第74話 イフリートは強かった
俺は目を開けるとシヴァが安堵した表情をし笑顔で俺に
「綺羅様大丈夫ですか?」
俺は三銃士との戦いで傷を負った場所を確認すると痛みもなく傷口もなくなっていた。
「ああ、もう大丈夫だ。心配かけたな」
シヴァは俺の頭を愛おしそうに撫でて
「本当です。もっと早く私たちのどちらかを装備して行くか、装備しないにしても早く召喚してくださっていたらこのようなことには……」
そう言って恨めしそうに俺を見る。
強制召喚はあまり使いたくないのだ。
なぜならこの強制召喚術を使うと彼女たちにかなり負担になるからだ。
どのような負担なのかは聞かされていないがどうも彼女たちの生命に関わることみたいだ。
何度もイフリートやシヴァに問い合せたが一向に教えてくれない。
なので使う俺としても簡単に使うことができない。
「すまなかった。ただヴァンヘルトに会いに来るだけだから大丈夫だと思ったんでな」
「今後は出かけるときは私かイフリートのどちらかを連れて行ってください」
「わかったよ。ところでイフリートはどうなった」
俺は立ち上がり周りを見てみるとアトスは大の字になって倒れており、
アラミスは顔を押さえなが「私の顔が……」と呪詛のように唱えている。
ポルトスは蹲って動かないがイビキをかいている……どうやら眠っているみたいだ。
三銃士は30秒で戦闘不能になったようだ。
え……俺の出番もしかして無しか。
イフリートは玉座に座って震えているフリップ王の前に仁王立ちしている。
「ば、ばかな1人の女に我がフランスの勇者である三銃士が一瞬でやられるなんて……化物か」
「誰が化物だって!!」
フリップ王の髪の毛を掴み床に叩きつけたイフリートはフィリップ王の頭を踏んづけた。
て……おい、イフリートさん。なんてことをしているんだ。
人間的には最悪な人物だが、仮にもフランスの王様なんだぞ。
「き、き、貴様……余の、高貴である余を踏みつけるとは……ギャー」
フリップ王が言葉を言い切る前にイフリートはさらにフリップ王の頭を強く踏みつけた。
フリップ王は涙を流し鼻水を垂らしている。
「綺羅にしたことを考えればこの程度で済むと思わないことね」
そう言ったイフリートはニャリと口元は笑っているが目は笑っていなかった。
その表情をみたフリップ王の下半身あたりから尿意が広がっている。
そして炎の魔術『焔槍』をフリップ王の腹部に突き刺そうとしたので俺は、
「イフリートもうやめるんだ」
「綺羅!」
俺の姿を見たイフリートはフリップ王の頭を蹴っ飛ばし俺に抱きついてきた。
先ほどの表情とは違い満面の笑みだ。
俺が無事に体が治ったことが本当にうれしいんだろうな。
そんな表情を見ている俺もうれしくなる。
するとシヴァもなぜか俺の後ろから抱きついてきた。
「シヴァ?」
「……」
何も言わないシヴァは笑みで頷く。
ちょっとさすがに前からイフリートに抱きつかれ、後ろからシヴァに抱きつかれたらうれしいが、恥ずかしいじゃないか。
「2人ともすまないが離れてくれないか」
「いや」
「いやです」
どうやら2人は離れたくないらしい。
三銃士は戦闘不能だしフリップ王はイフリートに踏まれたところが痛いのか頭を抑えて震えているので攻撃は仕掛けてこないだろう。
まあ仮に今攻撃をされてもヒミコレベルの化物でないと俺たちに致命傷は与えられないと思うが。
はずかしいが2人を不安にした罰として少しだけこのままでいるか。
そんなことを考えていると
「おいおい、謁見の間に行って挨拶してこいと行った俺が言うのはなんだが、この有様はなんだ」
いつの間にか入ってきたヴァンヘルトが謁見の間を見回しため息をついていた。
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