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83話「地区予選 ~準決勝戦だぞ!①」

 二回戦試合終了でオレたちが帰ろうとする時に、他校の選手二人が立ちはだかったぞ。

 いかにもな威圧を醸し出してて一筋縄で行かぬ感じだ。


「へへっ! あんちゃんたちー、一本勝負しようぜー!」


 不審な人物にオレは思わず緊張する。

 キャプテンのフクダリウスが「突然何事だ?」と言うと、向こうの大男が頭を下げて「無礼を済まない」と律儀に謝罪してくる。

 坊主頭、空手道着を着た筋肉隆々の体、そして目付きも険しい。フクダリウスにも負けぬ豪傑。

 並々ならぬ威圧がこもる大男……。


「……ワシは『レキセーンモサ学院』のキャプテン、巌穴(ガンケツ)オオガ!」

「オラは巌穴(ガンケツ)チササだぞー!!」


 ポンチョを着た無邪気なチビもあっけらかんな笑顔で自己紹介してくる。

 オレと似たような小柄なタイプだが、やはり見た目通りとは思えない……。

 この二人は見た目こそ極端だが兄弟らしいな。


「ヌシとは三回戦、つまり準決勝戦に当たる故、視察していたのだが……」

「おめえら強ぇーから、ちっと試してみたくなってなー!」

「強いと聞いたらこれだ……」


 オオガはため息をつく。しかしフクダリウスは頷く。


「構わないが、一本勝負だけな」


 なのでこちらの学院の施設を使って、軽く対戦する事になったぞ。これもあるある展開。まさか実際にやるとは思わなかったぞ。

 無垢な笑顔でチササはオレを指差してきた!?


「じゃあオラはナッ……」「ワシがナッセと手合わせいいか?」ズズイ!

「え? オレ??」


 自分で指差し呆気に取られていると、大男は頷く。

 なんかチササを押しのけて来てビックリだぞ。おかげであっちは不満顔でブーたれている。


「ヌシは世界大戦で主役となったほどの男。ずっと前から気にかけていた」


 マイシが「できるぞ……」なんて呟いてきたから、緊張したぞ。

 フクダリウスを見やると無言で頷く。

 汗を垂らすオレは「気が進まないけど、分かった」と承諾すると、オオガは「ありがたい」と不敵に笑んでくる。


「にいたん頑張って負けちまえー!!」


 ……え? 聞き間違い??


 仮想世界は、滝が窺える山地の平原。少々狭いが、一対一の対戦には充分すぎる広さだ。

 小さいオレとデッカいオオガはまるで猫と熊のようだ……。


「参るッ!!」


 なんとデカいなりで素早く間合いを縮めてきて、オレは見開いた。すかさず横に避け、オオガは向こうの木々へ体当りして木っ端微塵に粉砕し散らす。

 壮絶な破壊力だ。

 引き返してきたオオガは憤怒の表情で突進してくる。やはり速い!


「ぬうん!! ラッシュ乱嵐ッ!!」


 オオガは大きな拳を渾身込めて突き出す。いわゆる正拳突き。それを連続!

 見極め、左右に身を揺らしながらことごとく拳打をかわしていく。それでも一撃一撃は重いのか後方で岩山とか木とか風圧だけで爆砕している。

 オレを見下ろしながら拳を振りおろしてくる。通り過ぎるように飛び立ってかわす。拳は大地を穿つと岩盤が捲れ上がって大きなクレーターに窪んだ。


「フォールッ!!」


 すかさず剣でオオガの頭を斬り付けるが、逆に片方の手で止められた。

 そのままもう片方の手でオレの胴体を掴んで「うがあああああ!!!」と高く跳躍しながら弧を描くように真っ逆さまと地面へ叩きつけ、轟音を立てて土砂を噴き上げる。

 全身に響くような痛みで「ぐあ!」と呻いた。


「これがワシの『イーグル山嵐』だ!!」


 小柄なオレに、オオガのオーラを乗せた全体重の投げ技をぶちかましたのだ。

 さすがに「げほっ」と咳き込んだぞ。しかし負けられるか!


「ナッセェ!!」


 ヤマミは声を上げた。

 煙幕が立ち込める最中、真上で光の剣による『衛星(サテライト)』がヴンと浮く! そのデカい剣は無数に『分割(ディバイド)』されていってオオガへと超高速で撃ち出された!

