123/137
どんな感じ?
「死ぬって、どんな感じなんだろうね」
やれやれ、いつもの面倒な綾の問答が始まったと思った。
たまに綾はこうやって死をちらつかせる。
しかし、鬱陶しくはない。
だって……
「きゃっ!咲ちゃん、何すんの!」
私は綾を抱きしめて、その唇に軽くキスをした。
「死んだらこうやってキスできないけど、いいの?」
顔を真っ赤にしながら、彼女は俯いて小声で
「嫌です」
と答えた。
俯いている頭を抱きしめて、撫でる。
面倒な質問があった時はこうやるにかぎる。
「バカかわいいよね、綾って」
憎まれ口を叩きながら、次にこの質問が来るのはいつなのかと考えていた。




