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お便り紹介

 人の世にあふれる恨みつらみが、怨霊の元となる──。

 この『怨霊の背景を探る!』は、無念を抱えて怨霊となった人々にインタビューをする番組……なのですが。

 第十回の今日は、ちょっと趣きを変えまして、リスナーさんから届いたハガキをご紹介していきます。

 HさんとIさんのインタビューを放送したあと、リスナーさんからたくさんのお手紙が届いたんですね。

 こんな変わった番組にも、お手紙が届くんですねー。ありがたいことです。


 まずは一つ目のお便りです。東京都にお住まいのTさんから。


「『怨霊の背景を探る!』……いつも楽しく聞いています」


 あーりがとうございまーす!


「人が怨霊になる理由もさまざまなんですね。皆さんそれぞれに事情を抱えていて、『そういうことある!』『うわあ、似たことしちゃってたかも?』とハラハラしながら聞いています。私は生きた人間ですが、いつ死ぬかわかりませんよね」


 ねー。世の中には、ぽっくりいってしまう人もいますから。


「なかでもお気に入りは、Hさんの回です。なんでブロッコリー?」


 あははは! Hさんのブロッコリーは、本当に訳がわからなかったですね!


「ダジャレなんでしょうけど、理由を聞いても、よくわかりません。Iさんの回でも出てくるし……」


 あれには本当にびっくりしましたね! ブロッコリーが踊ってましたからね!


「でもそんなふうに、普通の人には理屈がわからないのも、怨霊っぽいなぁと思います。わからなくなるまで思い詰めてしまった結果なんじゃないかなって。自分もそうならないように、気をつけます。パーソナリティさんも身体に気をつけて、たまにはお祓いをして、がんばってください!」


 人間、思い詰めるとろくなことになりませんからねー。適度な息抜きが大事です。

 お祓いとはちょっと違いますが、神社の前を通りかかったときに、たまにお詣りしています。収録中には色々な怪奇現象が起きていますが、今のところはそれで問題なさそうですよ。


 さて、それでは次のお手紙! 埼玉県にお住まいのブロッコリー最高! さんから。


「おっぱい! いつも楽しく拝聴しています。世の中にはいろんな怨霊の方がいるんですねー」


 あははは! おっぱい!

 Bさんへのインタビューで、私が挨拶と間違えたやつですね。


「『しきたり』、もしかしたら私の住む街にも……? って考えてしまいますね。ブロッコリーさんと意思疎通をとるパーソナリティさん、すごく面白かったです」


 ブロッコリーさんねぇ、今もスタジオの机にあるコックリさんの表の上で、もぞもぞしています。

 このまま解説役として、お世話になろうかな。


「怨霊の皆さんは、この世の中の問題を映す鏡のような存在でもあるんですね。そういう目に遭わなかった私は、単にラッキーだったんだなーと思いました」


 ラッキー、いいことじゃないですか!

 でも人生は長いですから、いつ怨霊の皆さんのように不幸な目に遭うかわかりません。ブロッコリー最高! さんも、気をつけてお過ごしください。


 さて、ここでCMをはさんで、引き続き、お便りを紹介していきます。

 続きはCMのあとで!


***


 はい。本日の『怨霊の背景を探る!』のコーナーでは、皆さんからいただいたお便りを紹介しております。

 さて、お次のお便りはー。大阪府のEさんから。


「番組、いつも楽しく聞いています」


 遠いところからありがとうございますー。

 この番組、割とね、全国からお便りをいただいてるんですよ。今はラジオアプリなどもありますから、色々な地域で聞いていただいてるみたいです。ありがたいことですねー。


「ブロッコリーさんの回の放送直前、晩ご飯でブロッコリーを食べていたので、とってもタイムリーでした。この番組、友達も聞いてるんですが、放送後に速攻でブロッコリーを買いに行ったみたいです(笑)。スーパーが閉まっていたので、コンビニで買ったみたいですが」


 わははは! そういう方もおられるでしょうねぇ!