 オレを地面に押さえ付けていた太い腕に一本当たって爆発。オオガは苦い顔で飛び退いた。オオガは両腕で正面をガードするように構え、後続の弾幕を浴びる。

 ドドドドンと容赦なく爆発が連鎖してもなお、煙幕が晴れるとオオガは山のように巨躯を据えていた。


「来いッ!! ワシのこの『ウォール岩嵐』は何人たりとも崩せぬッ!!」


 息を呑む。どんな攻撃も通用しない凄みを感じる……。

 ならば、と超高速で駆けながらオオガへ迫る。


「おおおおおッ!! スターライト・スパァークッ!!」


 オオガの両腕を斬り裂かんと抜刀するかのような最強最速の一閃が炸裂。轟音を伴って衝撃波が爆ぜた。大地が震え上がり、粉塵が舞う。

 だがこっちの方が逆に後ろへ弾かれて地面を滑っていく。ザザッ!


 誰もが唖然とした…………。



 オオガはゆっくり両腕を広げてニヤリと笑んでくる。

 あの一撃必殺を受け止めるのフクダリウス、マイシ、ヤマミ以外にいないと思ったのに!?


「なかなかに強い……。噂に違わぬ猛者よ…………。今度はワシが披露しよう!」


 地面の粉塵を巻きながら跳躍(ジャンプ)し、オオガが片足を大きく振りかぶりながら後方宙返りしていく。

 追いかけるようにオレも「ライズーッ!!」と鋭い斬り上げを見舞う。

 流星のように光の尾を引きながら急上昇! 煌びやかな軌跡がオオガへ!


「マ サ カ リ 大 断 嵐!!!」


 カッと鬼のような形相でオオガは上げていた足を振り下ろすと共に、()()()()()()()()()後方宙返りから前転宙返りに移行して左手で右手首を握った手刀を振り下ろす!

 まるで前転宙返りで薪割りをするかのような豪快な攻撃だ!!

 その手刀は音速をも超え、大気を斬り裂く鋭利な白刃と化して光の剣と激突!!


 バッキャアアアアアンッ!!


 なんと光の剣を粉々に打ち砕き、そのまま直行落下で大地をも穿つ!

 途端に大きな直線上の亀裂が走り、左右の岩盤を捲りあげて粉々に吹っ飛ばす。烈風が所狭しと吹き荒れた。余韻と煙幕がモワモワ立ち込める。


 その凄まじい破壊力に誰もが唖然……。


「……この通りワシの実力も推し量れたろう。これで五分と五分。ヌシが一方だけ知らぬのは些か分が悪い」

「あ、うん…………」


 思わず息を飲んだぞ。

 この男、フクダリウス級だ……。まだこの日本にこんな創作士(クリエイター)がいたのか。


「ぬうん。ここまでにしよう」


 オオガが切り上げ、暗転すると共に通常空間へ戻る。

 フクダリウスは「後日の対戦を楽しみにしておるぞ」とオオガと握手し合う。そして満足げにチササを引っ張って帰ろうとする。

「チッ!」

 ……なんかチササ舌打ちしたような?


 とは言えあのまま続けてたら、どっちが勝つか分からんしな。未だ緊張したままオオガとチササの帰宅を見送る…………。

 間違いなく強ぇえ! これは本気(マジ)でやらねーとな! しかし!


「最初は後方宙返りでジャンプしたのに、途中から前転宙返りできる理屈が分からないぞ」

「それ思ったわ……」


 オレのように空中で足場を作ってるワケでもないのにな……?




 チササは不機嫌そうに頬を膨らましていた。ぶー!


「にいたん! オラもナッセとやりたかっただ……!」

「おまえが惚れ……いや傷つくと困るから切り上げたのだ! 我が()よ!」

「えー! なんだべそれー!」


 ぷんぷん憤慨して両拳を振り上げてピョンピョン飛び跳ねる。その拍子にポンチョが舞って、大きく膨らんだ胸がぷるんっ!


 そう! 実はチササ女の子だったー!! そしてロリ巨乳なのだーっ!


「胸は隠せ! ()()を見ていいのはワシだけでいい!」

「なに見てんだぞ!! この変態シスコンー!!」

「何とでも言うがいい!! 決してワシ以外に彼氏は作らせぬ! 結婚もさせぬ! エッチもさせぬ! 一心同体ゆえ!!」


 オオガはかなり重度のシスコンだった…………!

 なので、このように妹を異常に独占するのは日常茶飯事なのだ。だからチササはドン引き!


「今日こそ一緒にお風呂入って添い寝だ!! 邪な気持ちはない! 兄妹の境界を越えてまぐわおうぞ! ぬうんっ!」

「にいたん! ええ加減にしろだーっ!!」


 ついにブチ切れしたチササは殺気漲るオーラを噴き上げ、伸ばしてきた槍でシスコンを殴り飛ばしてドゴン!!

 厚いコンクリートの壁に大の字でめり込んでオオガぐったり!


「オラ先に帰っぞー!」ぷんぷん!


 このようにシスコンを半殺しするのも日常茶飯事だった…………。

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