表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/358

44話「劇場版インドラの野望①」

 劇場版ナッセの奇想天外な大冒険!

『インドラの野望 ~選ばれし四人の勇者~』


 神秘と文化とカレーの聖地インドで繰り広げられる限界突破の究極バトル!

 全ての謎を、真実を、生き様を……その目に焼き付けろッ!!

 燦然と輝く明日をその手で掴み取るために四人の勇者たちは立ち向かう!!!


 射撃の勇者ヒットマン・ブレイバー万々(バンバン)ジュウ!

 猛獣の勇者(ビースト・ブレイバー)鬼狼(キロウ)クロウ!

 稲妻の勇者(サンダー・ブレイバー)神雷(カミライ)ゴロゴ!

 後光の勇者(セラフ・ブレイバー)城路(ジョウジ)クニロー!


 彼らの活躍を刮目せよッ! ド ン!

挿絵(By みてみん)


 二〇〇九年九月一九日(土曜日)


 オレはドキドキしながら飛行機に乗っていた。しかしヤマミの方は相変わらず落ち着いている。

 海外旅行は初めてではなかったがインドは初めてだ。

 さすがに並行世界(パラレルワールド)を転々とする際に、全ての国を回れる余裕はない。あん時は終末エンドの回避で頭いっぱいだったからな。


「ってかインドってどんな感じかなぞ?」

「カレーが主流(メイン)となってる国よ」


 いつの間にかインドの旅行ガイドブックを開いていた。なんかカレーばっかり紹介されている。

 いや紹介するもの他にあるだろっ!?



 ────と、唐突な旅行展開で失礼。

 何故こんな出来事になったのかは、数日前に遡る。

 人気のない深夜。暗闇で覆われ倉庫が建ち並ぶ大阪港、そこで爆発が起きた。


 ドゴォォォン!!


 更にドンドンドンと爆発が断続的に起き、破片が飛び散っていく。積んでた荷台が転がり潰れ散々たる惨状に至った。


「くっ! 貴様は!!」


 破けて汚れた黒いコートを身に纏う、熱血漢をイメージさせる黒髪のボサボサモミアゲのくどい濃い顔の男は「ハァハァ」と跪いて満身創痍の体をさらけ出していた。両手にはハンドガン。

 この男が睨む先に、一回り大きい巨躯の大男が積まれた荷台の上に立っていた。


「ハッハハハハ!! 万々(バンバン)ジュウの実力はその程度か!? 他愛もない!」


 大男は暗めの緑のコートを着込んだ黒タイツ、そして手に持つのは大仰な槍。大胆不敵で豪胆な笑みを絶やさずタバコを咥えている。


「裏社会で『ハヌマーン』と呼ばれる大物! なぜここに!!」

「フッ! 知れた事……ワシはこれまで多くの貧しい人や孤児などを救ってきたが、世界には好かれなかった。だからこそテロ組織に属し、暴力でもって世界に思い知らせてやるのだ!」

「なんか説明口調だなっ!?」

「寂しくて誰かに話したかったからなっ!」


 ジュウは悟った。ハヌマーンという男はただの乱暴者ではない。誰よりも優しい心を持ち人を愛する事ができる男だ。

 しかし世界は残酷なもので、彼の行ってきた行為故に逆に悪党というレッテルを張られてしまった。その事にハヌマーンは孤独感と共に絶望して、暴力で世界を壊そうと自暴自棄になっているのだろう。


「……お前も不器用だな。だがテロなんてバカな事ッ……」

「本当は貧困層にインフラ設備を施し、そして保育園や学校を作ってやりたかった。ワシ自身も保育士になりたかった……。そして幼女をぺろぺ……結婚したかった…………。だがその夢はもはや叶わぬッ!!」


 ハヌマーンは幼女への切ない想いを胸に、腕の筋肉をギリギリとゼンマイを巻くように回りながら収縮。


「グルグルラァァ──ンスッ!!!」


 高速射出されるように槍を手にした腕が数十メートルもビョ────────ンと伸びてきて、ジュウは横に飛ぶ。

 通り過ぎたソレは更に槍がガガ────ンと伸びて、向こうの倉庫を貫き爆破でドガ────ン!

 爆発にまみれた倉庫は炎上しながら崩れ落ちていく。


「こ、これが……二段伸縮刺突ッ! 技名はともかく、ハヌマーンのウォーパイク(甲殻重装甲勃起(ボッキン)式着発弾頭戦槍・改)『ゼヴォルデントガイン・マキシカスタム』一槍か!

 マックスシャチク社製の強行試作型をインドラ狂信派が独自のルートで入手したのだろう。あまりにも特殊な武装で、槍と共に内蔵された中折れ式ニトロパイルを射出・貫通・爆散させる構造。しかし桁外れの威力の反面フィードバックシステムに問題があり、扱える人物が存在しなかった。

 だが、腕を超高速で伸縮できるハヌマーンの身体能力も合わさり、その性能は俺が属する「ソォロモォーン777柱」のナンバーシリーズや最強クラスである「サイキョーダ」に匹敵するほどに至ったワケか」ゴクリ……!

