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406話「いざ火星へ発進!! 浮遊艦ヒカリバナ!!」

 二〇一〇年六月十九日……。


 四首領(ヨンドン)ヤミザキ、ヘイン、エレサ、ダウートとその直属親衛隊及び、オレたち創作士(クリエイター)学院たちは火星へ向かう事にした。

 その為にも『超大型浮遊艦ヒカリバナ』に搭乗して、ズズズズ……と山脈から浮き出してきた。

 もちろんエネルギー源は操縦室のヤミザキ。


「これよりヒカリバナ、地球を発つ!!」


 浮遊艦が急上昇して、地上がギューンと収縮していくかのような錯覚を覚える。

 あっという間に対流圏、成層圏、中間圏、熱圏、外気圏を通り抜けて宇宙へ抜けたぞ。

 青い地球が丸く見える……。


「ってか、世界大戦の時にオレたちへ攻め込んだ巨大な戦艦で宇宙へ行けるとは……!」

「うん。私も初めて……」


 モリッカは「うわー! 見てくださいよ! ピーチさん!」と、邪険モリッカをグイグイ引っ張ってて「やめろォ! ピーチもやめろォ!!!」と拒否されていた。

 マイシは腕を組みながら、遠くなっていく地球を眺めていた。

 勇者ナッセと魔法少女リョーコは窓に手をつけて「うわー! 初めて見たー!!」とはしゃいでいた。


「こんな大きな宇宙船が作れるなんてビックリです!」


 エガラは興奮しながらメモ帳に絵を描き描きしていた。


「これは我らが作ったものではなく、元々遺跡にあったものを回収してメンテナンスして使えるようにした古代文明の遺産だ。星間航行できるようになっているのは調査して分かった事だ」


 ヤミザキの説明に、オレたちは目を丸くするしかない。エガラはメモメモ。

 フクダリウスも汗を垂らして驚いている。


「それは一体いつ作られたものだ……?」

「恐らく今の文明が発展する前……紀元前のものである事は間違いない。推測するに一万年以上も大昔だと察する」

「「「えええええええええっっ!!!?」」」


 機械文明で発展する前よりも遥かに大昔に、高度な魔法文明によって作られたらしいのだ。

 全ては魔法合金で構成され、複雑な魔法陣が拵えられ、頑丈な動力として組まれている。

 オーバーテクノロジーとも言える遺産……。


「恐らくこれは古い型だと思う。だからここに捨て置かれた……」

「おいおいおい!! それ、とんでもねー史実じゃねーのか!?」


 カイガンは驚いてビビってる。オレだってビビってる。

 オレはとてつもない想像をしているぞ。


「ひ、ひょっとして……地球を離れた人類がいるって事か!?」

「うそ……!?」

「あながちウソとも言えん。私は鍵祈手(キーホルダー)として人生を繰り返しながら、丹念に調べてきたからな。推測でしかないが、地球では人口過多になり文明が飽和(ほうわ)状態になってて巣立ちするべき他の恒星系へ散らばっていった。地球で古代文明が衰退した理由はそこにあるかもしれん」


 オレたちも鍵祈手(キーホルダー)として繰り返してきたが、ヤミザキの方は古代歴史を調べていたらしい。

 何代も人類が発展して、その度に宇宙へ進出する形で巣立ちしているなんて初めて聞いたぞ。


「そ、そういやテレビで太陽系を回ってから、遠くの恒星系へ行く計画立ててたってアレもか!?」

「それはまだ試運転みたいな感じで、本格的に星間航行するのはもっと未来の話になるかもしれんな」


 なーんか壮大な話になってっけど、地球産の人類が何度も飛び立ったって事だとすると……もっと広い世界があるって事か?

 銀河系に及ぶほどに知的生命体が星間航行して、住みやすい惑星へ根を下ろしていく。

 もしかしたらス〇ーウォーズみたいな事があるのかもしれない。


「我々のいる地球よりも、もっと広大な世界があるという事だろう」

「ちょっと待って待って!! 話を広げると暗黒大陸みてーな事になるぞっ!!!」

「もう収拾つかないわよ!」


 これから異世界へ行くって夢あんのに、ここで世界広げるなよ!