 お腹の中で消化中のブロッコリーが、ウキウキと踊っているんじゃ……なんて、考えてしまいそうです。

 あなたの中にも、ブロッコリーさんが……キャーッ! あははは!


「Iさんの放送のあと、ブロッコリーがめっちゃ売れてたの知ってます? スーパーで品薄ですって! なんでこんなに売れるんだ? って、スーパーの人が困惑してました。私が聞いたのは、ブロッコリー教というのができたという噂です」


 えええ!? ブロッコリー教!? どういうことですか!?


「ブロッコリー教というのは、ブロッコリーさんを崇める宗教のようです。宗教といっても、一過性のブームみたいなものでしょうが、ブロッコリーを拝んでから食べる、ブロッコリーを吊るす……といった行動をとるんだそうです」


 えええ……そんなことしていいんですか?

 ブロッコリーは食べ物ですよ。食べ物を粗末に扱ってはいけません……いや、拝んでから食べてるから、粗末にはしてないのか。


「ブロッコリー、美味しいですよね! 私は普通に食べます」


 あははは! そりゃそうだ!


「パーソナリティさんも恨まれないように、気をつけて番組を続けてください。Cさんがゲストの回は、ちょっとヒヤヒヤしました」


 あー、Cさんが来られたときは、ちょっとヒヤヒヤしましたねー。

 Cさんは生前、あれこれするようにと言われることにうんざりしていたようですから、私の聞き方もちょっとよくなかったかもしれません。

 既に怨霊になられた理由については話していただいてましたし、S子さんに助け舟を出してもらった感じでしたね。

 S子さん、その節はありがとうございます。


 さて、次のお便りは──、福岡県にお住まいのMさんから。


「皆さんこんにちは。私は主婦なのですが、Iさんがゲストの回の放送を聞いて以来、ブロッコリーが怖くて仕方ありません。ブロッコリーを茹でるとき、カットしますよね? まな板の上にブロッコリーの欠片が落ちているのを見て、『これが動き出したらどうしよう……』とドキドキします」


 あああ、そういうこと、あるかもしれないですねー。

 あなたの家でも、ブロッコリーが……キャーッ!

 あははは! 冗談です! まあ、普通のブロッコリーは動きませんからね。

 あれはHさんが出した特別なブロッコリーです。特殊な訓練を受けたブロッコリーなんだと思います。

 ……特殊な訓練を受けたブロッコリーってなんだ?


「厄除けのために、ブロッコリーを食べる人が急増していると聞きました。パーソナリティさんもブロッコリー、食べてくださいね。番組を楽しみにしています」


 ありがとうございますー!

 さっきの大阪府のEさんはブロッコリー教と言っていましたが、福岡県のMさんは、厄除けと言ってますね。

 崇めるためにブロッコリーを食べるのか、厄除けのためにブロッコリーを食べるのか──どちらもブロッコリーを食べてるのが、おもしろいですね!

 どっちにしても、ブロッコリー農家さんは、ウハウハでしょう! わははは!


 おっ、机の端でもぞもぞしていたブロッコリーさんが、コックリさんの表の上に移動していきました。何か伝えたいことがあるんでしょうか。

 ……「の」「ろ」「わ」「な」「い」「よ」……呪わないよ?


 リスナーの皆さーん! ブロッコリーさんは呪わないと言っています!

 ブロッコリーさんは、Hさんの怨念の名残です。Iさんの回で聞いたお話もふまえて考えると、自分が復讐するタイプというよりは、観察するタイプではないかという印象を受けますね。

 静かな、観察者としての狂気をお持ちの方のような気がしています。

 ブロッコリーさん、いかがですか?


 ……「た」「べ」「て」「ね」……食べてね? ブロッコリーを?

 あははは! そうですね!

 崇めるにしろ、恐れるにしろ──ブロッコリー、おいしくいただきましょう!


 さて、この『怨霊の背景を探る!』のコーナーでは、今後も怨霊の方々の恨みつらみについて、お話をうかがっていきます。次回をお楽しみに!

 ブロッコリーさんも、ありがとうございました!

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