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387話「ついに雷闘神と風闘神が解き放たれた!?」

 未だ宇宙帝(ゼット)は寝相悪いまま爆睡中……。ぐがあああ……!

 その間に色々な事が起きているのに呑気なものである。


 なんとシオン党のツートップとも言うべきキレン総帥とキリシア女王が立て続けに殺されたのだ。

 その浮船(シート)が爆発炎上しているのをバックに、闇闘神(ダクネシア)シュージンは静かな目線で両手をかざしていく。


「……さて目覚めの時だよ」


 なんとビクともしなかった雷闘神(サンボルダ)風闘神(フウザレル)が封印されている棺桶のフタがフワッと開けられた。

 作業員たちは「バカな!?」「あっけなく??」「ウソだろ!?」と戸惑いまくる。


「つーか、あの浮いてるヤツ誰だ!?」

「あいつが開けたのか??」

「一体どうやって!? いや、それよりも……!!」


 開けられた二つの棺桶……。

 中からクール風味の黒髪ロン毛のツリ目少年と、巨乳ボイーンな金髪ツリ目の美女がパチッと目を覚ました。

 スッと棺桶から浮き上がるように出てきて、視線を左右に動かす。


「まさか、おまえが……封印を解いたのか?」

「殊勝ね……。封印したまま、自分のナノマギア・オリジンを注入すれば抹殺できたのに、どういう事かしら?」

雷闘神(サンボルダ)ラッピスと風闘神(フウザレル)ラズーリ……。もうこの時代は四万年後だよ。そして時代は大きく動き出す」


 四万年後、と聞いてラッピスとラズーリは見開く。

 闇闘神(ダクネシア)の背後にある小さく見える二つの王国。

 長き時を経て見た事もない風景に成り果てた……。


「久しぶりだね。早速状況を教えておくけど、厄介な地闘神(アスラリオ)水闘神(アクリアル)はやられたよ。……新たに現れた宇闘神(ユーニバゼル)は……まぁ自滅したね」

宇闘神(ユーニバゼル)だと!? 聞いた事もない……!」

「また新しいのが!?」

「火星より刺客として降りてきた宇闘神(ユーニバゼル)スペースは、我々闘神(バトキア)を全滅させる為に襲ってきたらしいけど、キラキラを纏う妖精王ナッセが起点となっているようだよ」

