間話2 ジェフ・エルリック
今回はシェリルの護衛エルフのジェフのお話です。
私の名はジェフ・エルリック
ハイエルフであられるシェリル・ディード姫の護衛の1人だ。
30年前の戦いでワタシたちの祖国アイルランド王国がヒミコの軍勢によりに滅ぼされた。
父と母はワタシたち兄妹をかばって殺された。
ワタシと妹のサラは隣国であるイングランドの軍隊に助けられた。
ワタシたち兄妹は助けられたが行くあてもない。助けてくれたイングランド将校の勧めでイングランド首都ロンドンに帰還するときに一緒に随行した。
ロンドンでの生活は苦しいものだった。
大人でも仕事がないのに子供であるワタシたち兄妹に仕事などなかった。
危険は承知で冒険者ギルドに年を偽って入会し仕事を斡旋してもらった。
祖国が滅んで2ヶ月後ヒミコが倒された。
異世界から来た人間とその仲間6人が倒したらしい。
異世界から来た人間はヒミコと一緒に死んだという。
周りにいる人間ども異世界の人間が死んで悲しむよりもヒミコを倒したことに喜んでいる。
人間とは浅ましい生き物だ。
ワタシとしては勇者たちが2ヶ月前に倒していれば祖国は滅ぶことはなかったはずだ。
そしてワタシもサラもこのような惨めな生活はしていなかったはずだ。
だからワタシは英雄と呼ばれる者と6勇者を憎んだ。
ヒミコが倒されたからといってワタシたち兄妹の生活は変わらず苦しかった。
それでも兄妹で助け合いながら生きた。
だが必死で助け合い生きてきたワタシたち兄妹に悲劇が襲う。
半年後、サラは重い病かかった。
ワタシは近くに住む医者にサラの病を治すように頼んだ。
医者はすぐにサラを見てくれ、持ってきた薬を調合しサラに飲ませ1日様子を見た。
だが一向に治る気配がない。
「すまない、私の持ち合わせの薬では直せないようだ。この子の病を治すには万能の霊薬と呼ばれるエリクサーでしか治らんじゃろう」
「でわ、そのエリクサーでサラを助けてくれ」
「……エルフの坊主、エリクサーとは最高級の薬なんじゃ。1本金貨10枚は必要じゃ」
「金貨10枚だと!」
金貨10枚の大金など、日頃冒険者ギルドでFランククエストで小銭を稼いでいる俺たち兄妹が持っているはずがない。
「頼む、金は働いて返すから薬を分けてくれ」
ワタシは人間に下げたくもない頭を下げた。
「すまん、わしも何とかしてやりたいんじゃが……」
医者はすまなそうにワタシを見る。
この医者は役たたずだ、サラがこんなにも苦しんでいるのに助けることもできないヤブ医者だ。
役に立たないヤブ医者に治療費銅貨3枚を渡し追い出した。
ワタシはサラを助ける方法を考えた。
考えたが一向に答えがでない。
数日で金貨10枚稼ぐ方法……
ワタシにできることといえば、冒険者ギルドに行き高額金額がもらえるクエストをクリアーすることで金を稼ぐ方法しかないようだ。
ワタシは急ぎ冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドのクエスト掲示板を見ると一番高い金額はクエストランクB〈バリバット山で生息しているエリクサーの原料エーデルワイスの花9束をアラン商会に〉で金貨3枚だった。
ワタシは受付の人間に報酬はいらないからエリクサーを1瓶分けて欲しいと頼んだ。
「私では対応できませんのでギルド長にお聞きしてきますのでお待ちください」
受付の人間はそう言って奥にある部屋をノックし入っていった。
すぐに白髪の体がデカイ人間が出てきた。
人間か?ただの豚にしか見えんが。
俺をジロジロ見ながら豚はしゃべりだした。
「報酬の金貨3枚の代わりにエリクサー1瓶が欲しいと言ったの貴様か?」
「そうだ」
「なぜエリクサーを欲しがる」
「妹を助けるためだ」
2本足で歩く豚は前足を顎に添え考えている。
「……いいじゃろう。ただし本来エーデルワイス9束じゃが、追加で3束つまり12束もって帰ってきたら考えてやる」
「いいだろう、12束だな。」
豚は受付の人間に合図を送ると受付の人間は以来契約書を持ってきた。
ワタシは依頼契約書にサインをし、一度家に戻り旅の支度をしバリバット山に向かった。
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