第9章 「愛妻弁当!?…ちっ違うしー!」
翌朝、早く眠りについたおかげで…とても目覚めが良い…うーん、良い朝だ。
でも…なんだか変な夢を見たような…気がするのだけど…全然、思い出せない…。
思い出せないのなら、大した夢じゃないかも?そう思い、起き上がりベットから出る。
朝起きてから、男性と違って…女性は、何かと準備することが多い…。
髪を梳いたり…肌を保湿したり…軽く化粧したり…と。
最初は、よく分からず…面倒だったが…最近は、楽しくて仕方がない。
常に綺麗でいたい…って言うのは、何かとやる気が出てくるもので…頑張れるものだ。
制服に着替えて…鏡を見てチェックをする…うん、今日も可愛い~♪
自分の部屋を出る…歯を磨いて…お昼のお弁当の準備をしないと…。
「おはよう~深雪、今日も早起きね~すごいじゃない」
「おはよう~母さん、そっそうかな~?…昨日は、早く寝たからかも」
「それでも…早起きできるようになったのだから…母さん、とても嬉しいわ~」
「もう…分かったから!お弁当の準備をしなくちゃ…そうだ!母さん、父さんのお弁当箱…ある?」
そう言えば、昨日…朋成がお弁当を作ってほしいと言ってたのを思い出した。
父さんは今、出張中だから…お弁当箱は、家にあるはず…。
「ここにあるわよ?どうするの…って、はは~ん、そういうことね、深雪…朋成くんの分ね~♪」
「とっ朋成は、いつもパンばかり…食べてるから…その…私の料理…美味しいって…言ってくれたから」
「あら?良かったわね~じゃあ、頑張って作らないとね?」
「…うん」
朝食を済ます前に…2人分のお弁当を作る…朋成の好きなおかずばかり…詰め込んだけどね。
学校へ行く準備を済ませ…靴を履いて…。
「いってきます~」
「いってらっしゃい~気をつけてね~」
学校に向かって玄関を出た…昨日の件があるので…朋成と…どんな顔をして会えば良いのだろう…。
ゆっくりと話をしたいのだけど…他の場所だと…朋成のペースに…流されてしまう。
自分の部屋に呼ぶべきかな…家なら…母さんがいるし…朋成もさすがに手を出さないと思う…。
「深雪…おはよう…」
「あっ…おはよう…」
どうしようか悩んでいると…早速、朋成に声をかけられてしまった…。
昨日の件があるだけに…どう、接すればいいのかな…。
朋成の顔を…まともに見ることが出来ず…どうしようか迷っていると…。
「昨日は…なんだ…すまなかったな……」
「え!?…昨日のこと?…ううん!気にしてないから大丈夫だよ…ちょっとびっくりしただけ…」
「許して…くれるのか?…良かった…てっきり、深雪に嫌われたかと思ったぜ」
「…嫌いになるなんて…そんなことは…ないよ」
朋成がいきなり昨日の件について謝ってきた…素直に謝るなんて…ドキドキしてしまう…。
すごく嬉しそうな顔をしている!?朋成の…そんな顔を見てしまうと…。
やばい!また顔が熱くなる感じがする…恥ずかしい~こんな顔は見られたくない!
顔を伏せて、冷静になろうと必死になっている俺を見て…。
「そうか…そう言ってくれると…嬉しいぜ」
そう言って、手を繋いできた…!?余計に恥ずかしくなるじゃない!?