「……いや、そこまで長々と設定説明しなくてもいいんだが」

「すまねぇ! そういうロマン武器に目がないのでな。少々熱を上げてしまった」

「ロマンって言うな! ロマンって!」


 ジュウは両手だけではなく、肩、脇、股間、足、なんと全身から仕込みの銃火器を続々と出して、絶え間のない弾幕を撃ち出した。

 周りの倉庫を蜂の巣にし、引火したのか次々と爆炎を噴き上げて大火事に発展していく。


「ぬおおおッ!! ロリコンの力を喰らえいッ!! グルグルラ────ンス!! グルグルラ────ンス!! グルグルラァァァァァ──ンス!!」

「うおおおおおおおおおッ!!! バンバン(バン)射撃(ショット)!! バンバン(バン)射撃(ショット)!! バンバン(バン)射撃(ショット)ォォォッ!!」


 ハヌマーンとジュウのバカ一つ覚えの技の応酬で大阪港は火の海だ。

 その想像を絶する騒々しさに苦情が9999件押し寄せられて、パトカーが数9999台も慌ててやってきたのだが、バカ二人の戦いに手に負えずにいた。


「手を上げろ!! う、撃つ……」「うわあああ!!」「逃げろ──ッ!!」


 ドカンドカン爆発が押し寄せてきて、警察官は恐怖のあまり一斉に逃げ出した。

 取り残された哀れパトカーは爆風に巻き込まれて宙を舞った。



 とーぜん! 大阪港近くの()()()ホテルに泊まっていたオレの耳にもガンガンガン響いてきて寝られるはずもなく──!

 ベッドの上から降りて全裸から着替えてから、ボウッとフォースを噴き上げ、足元に花畑が広がり、後ろ髪を伸ばし、四枚の羽を広げ、オレは窓から飛び出した。

 残されたヤマミ(いっしまとわぬすがた)はムニャムニャ眠たそうに「いってらっしゃい……」と再び寝た。


 オレは超高速で夜空を駆け抜けて、大阪港まで来ると二人を視認した。



「盛り上がっていくぜぇぇぇぇえッ!! 盛り上がっていくぜぇぇぇえッ!!」

「おおよ! もっと燃え上がれェェェェッ!! 燃え上がれェェェェッ!!」


 ハヌマーンとジュウは完全に二人だけの世界に浸って戦っていた。


「てめーら! 真夜中にうっせーわッッ!!」


 オレは急降下しながらハヌマーンとジュウの頭にダブルゲンコツを落とした!


 ゴゴン!!

「「バガッ! 痛い!!」」


 叩きつけられた二人は地面にめり込んで、足がピクピク痙攣……。

 射撃の勇者ヒットマン・ブレイバー万々(バンバン)ジュウ、ハヌマーンと一緒くたに逮捕されたので再起不能(リタイア)!!


 ────それは()()()()()新潟(ニイガタ)の親戚から航空券(チケット)をプレゼントしてもらったのだぞ。←理由そっちかよ!!

 勇者と四神の紹介!


万々(バンバン)ジュウ』(暗殺者(アサシン)

 射撃の勇者ヒットマン・ブレイバーと呼ばれるはずの男。黒髪とモミアゲをボサボサ生え散らす濃い顔の男。頑固で融通が利かないのが玉に瑕。銃器オタク。でも意外と強い。

 噂ではソォロモォーン777柱の内一人。あと776人いるのか……。

 劇場版一話目で逮捕された為、出番はなくなってしまった。

バンバン(バン)射撃(ショット)(とにかく銃器を並べて弾幕を張るバカ一つ覚えな攻撃)

 威力値:58000



『ハヌマーン』(狂戦士(バーサーカー)

 元軍人にして傭兵の男。国籍不明。ハヌマーンというコードネームを気に入っている。

 性格は豪胆で快活だが脳筋。よく食べてよく笑ってよく暴れるが、実は寂しがり屋。話を聞いてもらいたい。

 徹底的に後腐れなくやるという事で『暴力』という在り方というブッ飛んだ思考。人はそれを脳筋とも言う。

 ただしロリコ……いや保育士願望の為、幼女にメッチャ優しい。

 基本的にパワータイプでまどろっこしい事は嫌い。それを脳筋と言う。

 腕と足の筋肉がドリル状に巻いているので伸縮性がある。なので特殊な槍と合わさって人間兵器みたいなのになっている。

 逮捕後、模範囚となって周囲の人を惹きつけている。目指すは保育士だ。

グルグルランス(腕と特殊な槍で二段伸縮する事で、かなり遠い間合いを粉砕できる)

 威力値:110000

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