒れていた。
「アニー!何があった!無事か!?」
ディルックが後ろの野菜畑の向こうから走ってくる。
何故彼がここに?
「ディルック…それにガイアス?なんでここに?」
私が不思議そうに振り向くと、ディルック怒鳴られた。
「そんなもんお前が心配だからに決まってるだろう!怪我はないか?」
やばい!思いっきり鍬を振った後を見られた。
「う、うん。怪我はないよ」
もじもじ。
怒りに任せて技を使ってしまった。
「これは…もしかしてマルコスは麻薬を栽培していたのか?」
ガイアスさんが技から漏れた足元の草を見て言った。
「嘘だろ…あいつ…マジか!」
ディルックも驚いている。
「わ、私、気が動転して思わず…。お願い!ディルックとガイアスがやった事にして」
ガイアスさんが何か察したような表情で考え込む。
「それはいいんだが、麻薬を見つけて処理したらギルドから報酬が出るぞ」
「そんなのいらないから!」
私がブンブンと首をふる。
ここで街の人たちに冒険者とバレるより、2人の手柄にして黙っててもらいたい。
「訳ありのようだからアニーがいいならそうしてもいいが、俺たちも何もせず報酬だけ受け取るなんてプライドが許さないんだよな」
ディルック!妙なプライドなんていいから!
「こういうのはどうかな?我々とアニーがついた時にはもう、何者かが麻薬畑を壊滅していた。俺たちは気を失っていたアニーを助け、マルコスを捉えて通報」
「まあ、それなら俺たちが直接やってない分いいかな」
しかしそれには最大の落とし穴がある。
「マルコスさんがわたしがやったって言ったらどうしよう…」
ガイアスが心得たように頷いた。
「そこら辺は俺に任せて!マルコスも動揺しているだろうし、別の人間がやったと思い込ませるくらい訳ないから」
そんな事可能なのか…?
「ガイアスそういうの得意だから心配いらないぞ」
ディルックがそういうのなら大丈夫なんだろう。
そのくらいには彼を信用している。
「じゃあ、俺はマルコスに言い聞かせてからギルドに報告するから、ディルックはアニーちゃんを送ってあげなよ」
「そうだな。ここはガイアスに任せておけば大丈夫だ。行こう」
私はディルックに促されて帰路についた。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
返事が返せないこともありますが、感想必ず読んでます。ありがとうございます。
評価ブックマークもお願いします。




