第6章 「お昼休みは、屋上で…」
休み時間になると…クラスのみんなに話を聞いてみたのだが…これと言って…収穫はなかった。
話しかけたみんなには必ず、朋成と付き合ってることをネタに、茶化されるのだが…。
『告白したのは、どっちから?』とか…『もう、キスはしたのか?』とか…なにこれ!?
誰かと話しては、朋成のことを言われるたびに…いちいち、顔を真っ赤にしている俺…。
心がもちませんー!何回も言うけど…何という拷問ですか?…これは。
とりあえず埒が明かないので…これ以上は、学校で動いても無駄だろう…。
ここは、朋成か母さんに話を聞くしかないのかな…。
俺の身近な人じゃないと…真実にたどり着きそうにないな…。
俺は人見知りが激しくて…朋成以外に、親しい友達がいないからな…はぁ…。
ただ、朋成には…気をつけなければならない…。
また昨日のように迫られたとしたら…俺の身体が、拒まない気がするんだよな…。
心が拒もうとしても…身体が抵抗しない…なんだよ!?女性ってものは……訳がわかんらない…。
兎に角だ…!俺の…この今の状況を、モヤモヤ感を打破しなくては!!
午前中の授業が終わり、お昼休みとなった…。
学校の食堂に行く人、お弁当持参で教室内で食べる人や、教室外で食べる人…、、
みんなそれぞれの場所で、お昼休みを楽しんでいる。
俺は、中学の頃から母さんに、『今後、1人暮らしもするだろうから』ってことで、
料理、洗濯、掃除などの家事を手伝いをさせられていた…正直、面倒だったが…それが役に立つ。
お昼の弁当も、自作である。最近は母さんの味に近づいてきたようで、少し嬉しかったりする。
基本1人が好きなので、いつもは自分の席で食べていた…。
今日もそうしようと、机の上に弁当を置き、食べる準備をしていると…。
「深雪~一緒に食べる約束したじゃないか、忘れたのか?」
学校の購買で買ってきたのか?パンを手に持ち、朋成がそう言ってきた…。
相変わらず、おばさんは忙しいみたいで…弁当も作ってくれないのか…パンばかり食べている。
そう言えば…朝、会ったときに…そう言ってたような…気がする。
「…あっ、そうだった…ごめん」
「まぁ、いいや…屋上に、行って食べようぜ!」
「…うん、わかった」
朋成は、嬉しそうに教室を出ていく…俺も後を追いかけるように…教室を出た。
2人並んで、屋上を目指して廊下を歩く…朋成は、学校内では人気者だ。
歩くだけでも、すぐ目立つのに…ほら、見てみろ!
みんな、こっちを見てるし…ひそひそと噂話をしている…もういやだー!
公開処刑か…何なのか!?恥ずかしくて…穴があったら入りたいぐらいだよ、まったく…。
色んな思いがある中…屋上に、辿り着く…。他の生徒は、そんなに来てないな…。
屋上に設置してあるベンチに、2人並んで腰を掛ける…当たり前のように、隣に座るんだ…。
まぁいいか…俺は、太ももの上にお弁当箱を置き、蓋を開ける…今日もいい出来だ!
朋成はパンをかじりながら、こちらを眺めている…なんだ?おかずが欲しいのか??
「なに?何か食べたいの…??」
「おっ!?良いのか?…そうだなー卵焼きが食べたいな」
「母さん自慢の卵焼きだよ…はい」
無意識に、卵焼きを箸で掴み、朋成の口に向けて…箸をもっていってしまった…。
これって…『あーん』ではないか!?俺は…何をしているんだ??
「じゃあいただき~あーん」
朋成は、そのまま口を持ってきて…卵焼きをかぶりついた。
母さん自慢の卵焼きだから…味は大丈夫だと…思うけど…朋成の反応を待つ。
「うん!美味いな~、俺好みの味付けだよ!!」
「そう…よかった…」
「毎日、おばさんが作ってくれているのか?こんな美味しい弁当なら…毎日食べたいぞ!」
「以前はそうだったけど…最近は…私が作っているよ」
俺のお弁当が…そんなに美味しかったのか…何か嬉しいな…。
家でしか、母さんでしか…自分の料理を食べさせられないから…、
俺の料理を他の人に褒められて…純粋に嬉しかった。
「マジか!?今度でいいから…俺の分も作ってくれよ!…なっ?深雪」
両手を合わせて、必死にお願いしてくる…その姿を見て…思わず笑えてくるのだが。
いつもパンばかり、食べているから…朋成のことを心配になっていたので…まぁ仕方ないか…。
お弁当を1つ作るも2つ作るも…手間はそんなに、変わらないしなぁ~。
「クスッ、分かったよ…今度、作ってきてあげる」
親友として…仕方なく作ってやるのだから、感謝してほしいな!あくまでも…親友としてだ!!
決して恋人…とか、認めてないからな!
「マジか!?やったー!すごく楽しみだ…」
大きく両手を上げ万歳をして、朋成がすごく喜んでいる…大げさだな…そんなに嬉しいものか?
まるで小さい子供のように、はしゃいでいる朋成を見て、また笑ってしまう。
「深雪…やっと笑ってくれたな…お前は…笑顔が1番、可愛いぞ」
「えっ!?あっうん、あっありがとう…」
なっ何を突然…言い出すかな?このイケメンは??
可愛いなんて言われると…ドキドキ…してしまうだろうが!
何だかんだと、やり取りをしながら、お昼を楽しんだ…朋成と気兼ねなく喋れるのは楽しいものだ。
お昼を食べ終えて、お弁当を蓋をして、巾着袋にしまい終えると…。
「深雪~ちょっと、膝を借りるぞ~」
私の太ももに、頭を乗せてくる?えーこれってまさか…『膝枕』ってやつですか!?
戸惑っている俺を余所に、馴れたように…ベンチで横になりだした…なにこれ!?
「えっ!?ちょっと、なにこれ!?」
「お昼を一緒に食べる約束を、忘れた罰だ…」
「ふわぁ~深雪~ちょっと眠いから、時間が来たら…起こしてくれよ…」
欠伸をしながら、そう言うと…朋成は目を閉じていた。スースーと寝息を立てだすし…。
いつの間にか寝ている、朋成を見ていると…愛しくなって…頭を優しく撫でてしまう…。
はっ!?おっ俺は、いったい何を…しているんだ??あんなに嫌だった…女言葉が自然と出てくるし…。
わっ忘れるなよ?俺は…男なんだから、今のこの状態は…おかしいはず…なのに…。
悪くないな…っと思っている自分がいる…もう訳が分からない…もういいや…今はそれでも…。
「クスッ、可愛い…」
お昼休みが終わるまで、朋成の頭を…撫で続けているのでした…。




