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百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
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さよならは幸せ

「ねえ、私の最期に言うことってある?」

 彼女はいつも唐突に死に関する質問をする。

「魅入られているからだ」と、昔言っていた。

 私にはそれはわからない。

 なんとなく明日はあると思うし、それでいいと思う。

 でも彼女は、高校生のうちからそんなことばかりを考えている。

 だから、だろうか。

 なんとなく私は彼女に惹かれる。

 これは多分、友達に対して持つ感情ではないし、恋愛感情とも少し違って……少し合っている。


 だから私は、彼女の喜びそうな言葉を選ぶ。


「さよなら、かな」

「それはなんで?」

「だって、さよならって言わずに別れる方が多いと思うから。最期に『さよなら』って言えるのはとても幸せだと思うんだ」

「なるほど……いいね」


 彼女は微笑む。

 そして、私の手を握ってくれる。

 甘い感情が、スッと胸に入り込んでくる気がした。


「じゃあ、その時はよろしくね」


 彼女の願いを聞きながら、私はその日を想像して少しだけ胸が切なくなった。

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