俺の頭の上に煙が出ているような…そんな感じで学校へ向かった…。
教室について…席を着くと…。
「今日も、一緒に帰ろうぜ」
朋成から誘ってくれた…良い機会だから、俺の家へ来るように頼んでみるかな。
「うん、いいよ…それでね?朋成」
「ん?どうした深雪?」
「話したい事があるから…帰りに私の家へ寄ってほしいのだけど…」
「まじか!?行く行くー!深雪の家に行くのも…中学以来だな~楽しみだ!」
あっさりと即答された…何を喜んでいるのかな…なんか踊り出したし…。
こっちまで…恥ずかしくなるじゃない…このバカは…みんなに注目されているし…ハァ~。
「じゃあ、昼休みにな!また屋上に行こうぜ~」
「うん」
朋成はスキップしながら…自分の席に戻っていった…。
『藤乃と何かあったのか?』と朋成の周りに…人だかりが出来ている…。
他の人に…余計なことを喋らないで…と祈るばかりだった…。
午前中の授業が終わり…お昼休みとなった…。
すぐさま、パンを買いに購買に行こうとする、朋成を呼び止めた…。
「朋成、ちょっと待って!」
「ん?どうしたんだ、深雪…早く購買に行かないと、パンが売り切れるんだが」
「…はい、これ」
そう言って、今朝作ってきたおかずを詰めた、父さんのお弁当箱を渡す。
それを見て朋成が、すごく喜んだ顔で弁当箱を受け取った。
「マジか!?俺のために…作ってきてくれたのか?」
「…うん、パンばかりだと栄養が偏っちゃうからね…それに…約束してたし」
「そうか…ありがとうな、深雪…屋上に行こうぜー」
「うん」
更に嬉しくなったのか、俺の手を繋いできて…屋上に向かって歩き出した…しかも恋人繋ぎだし…。
廊下ですれ違うたび…みんな、こっちを見てくるんですけど…恥ずかしいよ~。
学校の人気者である朋成が、廊下を歩くだけでも目立つのに…でもホントかっこいいな~。
屋上にやってきた…いくつかベンチが設置してあって、何人か座っていた…。
カップルであったり…友達であったりと…それぞれお昼休みを楽しんでいる。
出入口から少し離れているが…1つのベンチが開いているのを確認し、そこへ移動した。
「今日は、結構人がいるなー、ベンチが空いていて良かったぜ」
「うん、そうだね」
ベントに並んで座り…巾着袋からお弁当を取り出す…朋成も同じようにお弁当箱を取り出す。
今日は…母さんの力を借りずに、1人で頑張って作ってみた…味の方はどうかな…。
朋成はお弁当箱の蓋を取り…中身を眺めている。
「おっ!どれも美味そうだな…しかも俺の好物ばかりじゃないか」
「うん、頑張って作ってみたんだけど…食べてみて」
「じゃあ…この間も食べた卵焼きから…」
卵焼きを箸で掴み、口の中に放り込む…モグモグと咀嚼している…。
味の方はどうかな?…上手く作れたと思うのだけど…すごくドキドキしてきた…。
「うん、美味しいな!すごいな…深雪は、料理上手だな」
「ホント!?良かった…」
「他も食べてみよう…モグモグ…美味いな!これもー!」
そう言って、あっという間にお弁当の中身が空になってしまった…。
父さんのお弁当箱は、そこそこ大きさなのに…唖然として…私は全然食べてなかった。
「あー美味しかった…ありがとうな、深雪、ごちそうさん」
「うん、お粗末様でした、私も食べなきゃ!」
「それで…話したいことってなんだ?学校じゃ言えない事なのか??」
「うん…他の人には、聞かれたくないかな…」
聞いても…誰も分からないだろうし…朋成だってどうか分からない…。
変な誤解だけは…ま抜きたくなかったから…朋成なら何とか誤魔化せるかもだし…。
「そうか…まぁいいや、帰って聞くことにするよ…あらよっと!」
いきなり朋成がベンチで横になりだした…また私の太ももの上に頭を乗せてきて…。
まだこっちは食べているのだけど…しかも俺に断りなく頭を乗せてくるし…。
「ちょちょっと、朋成!まだ私食べているのだけど」
「ふわぁ~お腹いっぱいになったら…眠くなってきたから、時間きたら起こしてくれ…」
そう言うと、スースーと寝息をかきだした…もう…自分勝手なんだから!
何だか朋成とのやり取りで、全然、嫌悪感が無くなってきているのだけど…なんでだろう?
深く考えるのも…今は良いかな…寝ている朋成の寝顔を見ながら…食事をするのでした…。




