ネタ切れ:プロローグはエンディングじゃない
【ネタ切れでエタった場合】
もちろん全ての場合に当てはまるわけではありません。気分の問題ひとつで作品がエタることもあります。
しかし中には『エタって当然』という作品も存在します。この手の作品は、見る目がある人が読めば、なんとなくでもすぐに理解できます。
ここから先は、そんな作品がエタった理由と、その対処方について考えていきたいと思います。
では本題。
なぜ作品がエタったのでしょう?
そう問われて、ネタ切れでエタったという場合。
この場合、エタった理由は、大きくわけて二つです。
①見通しが甘い
②ネタやキャラクターを大事にしていない。
その中で今回は、①の見通しに関してのみ、考えたい思います。
言ってしまえば、エタった原因は全て『見通しの甘さ』に集約されてしまいますが、それでは芸がないので、もう少し深く考えてみましょう。
多くの初心者作者さんの場合、ストーリーの大まかな流れ――プロットを考えずに作品を作り始めます。あらすじにハッキリと『プロットなし』などと書かれていることもあります。
最初は誰もそんなものだと思います。なので『見通しが甘い』と言ってしまうのも、どうかとは思うのですが、ここではあえて。
それにプロでも作品の取っ掛かりは、そんな風にして書くことが往々にあります。そうやって生まれた名作も世にはあるはずです。
ですが、このやり方は、プロでもエタることが多々あります。
『とりあえず』で考えなしに書き進めたがいいが、やっぱりしっくり来ないから、筆が止まった。
そんなことになれば書籍化されないため、読者の目に触れていないだけです。プロがエタらないと考えるのは違います。
そして文筆初心者の場合であれば、もっとエタりやすいでしょう。
例えばこのサイトで多い異世界モノ――中世ファンタジー的、あるいはゲームの中の世界が現実であるという世界に転移したり転生したりする作品を考えてみましょう。
プロットなしで書くということは、作者さんは『異世界モノ小説を書く』のが目的であって、『異世界で主人公が○○する小説を書く』のが目的ではないということです。
つまり、プロローグ部分で主人公が異世界に現れた時点で、作者さんの目的を達成してしまっているのです。
実際にそういう作品を書いてエタらせた作者さんにすれば、『そんなつもりで書き始めたわけないだろ』と反論するでしょうが、要はそういうことです。
仮に『主人公が魔王を倒すために冒険する小説』を書くのが目的ならば、極論を言えば召喚即対決でいいのです。
でも、それでは現実味がないからと、さまざまな人との交流や成長過程を描こうとする。
そして多くの作者さんはエタっているはずです。
だから『主人公が魔王を倒すために冒険する小説』を書こうとしたのではなく、『異世界モノ小説を書く』のが目的だったということになってしまうのです。エタった作者さんは反論されるでしょうが、魔王の対決シーンが書きたかったならば『なんでその場面を書かなかったの?』という話です。
作者さんには書けなくなった、やむにやまれぬ事情があったかもしれません。でも他の人間から見れば、そういうことです。
プロット作りをせずに作品を作り始めることも、問題といえば問題ですが。
最も問題なのは、最終目的が定まっていないことです。
それがあれば、途中経路もなんとなくでも見えます。
そして目的がない、あるいは実現不可能なほど壮大でも、それはそれでいいのです。
でもその時は、どこかで区切りをつける必要があります。
夢と現実は残念ながら違うのです。実現できなければ、どこかで満足するしかないのです。あるひとつの研究に生涯を捧げ、道半ばで倒れた研究者の話は美談になりますが、途中成果になる論文もなにも上げていないなら、そんな話にはなりません。
目的地を定めず、思いつきでぶらっと旅に出る人もいます。目的地までの道のりを往復する、多くの人が経験する旅行とは違い、国から国へと渡り歩いて世界中を旅行する人もいます。
極論を言えば、金と時間があれば、どこへでも行ける時代なのですから。
意識はしていないでしょうが、プロットを作らずに小説を書き始める作者さんは、そんな旅と同じだと思っているはずです。
残念ながら違います。
目的地のない旅は、最終目的地と方針が存在します。
どこに行こうと、普通は自分の家に帰ってきますから。
プロットを作らずに小説を書き始めるというのは、自分の帰る場所も捨て、身一つで永遠の旅に出ることなのです。
旅先で拠点を定めて、必要であればそこで働いて金を溜めて、次の目的地に向けて旅立て、安息の地を見つけられるならば問題ありません。
しかしそんなスキルを持っていない人は、言葉も通じない異郷の地で、さみしい生涯を送るしかありません。現実とは違い、大使館に頼ればなんとかなるわけではないのです。
このサイトでテンプレと揶揄される作品のように、中世ファンタジー風異世界に放り込まれたのと同じなのです。
ただし小説執筆の世界に、チート能力は存在しません。現実は世知辛いのです。
しかし幸いにもこの世界は、突然の勇者召喚に巻き込まれたり、ある日次元の狭間に落ちるのと違い、自分の意思とタイミングで向かうことができます。
なのでサバイバル技術に自身がなく、必要な物の現地調達は無理という人は、身を守れる鎧代わりの防具、物々交換ができる物、最低一週間分の食料品と水を持ち、もしものための帰還方法を入念な準備をした上で、その世界に飛び込みましょう。




