表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
87/137

天使の薬

 恵那えなは、自分が飲んでいる睡眠薬を『天使の薬』と言っている。

「ねえ咲ちゃん、この薬を飲むと体がポワッっとしてきて、その内に天使の羽音が聞こえてくるんだ」

 それが幻聴だと知りながらも、私は微笑んで彼女を胸に引き寄せて頭を撫でた。

「そっか、恵那はいい子だから天使が来るんだね」

「咲ちゃんには、来ないの?」

「私は悪い子だからね……来ないと思うよ」

「悪い子じゃないのに……」

 何かを言いかけて、彼女はその天使の羽音を聞きに眠りの世界に落ちて行った。

「悪い子だよ、そう……悪い子」

 静かな寝息をたてる彼女を布団に寝かせ、そのまま傍らに座る。天使の寝顔になっている恵那の写真を撮った後で、寝息をたてる唇を指で軽く愛撫して、つぶやく。

「だって、ずっとこのままなら……天使を独り占めできるって思ってるからね」

 言い終えた瞬間、耳元でバサバサと羽根の音がした。

 それが天使か悪魔かは……考えないことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