「無駄口はここまでだァ……!!」

「まずは火星ね」

「へっはっはっは!! いよいよ火星大侵略じゃ!」


 ダウート、エレサ、ヘインはいつもの通り平然な顔で、モニターに映るでっかい火星を見据えていた。

 月よりも大きく見える。


「月よりも地球に近い火星はありえるのか?」


 ジャオウは不審な顔を見せた。不安そうにモエキが腕に組み付いてる。

 闇のカップルェ……。


「なんでか分かんねーけど、プレートスライドで地球へ近づいているですっ! なぜそうするか分からないけど衝突してしまうですっ!!」

「「「ええええっ!!?」」」


 宇宙帝(ゼット)がそんな事言い出したもんだから驚くしかない。


「待て待て待てっ!!」

「話が飛躍してるぞ!?」

「なんで地球へ??」

「なんでそうなるのか説明しろッ!」

「フハハハッ!! これは大胆よ!!」

「地球爆散するッ!! ヤバッ!!」

「冗談じゃねぇ……! 火闘神(カヴァリン)マルスってのは自殺でもすんのかよ? いや不死身だから平気ってか?」


 他のみんなが動揺してざわざわしとるぞ。ムリもない。


「もしかしてナノマギアで地球と融合するかもしれないですっ!!」

「「「ええええええええッッ!!?」」」


 切羽詰まった宇宙帝(ゼット)に、オレたちはオーバーリアクションするしかない。

 地球と火星が合体するとかスケールでかすぎんだろ。


「しかし宇宙帝(ゼット)……、地球と融合してどうするんだ!?」

「分かんねーけど、きっと火星はナノマギア・オリジンに染まってるから地球を侵食してワタシたちまで飲み込むつもりなのですっ!! だって、火星はもう終わりかけてる惑星だから!!」

「か……火星が!!?」

「待て!? 話が見えんが……?」


 宇宙帝(ゼット)は頷く。そして口を開く。

 実は火星は火闘神(カヴァリン)マルスが侵略してきてから資源を食い潰してきて、自らのナノマギア・オリジンの糧にしていった。

 徐々に枯渇していく火星は寿命が短くなってきている。


「し……資源を!?」

「ナノマギア・オリジンは永久機関じゃねーのですっ! ましてや無からエネルギーを作れるわけじゃねーのですっ! 星のエネルギーを吸い尽くして亜空間にある魔法炉に蓄積させて、あらゆる事象を可能にしてるですっ!」

「ほ、星の……!?」


 シュージンは「やはりね」とこぼす。

 ラッピスとラズーリは汗を垂らして見開きながら恐る恐る口を開けた。


「ま、まさか……!? 俺たちを封印したのは…………!?」

「そんな……あたしらは一体…………!?」

「そう、居るだけで地球のエネルギーを無尽蔵に吸い続ける。永遠の亡霊(ファントム)化を可能にする為にエネルギーの略奪が要るのさ。でも封印していれば止まるからね」


 震えだすラッピスとラズーリ。今まで知らなかったらしいな。

 グランドルフとゴリアテは神妙な顔をしている。


「……こんなん欠陥じゃねぇか!」

「そうね」


 恐らく火闘神(カヴァリン)マルスたちは地球の資源も欲しいから、融合を狙っている。

 ナノマギア・オリジンは存在してはいけないテクノロジーだ。


「一つ残らず消し去るしかねぇ……ッ!!」


 オレは切羽詰って歯軋りする。

 するとシュージンがオレの肩に手をつけた。


「だが、ナノマギア・ワクチンのおかげで地球のナノマギア・オリジンは減少を辿っている。終わらせる事ができるのは君しかいないってわけだね。だから……」

「ああ! 絶対に終わらせてみせるぞ!!」


 オレは決意を胸に力強く頷いた。



 しかし、オレたちは気づいていなかった…………。

 火星で起きている悲劇は想像以上で、もはや詰んでいるという事をな。

 ズズ……!

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