402話「ついにローマの四首領エレサ降臨!!」
オレたちは運が良かったのか、悪かったのか……?
これから次々と国を訪れたが、ゾンビだらけのバイオハザードしかないじゃないか!
「たまたまプラネンタ王国から入ったから、これだけどぞ……」
「ええ。もしバイオハザード地域からだったら、ゾンビだと気づかず宗教の信者だと思って、無駄な説得とか試みてたかもしれないわね」
「そして……ひっそりナノマギア・オリジンに感染されて…………」
「私たちが死んでゾンビになっていた!」
プレートスライドし続ける浮船で、オレとヤマミはゾッとしていた。
カローン王国、エーリッス王国、ハウメィア王国、プロメッス王国、ガニデメ王国、オペロン王国……いずれもダメだったぞ。
とりあえずゾンビを駆除したが無人化してしまった。
生き残りは誰も……。
これから向かう先は世界有数の大国だ。たぶん元凶がそこにいそう。
「ジュウピンタ王国。地底境域界の中でも一、二を争うほどの大国」
「創造神アポロを崇める宗教移民団なら、本拠地にしてるかも……」
「そんで元凶のボスがいるかもしれねぇ!」
光闘神ソロモォーンってヤツをやっつければ全部解除されるはずだ。
ジュウピンタ王国……。
地底境域界で最も繁栄したであろう大国で、高レベルの建築技術によって建てられた建造物がきちんと並んでいる。
かつては賑わっていたであろう人々は淡々と静かに行き交う。
宗教にとって都合よく整理されているせいか、生活感のない小奇麗な感じでゴミもなければ、露店や店も娯楽施設も整備されていない。
寝て、起きて、最低限の食事を行い、祈る。まさに品行方正の生活をしている。
王宮は立派な教会に変えられ、一部改築されていた。
大衆が正座して、何度もひれ伏すように祈りを繰り返していた。
「てんもうかいかーい、てんもうかいかーい。世界全ては唯一神により創りたもう。ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「てんもうかいかーい、てんもうかいかーい。世界全ては唯一神により創りたもう。ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「てんもうかいかーい、てんもうかいかーい。世界全ては唯一神により創りたもう。ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「てんもうかいかーい、てんもうかいかーい。世界全ては唯一神により創りたもう。ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「てんもうかいかーい、てんもうかいかーい。世界全ては唯一神により創りたもう。ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
大衆が揃って祈りを捧げる先に、巨大な大きな翼を広げている天使っぽい偶像が聳えていた。
変態そうなタレ目でゲヒヒ卑しい口で、ワカメみたいなモジャモジャ黒髪。そして背が高いヒョロ男で、どう見ても小悪党としか見えない。
それこそが彼ら宗教団が崇める創造神アポロなのだろう。
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
「ありがたやありがたや。創造神アポロさま」
狂ったように人々は同じ動作を繰り返して祈り続けていた。
それを高いところから傍観する王冠をかぶったオッサンことソロモォーンがほくそ笑む。
「ようやくだ……、ようやく! 我は全ての世界を統べる王となれるのだ!!」
四首領ヤミザキのせいで777柱を壊滅させられ、同じ四首領ダウートにも打ちのめされて地獄界の六道石を奪われた。
全くもって憎たらしいヤツらのせいで、人生メチャメチャだ。
だが、謎の使者からナノマギア・オリジンを授けられて、最高の力を手に入れられた。
「これで、我も返り咲く事ができたのだあああーッ!!!」
はっちゃけて重々しい威圧をあふれさせて、凄まじい震撼がズズンと地底境域界中を覆った。
ソロモォーン王は全身から圧倒的なフォースを噴き上げていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!
