396話「隊長ナッセとしての貫禄」
三闘神をワクチン化させた後、メィテオルンとゴーメット王国で一日二泊する事にした。
豪勢なホテルでの広間で、オレたちは今後の事を話し合っていた。
「地底境域界は思ったより広い。そして多くの国が存在する。全員で回るには相当時間がかかる」
「そこで三組に分けて回っていきたい」
「ウム。それには同意する!」
隊長のオレはヤマミとリョーコと他数名。
マジンガを隊長にして、ジャキガン学院の生徒たち。ジャオウとモエキはセット。
フクダリウスを隊長にして、大阪組。
──以上、メンバーが決定した。
「ウム! 今のところ、他に闘神がいないのであればスムーズに事は進むだろう」
「ああ。封印されていた闘神は全員揃ってワクチン化されたから、今後は心配無用だが……」
「ナッセを隊長にして三組に振り分けられたからこそだな。二手に分かれるとなればキツいところだ」
「フハハハッ、確かにな!」
オレはマジンガさんとフクダリウスと肩を並べて隊長をやっている。
なんか信じられねぇけど同格なんだよな……。
「ワクチン化というのもなんなので“護神”と名前を改めた方がいいんでは?」
「おおッ!! それはいいッ!! 護神か!!!」
オレのアイデアに、グランドルフが飛びついてきたぞ。そしてネアンデル人独自の呼び名になっちゃったぞ。
「これより我は地護神グランドルフ、光護神ナッセ、闇護神シュージン、水護神ゴリアテ、風護神ラズーリ、雷護神ラッピスとしよう!!!」
「護神としてか……。それはいいね」
「感激なり!」
「悪くないね。気に入ったよ」
「俺もだ。改めてよろしく頼む」
なんかオレも入ってたりするけど、まぁあいつらなりの絆ってやつか?
つーか呼び名が闘神と護神とで変わるのか? ネーミングの法則分からねぇ……。
適当に呼び名決めてたりしてねーよな?
「とはいえ、ナッセお主が死ねば我らは死ぬ運命よ! そこはナノマギア・ワクチンになっても変わらぬ制約! 気をつけてくれ!」
「あ、ああ……」
グランドルフに言われ、気が引き締まる。
「ついでに言っておくが、ナッセは隊長だから戦う事になっても我先といかぬようにな!」
「わ、分かってるよ……」
「隊長としては、まだ甘いところがあるからな。肝に銘じよ」
マジンガに釘を刺されてしまう。
「……つかヤマミが隊長になった方がいい気もする」
「それはない。立場的にあなたが隊長なの。あなたがやられたらオシマイだから」
「うっ」
ヤマミが毅然と首を振って否定して、オレを隊長と定めているようだ。
オレが生きているからこそ護神として活きているんだ。
迂闊に突っ込んで死んだら全てがパァだ。だからこそか。
「今回ばかりはどっしり腰を据える事を覚えるべきだな」
マジンガに言われ、苦笑いするしかない。
「戦うの好きじゃないのに、矛盾してるわよねー」
「ホントにッ」
リョーコとエレナにグサグサ言われる。最もです……。
とはいえ、実際に戦うのが好きなんじゃなくて、なんとかしなきゃと戦う姿勢が多いからなのかも知れない。
そんな様子を見て、ミキオは神妙な顔をしていた。サラクは気になった。
「ミキオ?」
「マジンガさん、フクダリウスさんと比べるとナッセさんは余りにも小さいよ」
「そりゃそうだろ?」
「……でも見ていて分かる。それでもナッセさんは二人と肩を並べるだけの格がある」
サラクもミキオと並んでナッセたちを見やる。
貫禄のあるマジンガとフクダリウスに、英雄のナッセが加わっている。
これまで熾烈な戦いを見てきて、見劣りしないと感じたのだ。
「ナッセ先輩って……すごく大きいんだね」
ミキオは口元を綻ばした。
「最初、突っかかってたのにな」
「いやホント勘弁してくださいよ」
サラクにからかわれ、ミキオは萎縮する。
最初は銀髪のチビと見下げていたが、これまで見てると戦闘力、信念、そしてやり遂げようとする意志……どれにも絶対敵わない。イキがっている過去の自分を殴りたくなってくる思いだ。
「ナッセさんはやはりすごい人ですね……」
エガラは憧れを強め、これまでの出来事をメモ帳にカキカキしていく。
プラネンタ王国で地闘神グランドルフの暴威を、ナッセが偶然見た予知夢で撃退。ナノマギア・オリジンを譲渡されて、アステロム王国で宇宙帝Zを名乗るファルスタ姫からワクチンをもらって新しく進化させた。
それにより火星から来た刺客のスペースを返り討ち。
続いて、メィテオルンとゴーメット王国で三闘神を沈めて護神化させた。
「これから他の国を説得して、火星へ向かう事になる。なんだか落ち着かないです」
スケールが大きくなっていくのを実感して、エガラはドキドキしてきたのだ。
歴史が刻まれる瞬間を直に見ているんじゃないかという高揚感。
「ナッセ先輩はすごいのね……」
「フン、オレも最初は侮っていたからな。まさかマジンガ級の大物だとはな……」
ジャオウとモエキはナッセを見て、評価を改めていた。
しかしモエキとしては未練があったりする。
「ヤマミが、なぜ陽リアのナッセにと思いましたわ」
「いや、だからこそナッセに惚れたんじゃないのか? チッ」
「悔しいけどその通りね」
くうっと唸るモエキに、ジャオウはグイッと引き寄せて唇を重ねた。
ずっきゅうううううう~~ん!!!
な、な、な、なんとォ────、初めてジャオウとモエキがキスしたぞォ────ッ!!!
誰もが即座に注視して驚いていく。
「ガフォオオオオオオオッ!!!」
勝手に吐血して吹っ飛ぶカイガンは相変わらず。
モエキは初めてのキスに高揚して、同時に甘くとろけるような気分が押し寄せてきた。
唇を重ね、絡まっていくナニカで理性蒸発。
ついにジャオウとモエキも一歩進展したのだ。まずAの領域へ踏み込んだ。
「フハハッ!! これはいい!! ジャオウも一歩大人になったというワケか!!」
マジンガは満足そうに大笑いする。
いずれはB、Cまでいくのかもしれない……。
ナッツもチカと腕を組み合ってイチャイチャして、ハートの嵐を振りまいている。
「オレも愛するヒロインを手に入れたんだぞ!」
「うん。他の女に乗り換えたら殺すから」
「あ……! ひゃい……! が、が、頑張りますぞ……!」
チカはねっとり目で組んでいる腕に力を入れてきた。彼女からヤンデレオーラが滲んでいるのだ。
もはやナッツは逃れられないと察して青ざめた。
「ヤマミみたいになってて結果オーライかぞ……?」
まるでチカがヤマミに見えてきた。(錯覚)
「これから永遠によろしくね」ズズズ……!
「ひぃええ……」
ナッセはこんな恐ろしい女とくっついているのかと、改めて思い知らされた。
傍から見ていれば素直なナッセだからヤマミが従順になってるだけで、なにかしら不本意をやらかせばヤベェ!
「気分が乗ってきたわ!! こっちも存分にヤりましょう!」
「うわああああ!! 助けてくれえええええええええ……!!!!」
キスに触発されたか、情欲が沸いたブラクロに引きずられていくスミレ。
そのまま彼らは部屋へ戻って、ナニしているのやら…………。くわばらくわばら……。
こうして出発の日まで英気を養ったのであった。




