表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅳ カオス・スペシャル  作者: 小宮登志子
第7章 破滅への道
63/87

家捜しの結果

 成り行き上、家捜しをしてもよいことになったので、わたしたちは、かくれんぼうの鬼のように、G&Pブラザーズ本部内をあちこち捜しまわった。デスマッチがウソをついているとは思わないが、せっかくの機会だから、露骨に、のぞき趣味を満足させてもらおう。なお、デスマッチは、もううんざりという顔をして、わたしたちにピッタリ張り付いている。

 本部の造りは至ってシンプルで、社長室のほか、会議室、部課名の付いた事務室、資料室、倉庫等が配置されていた。もっとすごいものを想像していたわたしは、ちょっぴり不満。肝心のラードは、予想通りと言うべきか、発見できなかった。

 ひととおり内部を見て回ったところで、デスマッチは、

「もう気が済んだだろう。ここにラードはいないよ。我々だって捜しているくらいなんだから」

「そのようね。疑って悪かったわ」


 わたしがラードの発見をあきらめ、G&Pブラザーズにどのように落とし前をつけさせようかと考え始めたとき、突然、マリアが1階の廊下で、足踏みするようにトントントンとストンピングを始めた。

「この下に、何か動くものがあるようですね。ペットでも飼ってるのかしら、それとも?」

 マリアが何かを感じ取ったようだ。わたしたちは一斉にデスマッチに顔を向けた。するとデスマッチは右手で額を押さえて首を左右に振り、

「いい加減にしてくれよ。確かにこの下には地下室があるが……」

 デスマッチは、一瞬、話を止めた。そして、「ふぅ~」と、大きく息を吐き出し、

「まあいい、見せてやるよ。ついてくるがいい」

 わたしたちはデスマッチに案内され、隠し扉から地下へと続く階段を降りた。

「デスマッチ社長、さっきの躊躇はなんなの? 見せたくないものでもあるの?」

「ああ、どちらかと言えば見せたくないが…… しかし、是が非でも隠さねばならんものでもないからな」

 わたしたちが案内された先にいたもの……


 それは、動く腐乱死体、ゾンビだった。

 ゾンビは全部で12体、地下室に(おそらくは即席で)作られた雑居房の中で言葉にならない声を上げ、猛り狂っている(脳細胞が腐っているのだろう)。館の地下牢で見たときと同じように、耐え難い腐臭が鼻を突く。

「デスマッチ社長、これは一体?」

「見てのとおり、ゾンビだ」

「ゾンビは見れば分かるわ。でも、どうして、地下の雑居房にゾンビがいるの?」

「クライアントとの約束があるので、これ以上のことは言えない」

 クライアント? なんだか要領を得ない返答だけど……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