高らかに両手を掲げて、自分こそ至高の存在と驕り高ぶっていた。
永遠に生きれる不死身を得て、何度でも再生できる素晴らしい能力も得た。
そして愚民どもを操り人形として思い通りに動いてくれる。
しかも我のナノマギア・オリジンを注入さえすれば、どんな人間も一〇〇%下僕にできる。
「まさに一番欲しかったものを、我は手にしたのだーッ!!!」
傲慢な高笑いを繰り返しながら震撼を及ぼし続けるが、人々は一心不乱と祈りを捧げていた。
「数多くの地底王国を支配下に置いて確信ができた。誰も我に抗えず、徐々に各国を支配できる。いずれは全ての地底王国を手中に収められるだろう……。そして!」
ソロモォーン王はキッと、遠い大地の天井を見上げた。
「地上へ君臨して、四首領どもを逆に手駒にしてやるッ!!!」
使者が言っていた火星にいるらしい創造神アポロなど、もはやどうでもいい。
全ての人間が我の前でひれ伏す事になるのだ……。
「ハァーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」
「それはどうかしらね……」
あらぬ方向から冷徹な声が聞こえ、ソロモォーン王は笑いを止めた。
すると、真上から四メートル強の大女がズズンと降りてきた。金髪ロングで白いローブを纏う美女。毅然とした表情だ。
さすがにソロモォーン王は強張ってワナワナ震えだす。頬を汗が伝う。
「き……きさまは…………!?」
「ローマの教皇エレサってとこかしらね」
「四首領ッ!!?」
ザッと飛び退いて身構えるソロモォーン王。
なんで、ここに? 一体どうやって?? そもそも地上に何も……!
「実は生き残りを保護しててね、ローマで保護して話を聞いたの。そしてプレートスライドでここまで来れた。まさかソロモォーンが牛耳っているとは思わなかったけどね」
「きさま……!」
「あなた、闘神って言ったかしら?」
突然の訪問に驚いたが、次第に笑みを釣り上げていく。
「ふふ……はははは!! そうだ! 我はいずれ世界を統べる王! 光闘神ソロモォーンなり!!」
「哀れな小物ね。分不相応にご大層な野望を抱いても自滅するだけよ」
「うるさいッ!!! ここで踏み台にさせてもらおうッ!!!」
怒りに漲ったソロモォーン王の頭上からボコボコと赤いものが膨れ上がってきて、たちまち巨大な赤いタコへと象っていく!!
そして無数の触手には吸盤の代わりに目玉がギョロリと蠢き出す!
これまでよりも巨大で禍々しい偶像化だ!
タコタコタコタコタコタコタコ、と奇妙な反響音が広がっていく。
しかも大量の信者が一斉に押し寄せてきて、エレサへ殺気立っていた。
祈りをやめて殺意漲らせて「背徳者に死を!!」を連呼しながら、なだれ込む大衆は魑魅魍魎のようだ。
「死ね!! 四首領エレサッ!!!」
四面楚歌とたった一人のエレサを叩き潰さんとする! しかし!
ソロモォーン王も民衆も見開いていく!
なんとエレサの背中からバキバキと耳障りな音を立てて六枚の天使の白翼を展開してきたのだ。
ズズズズズズズズズズ……!!
「あ……あぁ…………!!」
熾天使として神々しい光を撒き散らすエレサが優雅に聳えている。
まさかの上位生命体。決して手の届く事のない偉大な存在。ソロモォーン王は自分を呪うしかない。
なんで我はひ弱で下等な人間なのだ、と。
「痛いの行くわよ!」
グッと拳に握ったエレサは、強烈な超高速フックを放った。ボッ!
眩い光が広がって轟音とともに地底境域界をも揺るがすほどに及んだ。
神の一撃かと錯覚するほどに凄まじく神聖な衝撃。
ズ オ ッ!!!!
「ぎ……ぎはッ…………」
宙を舞っていたソロモォーン王は白目でやせ細って、ドサッと横たわる。
ミイラのようにシュワシュワ萎んで息絶えて、風化するようにサラサラとチリと化して空に流れていった。
同時に押し寄せていた大衆も死屍累々と横たわっていて、同様にサラサラとチリに流れていく。
「……終わったわ。もうこれで」
六枚の純白な翼をキシキシしながら悠然とエレサは仁王立ちしていた。
まるで天より降臨された熾天使かと思うほど神々しいぞ。
その威力値は一三二万!!




