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百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
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かわいいなんて嘘ついて

「制服姿がなんか恥ずかしいからバイト先教えない」

 と言っていたのに、私は智美にあっさりと見つかった。

 後でもつけられたかと思ったけど、彼女は表情を曇らせること無く「勘」とだけ言ってカウンターに座った。

 このカフェの制服はスカートがフリフリしていて、動く度にそれが微かになびくのがかわいい。

 それがやりたいが為にこのバイト先に入った。けれど、友達に見られるとなると話は別だ。

 恥ずかしさに死にそうになる。

「店員さん」

 わざとらしく私を呼ぶ智美に近付き、営業用のスマイルを向ける。

「ご注文ですか?」

「アイスココアとしゃちほこケーキ、あと」

「はい」

「写真いいですか」

「ダメでございます」

「冷たい店員さんだ」

「ルールですので」

「ぶーぶー、折角かわいいのに」

「かわいいとか言うなっ…」

 いつも教室でふざけた智美に怒る時みたいに大きな声が出て、慌てて声を下げた。

 少し店内がざわついていたお陰で、誰にも聞かれて無いようだった。

「かわいいとか……嘘言わないでよ、こんなとこで」

 小声で注意すると、智美が首をかしげた。

「ん~、本当のことだけどね」

 耳まで赤くなっていくのがわかる。

 私は智美の注文を繰り返しもせずに、そのまま調理場へと歩いて行った。

 俯きながら、自分の顔が緩みそうになるのを必死に堪える。

 頭の中で智美にバカバカと言いながら、そう言う度にうれしくなる気持ちが大きくなるのがわかった。

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