75話「メンバー選定⑧ ~リョーコ vs フクダリウス」
ミコトもドラゴリラもエレナも粉砕して、フクダリウスの快進撃は留まる事を知らない!!
そして次の対戦者は……!
「リョーコッ!!」
「見てて! あたしが、斧女子が! その難攻不落を撃沈する所をっ!!」
先ほどの恐ろしい剣幕にも、リョーコは元気よくガッツポーズを見せつけてくる。
そんな彼女に頼もしいと感激していく。
打ち震えながら「頑張れ!! 同じチームメンバーとして!!」と激励する。リョーコは「ああ!」と頷き、戦地へと悠々と歩き出す。
フクダリウスと共に仮想世界へ転移……。シュパーン!
天候は暗雲に稲光迸る雨天。薄暗く静かな市街地。大きな川は水位が高く、荒れている。
道路が川になって見えるぐらい薄い水位で流れている。
豪雨も相当なもんで、ザーザー音が絶えない。リョーコは真剣な顔で目の前のフクダリウスを睨む。
互い得物が斧! だがしかし大きさと重量は断然違う!
リョーコは片手でも持てる両刃の斧。しかしフクダリウスのそれは重々しく広大な両刃の戦斧。
どう見ても勝負が見えてるとしか思えない体格と得物の絶対的差。
「うぬも相当な猛者! 全力で叩き潰してやろう!!」
二メートルくらいだったのに、メコメコと筋肉隆々に膨らんでいって五メートル強の大男に変貌。
重々しい威圧でリョーコは冷や汗で全身が濡れるくらい戦慄させられた。
だが、彼女はナッセとアクトを脳裏に描く事で活力を漲らせて、莫大なエーテルを噴き上げた。
「行くわよッ!! せいやーッ!!」
大地を蹴って爆発させて、瞬足で駆け出す。フクダリウスは不敵に笑み「ワシを相手に真正面から挑もうとは! 大した度胸よッ!」と戦斧を軽々と振るう。それをリョーコはすれ違うように真上へ飛んでかわす。
「斧女子フォールッ!!」
なんとナッセのように斧を振り下ろして頭上に炸裂!
フクダリウスの額に微かな血が垂れるが平然としている。リョーコは苦い顔。
「ぬんッ!!」
高速で薙ぎ払ってくる戦斧に、リョーコは咄嗟に斧を盾に防ぐが遠くのビルにまで吹っ飛ぶ。激突してビルすらへし折って瓦解させていく。
へし折られたビル上部が下の住宅地に落ちて粉々となって破片が飛び散る。
下の部分もガラガラと崩れ去って瓦礫が道路に広がっていく。
その甚大な破壊力に呆気に取られてしまう。
ヤマミも誰もが息を呑む。余りにも強すぎる、どう戦えばいいのか皆目つかない。
「いっせーのぉ……」
なんと瓦礫の中からエーテルの輝きが溢れ、バゴンと吹き飛ばしてリョーコが飛び出す。
額に血が垂れていて衣服も破けているが健在だと言わんばかりに駆けながら「クラッシュ!」と一声!
フクダリウスは力んで血管が浮かび上がるほど筋肉モリモリに膨れる。
「バスタ────ッ!!」
リズムよく発しての掛け声一発で繰り出す強烈な一撃がフクダリウスの胸板に炸裂!
「ぐぬ……!!」
呻くフクダリウスの踏ん張る両足が、地面を削りながら数メートル後退っていく。
しかしそれでも倒れるに至らず、鋼鉄よりも硬い筋肉の鎧には一筋のアザがついただけだ!
「もう一丁……!」
間髪入れずリョーコは渾身の力を込めて「クラッシュバスターッ!!」と思いっきり斬り付ける!!!
轟音を伴って巨躯のフクダリウスさえ後方へ吹っ飛び、住宅地へ突っ込んで派手に爆砕!
ガラガラと崩れ落ちる。
「いっせーのォ……!」
大地を揺るがしてリョーコは斧を後方へ構えて、エーテルを迸らせていく。
フクダリウスが巨人のように瓦礫の山を吹き飛ばして掴みかからんと襲い来るが、リョーコは真上へ飛ぶ!
そして高速前転宙返りでフクダリウスの頭上へ斬り付け、火花が散る!
ギュガッギュガガガッギュガガッギュガガッガッギュガガガッ!!
なんとヨーヨーのように上下に跳ねながら幾度もなくフクダリウスの頭上を斧の連撃で攻め立てる!
防ごうと頑強な太い手で掴もうとするも逆に弾かれる! 今度は戦斧で吹き飛ばそうとするも同様に弾かれる!
絶えずリョーコは回転ノコギリのように頭上を攻め続けて上下に跳ね続ける!!
なすすべもないフクダリウスは頭上を打たれながらヨロヨロさまよう。
ギュガガガガッギュガガガガッギュガガガガッギュガガガガガッ!!
「ぐおおっ!!」
火花散り、さすがのフクダリウスも頭上から血飛沫が舞い、上半身が血塗れになっていく!
リョーコは上空へ高く跳ね、更に超高速回転しての渾身の一撃をフクダリウスの頭上に叩き込む!!
「ローリングデストロイヤ────ッ!!」
ギュガガァン!!
勢いそのままにフクダリウスの頭を道路に打ち伏せた!
広範囲に陥没し、アスファルトが捲れ上がって飛沫を上げ、大きく窪んでいった!!
