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なんでもない平凡な日を
「なんでもない日だったね」
「うん、今日も何もなかった」
「学校に行って」
「家に帰るんだよね、これから」
「そう、それだけを繰り返すんだよね」
「うん、繰り返しているんだよ、私たちは」
「空しくなる?」
「全然、ミナは空しくなる?」
「ううん。だけど、どこかに終わりがあるんだと思っちゃうんだよね」
「終わりかぁ」
「カナは思わない?」
「なんとなく、明日はあると思うんだよね」
「だよね、私もまだうっすらしか終わりが見えないんだ」
「見なくてもよくない?」
「なんで?」
「私だけ見ればいいよ」
「あはは、イケメンだね」
「ガールですが」
「なんかそんな風に笑かすから悩んでるのが馬鹿らしくなっちゃった。帰ろ?」
「うん」
カバンを背負うミナの背中を見ながら「本気なのに」とつぶやいて、少しだけ悲しくなった。




