表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合百景 ~二分で読める百合短編~  作者: 荒井チェイサー
106/137

2/15の残滓

 2月15日。

 男子も女子もソワソワしていたバレンタインデーが終わったその日、私と絵美は近くのスーパーにいた。


『セール品』


 そう書かれているポップの下には、昨日まで『バレンタインチョコ』として並んでいた商品がざっくばらんに置かれていた。


「……バレンタインが終われば彼女たちは用済み。今年も供養のために買いましょう」

「買いましょう」


 毎年恒例となっている、バレンタインチョコの供養。

 普段買えない『お高い』チョコが半額以下のお値段で買えるのだ。

 丁寧にラッピングされているのがバレンタインの残滓だと思うと悲しくなるけれど、味に変わりはないので遠慮なく買う。


「今年も買ったね」

「そうね」

「……あ、被ってる」

「え、また?毎年夏美って同じやつ2個買うよね」

「……恒例ということで。はい、あげる」

「こうやって貰うのも毎年のことね……」


 そう、私は毎年1個だけ彼女にチョコを送る。

 こうやって、同じチョコを2つ間違えて買ったと嘘をついて。


 毎年彼女にチョコをあげたのだという、少し悲しい嘘を積み上げる。

 多分、来年も再来年も。

 繋がれているこの手が離れるまでは、ずっと積み上げていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