間話3 サラ・エルリック2
何故ダークエルフの女性が我が家のキッチンで料理をしているの?
そしてなぜハイエルフであられるシェリル王女を呼びすてにし、しかも料理を運ばしているの?
いろいろ考えましたが答えが出ません。
兄もなんだかダークエルフの女性に気を使っている感じです。
ダークエルフ嫌いの兄が珍しいです。
「あの……」
「そういえばちゃんと自己紹介していませんでしたわね、私はシェリル、シェリル・ディード冒険者よ」
シェリル姫は今は冒険者なんだ。
以前お見かけしたときよりなんだか雰囲気が違う気がします。
「私の名前はネイ、ネイ・イチジョウ……冒険者」
ダークエルフでネイ・イチジョウ……まさかダークハイエルフの6勇者の1人
炎帝ネイ。
すごい。本物の6勇者が目の前にいるなんて。
私は少し驚きで呆然としてしまいましたが、ネイ様とシェリル姫がこちらを見て微笑んでいる。
ああ、私も自己紹介しないと
「あ、私はサラ・エルリックです、この度は助けていただきありがとうございます」
「助けたのはシェリルで、私は何もしていない」
「でも、盗賊に襲われていたジェフ君を助けたのはネイ様よ」
兄さんが襲われた。
兄さんを見るとバツが悪そうにそっぽを向いた。
「兄さん、怪我はないの?」
「カスリ傷があったがシェリル姫に治してもらった」
兄さんの目が右上を向いている。
ウソのようです。
かなりの大怪我をしたと思います。
「兄さん……あまり無茶しないで」
兄が私のために盗賊に襲われ怪我をした。
怪我だけならいいですがそれで命を落としていたらと思うと
私はいつの間にか涙を流していました。
「いや、本当にたいした怪我じゃないって」
そんな私を見て兄はオロオロしています。
シェリル姫はハンカチで涙を拭いてくれました。
「本当にカスリ傷だよ、そうですよね姫」
「ええ、サラちゃんが気にするほどの怪我ではなかったわよ、それと姫と呼ばないと何度も言っているでしょう」
「しかし……姫は姫ですし」
シェリル姫は私に心配させないように気を使ってくれているようです。
「シェリルのおかげで、貴方は病が治り、兄は傷が治った。それでいいでしょう」
「ネイ様……そうねもうすんだ事なんですからこの話はおわりにしましょう。食事にしましょう。せっかくネイ様がジェフ君のために心をこめて作ったんですから」
「……」
「……」
何故かネイ様と兄さんはバツが悪そうな表情で席についた。
そんな2人を見ていたシェリル姫は微笑みながら席に着き3人は食事を始めました。
私はベッドで横になりながら3人を見ていましがいつの間にか眠りについていました。
1週間後私たち兄妹はシェリル姫の勧めでネイ様から剣術と魔術を教わる兄、私は魔術を教わることになりました。
半年ほど師事を受け2人で十分冒険者としてやっていけるようになると、
ネイ様とシェリル姫はすることがあると言われ私たちと別れ旅立っていかれました。
私たち兄弟が再びネイ様やシェリル姫に再会するのは5年後の学園都市入学式でした。