「「なにっ!?」」


 まさかの暴力的な地闘神(アスラリオ)と勢力拡大する水闘神(アクリアル)がやられてて、生き残っているのが我々だけだという事実に驚くしかない。

 しかも闘神(バトキア)を密かに全滅させようとしてた宇闘神(ユーニバゼル)まで返り討ち。

 それはナノマギア・ワクチンを保持している妖精王ナッセの仕業だという。


「確かに君らと僕は敵同士だけど、敢えて封印を解いたのは気まぐれかな……? どう動くかは君ら次第だよ」

「へぇ……わざわざ状況説明してくれてありがとう。そして死ぬか?」

「ふふっ、また封印されては困るもの。そうした()()さん!」


 ラッピスとラズーリは不敵に笑んで、バチバチッと稲妻が迸ると同時に旋風が吹き荒れ始めていく。


「「「うわあああああ~~っ!!!」」」


 崩れていく作業台、呆然と見ていた数名の作業員は烈風に吹き飛ばされていったぞ。

 ゴゴゴゴゴ……と地鳴りが大きくなっていって、岩の破片が無数と飛び、剥がれた草木が流されていく。

 凄まじい風が吹き荒れてて髪の毛がバサバサ揺れるも闇闘神(ダクネシア)シュージンは表情を崩さない。


「やっぱり四万年前と変わらないよね……」


 ズオッと凄まじい閃光が覆い、破壊がそこらじゅうを蹂躙していった。




 メィテオルンとゴーメット王国の地下にあるという第二の都市であるコロニーは広大で、常に夜になっているみたいな暗いところだ。

 街灯や建物の窓からこもれ出る光が地形を僅かに照らすのみだ。


「なんであんたが来んのさ」

「にゃー」


 ジト目のマシュはふてぶてしく歩き、ニーアンが鳴く。

 後をついているリョーコ。


「逃げたでしょー?」

「シャーブルは軍のやつらさ。シュージンを嗅ぎまわっているんだよ。こっち捕まったら色々されるに決まってんだろ」

「ねぇ、シュージンとどういう関係なの? カレシ?」


 ガチャリとドアを開けてマシュは入っていき「入りなよ」と手招きされて、リョーコも入っていく。

 誰も使われていない建物の中っぽい。無機質に静かだ。

 そこら散らかっている多くないゴミ……。


「ニーアンが轢かれそうになったところをパッと救い出してくれたんだよ。なんかキラキラがときめいて……、でもいなくなった」

「にゃあ~」


 その辺の腰掛けやすいところへ座って、太ももに乗ってきたニーアンを撫でる。


「一目ぼれってやつねー」

「そ……そうともいうかな……」


 照れ恥ずかしそうにジト目で視線を逸らす。

 リョーコは複雑そうな心境だ。闇闘神(ダクネシア)も亡霊でしかないのに、と。


「ここいらを見てみろよ。ここはあっちより広くて大きいけど、そこかしこにNPC(ノンプレイヤーキャラ)が暮らしているんだよ」


 窓から見ると、無機質な動きで行き交う人々が見おろせた。

 ネアンデル人をそっくりに模倣された人形が精密な動きでスーッと移動している。


「え? ここって……?」

「ゲームの開発ともいうかな? 我々のアバターが動けるように試験的に都市を作ったんだよ」

「にゃう……」

「何の為に??」


 マシュは懐から出した菓子パンをモグモグ食べ始める。


「あれ見てよ」


 立てた親指でクイッと指す。すると巨大なロボットがズンと都市に降りてきて、他の巨大ロボットとビームの剣でバチバチッと競り合っていた。

 まるでアニメの世界に入ったかのようだ。

 本物のダンガムが本格的にバトルをする事ができているように見える。


「地上のアニメを現実にしたくて、モビ〇スーツを具現化してる。ここでなら被害も何もないからね。存分にクランバトルができる空間さ」

「へ、へぇー……」


 リョーコはジト目で汗を垂らす。

 これって仮想対戦(バーチャルサバイバル)の下位互換みたいなもので、こっちが生身で侵入できている辺りツメが甘いようである。


「なんでここにいんのさー?」

「あっちは退屈だからね。ガッコ行って勉強してさー大企業へ入社して安泰した生活を送れって親がうぜぇんだよ。少し……家出みたいなものかな?」

「すーすー」


 見たところ、マシュは不自由なく暮らせているようだ。

 しかしそれでも退屈と思ってるので、家出みたいなのしているみたいだぞ。


「あー、ナッセと似てる似てる」

「あん?」

「あいつも退屈な生活がイヤで、創作士(クリエイター)になって異世界へ行くって夢を持ってるの」

「ナッセ!?」

「銀髪の少年みたいなのがねー」

「キラキラのあいつか!」


 なんか食いついているみたいだ。


「ってか異世界ってどういう事だよ??」


 リョーコは説明した。

 地上で洞窟(ダンジョン)に入って、実際に別世界へ繋がっててみんなで驚いていた事。

 そしてナッセはその念願の異世界へ行く為に、今は学院で勉学している。今は二年生なので卒業すればヤマミと一緒に行く予定だという。

 夢が叶う一歩手前なのだ。


「異世界ってどんなの??」

「……なんか空の世界で大陸が浮いているみたいな不思議なところだったよー。すぐ帰ってしまったから、詳しい事は分からないけどねー」

「なんで帰ったんだよ!? もったいないじゃん!」

「まだあたしら通学中だからね。ちゃんと卒業してから行きたいんだってー」

「意外と真面目な奴だなー。あたしだったらすっ飛んでいくのに!」


 マシュは菓子パンを平らげ、水筒をすする。


「中途半端なまま飛び出せないでしょー? きっとモヤモヤするから……」

「モヤモヤ……?」

「きちんとやるべき事をクリアしてからの方がさっぱりしてていいでしょー?」


 マシュにとってリョーコがキラキラしているように見えた。

 夢をまっすぐ目指すというキラキラが……。それはマシュの心を潤わせていく。


「あたし、地上へ行きたい!!」


 未だ見ぬ地上へ憧れた瞬間だった。

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