リョーコは着地し、息切れしながら辛そうな顔をしている。フラリとよろめくが踏ん張る。
しかしフクダリウスはムクリと起き上がって、首をブルブル振るうとフッと笑う。リョーコは見上げて絶句する。
あれほどまでに全力で叩き込んだというのに、まるで平然としているかのようだ。
「だいぶ効いたぞ……。頭がクラクラするわい」
ゴキゴキッと首を鳴らす。
リョーコは足が震えるが、負けられぬと気張る! 全身からエーテルを噴き上げる!
再び「いっせーの」と構え始めると、フクダリウスは両目を輝かせた!
「フクダリウス・ハリケーンッ!!」
扇風機のように振り回した戦斧によって巻き起こされた竜巻が瞬時にリョーコを飲み込む!!
周囲の住宅地を巻き込んで破壊しつくしていく最中、リョーコは「うわああああ!!」と竜巻に振り回され続けた!
竜巻が周囲を平らにするほどに蹂躙し尽くすと霧散し、血塗れでボロボロにされたリョーコが地面にドサッと落ちた。
「ま……負けられんない……!」
「ほう?」
震えながらもリョーコは歯を食いしばって立ち上がっていく。
フクダリウスは巨人のようにズンズンと足を踏み鳴らしてリョーコへ覆いかぶさって戦斧を振るう!
剛力で振るわれる巨大な戦斧は轟音を伴ってリョーコに叩き込まれた。彼女は超高速で吹っ飛ばされて建物をガンガンガンガンと貫いていって、向こうで煙幕がドガァァンと噴き上げた。
オレは青ざめて震えるしかなかった……。
「こ、これが……フクダリウスの……実力!!」
「スラッシュスレイヤ──ッ!!」
広大な三日月が超高速で飛んできてフクダリウスは「なっ!?」と見開く!
慌てて戦斧で払うが、弾けないほど重くのしかかる!! どこにそんな力が!?
「もう一丁……!」
リョーコは目前にまで全力疾走で間合いを詰めてきた!! いつの間に!!?
さしものフクダリウスも虚を突かれ「クラッシュバスタ──ッ!!」と渾身の力を叩き込まれ、斬撃の軌跡がX字を描いて炸裂された!!
その軌跡が爆ぜるように拡散して大地にもX字の亀裂を刻んでいく!
「ぐわあああああああっ!」
轟音を鳴り響かせ、凄まじい衝撃を受けたフクダリウスは見開きながら血を吐き、吹っ飛ぶ!!
ビルへ勢いよく激突し、ドミノ倒しのように次々とビルを崩していってガラガラと一気に瓦解していった!
オレは「スゲェ……あんな底力が!」と放心しそうになった。
さっきのが死力を振り絞ってたのか、両手をぶら下げたまま血塗れのリョーコはハァハァ息を切らして項垂れている。
立っているのがやっとなのだとオレでも分かる。
「リョーコッ! あと一息だ! がんばれーッ!!」
逆に瓦礫を吹き飛ばしてフクダリウスはドスドス地面を揺らしながら疾走ってくる。
さっきよりも血塗れで、胸板にX字の凄まじい傷跡が刻まれて痛々しいが、依然と健在な動きを見せている。
「まだ……まだっ! これから……よっ!!」
起き上がれぬほどの重傷なのに、なおもリョーコは立ち堪えていて戦意漲る眼光でフクダリウスを見据えている。
斧を血塗れの手で握り、奮起しようと全身からエーテルが溢れようとしている。
「ぬおおおおおッ!!」
フクダリウスは憤怒の形相で全身全霊オーラみなぎる戦斧で容赦なくリョーコをひと薙ぎ!
「ぐあ……ッ!!」
そのまま吹っ飛ばし住宅地を次々と突き抜けて向こうのビルを木っ端微塵に砕いていった。そして棺桶化の爆発が煌めいた。ドン!
さしものフクダリウスも苦しく息切れしながら膝を道路についた。
しばしザーザー振り続ける寂しげな豪雨が、僅か及ばずと悲愴さを語っているかのようだ。
そんなギリギリの勝負に涙が自然と溢れた。自分の事のように悔しい!
あと一息だったのにッ!!
「よく戦ったわよ……。あなたの親友は!」
ヤマミが優しく背中に手で触れてくれる。
涙を拭って「あ、ああ……」と我に返った。思えば入学の頃から気さくに付き合ってくれた女友達。たこやきも奢ってくれたし、屈託のない明るい笑顔には癒された。
「リョーコはマジで強ぇーぞ!!」
「うん! 強いわ! 後一歩、追い詰めていた!!」
帰ってきたリョーコが「ごめん、負けちゃった!」と苦笑いしてくる。
フクダリウスも「最後のはさすがに追い詰められたわい!」とおおらかに笑っていた。やっぱスゲェよ! 二人ともさ!
それを見て、オカマサは自分の事のように誇らしげだ。ふふん!
「終わってみれば終始フクダリウスが圧倒していたな!」「せやせや!」
「そうでもないぞ」
歩み寄ってきたフクダリウスに、二人は「えっ!?」と振り向く。
「あと一撃だ……。あと一撃喰らっていたらワシは沈んでいた」
「おっと、世辞はよそうぜ?」「せや!」
「……世辞でも冗談でもなく、本気だ。後一歩負けかけていたわ。危うかった。それほどまでに彼女は本当に強いぞ……。アイツは若い。これからも成長していって、いずれワシを超えるだろうな」
フフッと頼もしそうに笑むフクダリウスに、オカマサとドラゴリラはポカーン!
────次はフクダリウス対ナッセ!! ついに因縁の対戦が始まる!




