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百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
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寒さの行方

 雪が降り積もる中で、チエミと私は学校から駅に向かって歩いていた。

 寒さのせいか、口数は少ない。

 息を吸うだけで体の芯から冷えそうになるから、私たちはおしゃべりよりも沈黙を選んだのだ。


 駅に着いて、待合室でやっと温まることができた。

 ポケットにあるカイロを両手で握って暖をとる。


「お中に入れた方がいいらしいよ」


 チエミの言葉に頭を横に振る。


「もうとっくに入れてる」

「入れてても寒いよね、これじゃあ」

「チエミはどうしてるの?」

「私?着こんでるし、お腹と背中にカイロ入れてる」

「ふーん」


 私が彼女を抱きしめると、ひゃっと声を上げた。


「うーん、ぬくいぬくい」

「やーめーなーさーい!」

「チエミカイロ最高」

「……ったく」


 私の愚行をそれ以上止めず、彼女は私に抱かれ続けていた。

 外の雪は一層激しくなる。


「「もう出たくないなあ」」


 2人してそう言ったのがおかしくて、私たちはくすくすと笑い続けた。

 寒さはもう、ここにはなかった。

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