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百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
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黒い髪と道に咲く黒い花

 薫の頭に一粒の雨が落ち、その黒い髪に艶を持たせた。

「雨?」

 掌を上に向け、降っているかを確認すると、そこにポツリポツリと水滴が落ちた。

「やっば!薫、取敢えず雨宿りしよっ!」

 美咲はそう言うと、薫の手を取って走り出した。

 コンクリートに咲く黒い花は数を増していき、直ぐに黒い花園ができ、水の香りが走っている2人の鼻をついた。

 近くにある公園へと入り、屋根のあるベンチで一息をついた。

「あちゃ~、大分濡れたなぁ」

 薫がセーラー服に付いた水滴を手で払うと、美咲がハンカチを差し出した。

「ほら、薫」

「いいよいいよ、そんなに濡れてないみたいだし」

「でも……髪の毛とか濡れてるし」

 美咲が薫の頭へと手を伸ばして、少し頭を下げさせた後、濡れていた場所にハンカチを当てた。

「風邪ひくかもしれないんだから、ちゃんと拭いときなさい」

「う、うん」

 美咲は髪の毛を拭き終えると、拭いた後の髪の毛を撫でた。

「ひゃぅっ」

 ハンカチ越しではないその感触が髪の毛から伝わり、薫は悲鳴のような声を、ついついあげてしまった。

「あらあら、かわいい反応」

 指の腹で薫の髪の毛を撫でながら、美咲はフフッと笑った。

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