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386話「急展開すぎるだろ! 2トップ連続暗殺!」

 ナッセたちの浮船(シート)の船内にあるベッドの上で宇宙帝(ゼット)ことファルスタ姫は「ぐごおおお! ぐがああああ!!」と爆睡していた……。

 誰も起こさなかったのは、この方が平穏だからである。

 ムニャムニャ幸せそうな寝顔で寝返りを打つ。ぐおおおおおお……!



 第二の都市ことコロニーで渋いオジサマのシャーブルと出会い、尋問されずとも目的とか色々バレちまったぞ。

 あと、連れてきやがったマシュとニーアンはバックレやがった。

 リョーコが追いかけにいったんだろうが大丈夫かな……?


「悪いようにはせん。こちらとしても闘神(バトキア)は我らの敵には間違いない。ついてくれるかね?」


 踵を返す。

 敵意はない。むしろ歓迎しますって言わんばかりだ。なんだろう。

 オレたちは通信であっちにも知らせておいた。


《オッケー。こっちはマシュたちといるからねー》

「分かった。何かあったら知らせてくれ」

《はーい!》


 どうやらリョーコもマシュとニーアンと合流しているようだ。



 緑色の浮船(シート)がコロニーの中心で航行している。

 これはシオン党のゴーメット王国専用の戦艦っぽい。オレたちは乗せられて、座っているシャーブルと向き合っていた。

 オレは息を呑む。


「ゆっくりしてもらって構わない」

「……闇闘神(ダクネシア)がどこにいるか知っているんですか?」

「知ってたら教えていたよ。アレは得体の知れないものでね。まず説明しておこうか」


 見透かされているっぽいので「知っていたら教えていた」と答えていた。

 こちらが知らない、あっちも知らない、という共通情報ができたというワケだ。


「遠くで封印が解けたらしい。しかし闇闘神(ダクネシア)は特に暴れるでもなく、周囲に被害を出さずあちこち神出鬼没しているよ。そしてこの国に目をつけてきた。やつの目的がなんなのかは知る由もなく……」

「実はいいやつ?」

「それは判断しかねる。君のように透き通っていると思いたいがね。確かに被害は今のところゼロだ。しかしやつの目的次第ではある」

「会っていないのね……」

「そう、追跡は続けていたが避けられているようで会う事が叶わない」


 シャーブルほど見透かす洞察力があれば、会うだけで目的を察する事ができていた。

 あちらもなにか察していてか、避けているっぽい。

 うわぁ……これだからニュータ〇プ同士は……。


「そう、厄介な事にね……」

「う……思考読んで答えんなよ。それで、これからどうするんですか?」

「君のような透き通ったやつばかりだと扱いは楽なんだが、我らの国はそうもいかんのでね。腹黒いやつがそこかしこにいる。とはいえ、君の『鈴』では一時的なもの……それでもきっかけにはなるのかな」

「オレの『快晴の鈴』まで……」

「恐ろしいわね」


 ヤマミが目を細め警戒を示し、シャーブルは首を振る。


「ワクチンを保持しているあなた方を悪事に利用するつもりはない。ただ、存在感が大きい。キレン総帥やキリシア女王さまがそれを知れば、間違いなく政治利用するだろう。故にしばらく君らをここに匿う。いざという時の闘神(バトキア)への保険も兼ねてね」


 シャーブルは横目で窓のコロニー夜景を眺める。

 そういう事か……。

 キレン総帥とキリシア女王がアニメ通りなら、確かに悪巧みしそうだよな。


「政治利用……。もしかしたらヤツらは闘神(バトキア)を?」

「そうです。よく分かりましたね。目をつけているのが風闘神(フウザレル)雷闘神(サンボルダ)です。ヤツらは封印を解こうと色々試しているのですが……」

「上手くいっていないみたいね」

「そう」


 シャーブルが慌てず、いつまでも冷静なのは封印を溶ける兆しが見つからない事か。

 いや、オレもどんな風に封印されているのか知らんからなぁ……。




 メィテオルンとゴーメット合併王国より数十キロ先で、発掘工事が行われていた。

 足場を作り、数十人もの作業員が仕事に取り掛かっていた。


「こいつが風闘神(フウザレル)の……」

「ああ。四万年前に封印されてたらしいぜ」

「封印を解いたらダメなんじゃないのか?」

「さぁ? キレン総帥とキリシア女王さまはその力を我が物にしたいらしいな?」

「おい、そこサボるな!」

「「はーい!!」」


 大きな棺桶が開かれており、マトリョーシカのように段々小さなサイズの棺桶が開かれている。

 そして最後に成人男性くらい入りそうなサイズの棺桶がガッシリとフタ閉まっている。


「ここらが固くて開けられない」

「持っていこうにも、引き剥がせないからな」

「封印するほどの事だからな……」


 バチバチッと融解させるアーティファクトでも棺桶に傷一つつかない。


「ダメですね……」

「なんとか開けろ。開けなければキレン総帥やキリシア女王さまに首をはねられるぞ」

「あっちの雷闘神(サンボルダ)も同じ状況ですね」

「全くだよ……頭が痛いわ」


 ここから数百メートル先に同じような作業場が設置されていて、同じように固く閉められた棺桶がウンともスンともしていない。


雷闘神(サンボルダ)風闘神(フウザレル)、同時でないと開けられない、とも違いますしね」

「ああ。何度も試したがダメだった。他に方法があるのか……?」

「こっちが知りたいくらいだ!!」


 するとカツカツと足踏みを鳴らしてキレン総帥がやってきて、作業員は緊張して直立する。

 オールバックで眉ナシ。偉そうで鋭い目を見せていた。


「まだ開けられないのか?」

「は……はい……。皆目付かないです……」

「もう何年経っていると思ってるんだ? 三年だぞ三年! ……まぁいい」


 キレン総帥はチラッと雷闘神(サンボルダ)の方を見やる。

 本当はキリシア女王と分けて、それぞれの力を得ようとしていたのだ。

 しかし欲が掻き立てられる……。

 二つの闘神(バトキア)の力を得れば敵はいなくなるのでは……と。




 キレン総帥は専用の浮船(シート)へ戻り、悠々とイスに座る。

 キツそうな目つきのキリシア女王がやってきたぞ。口を覆うマスクしてる。


「まだ封印が解けぬようだ」

「そうか」


 キリシア女王は不穏にキレン総帥の後ろを見つめている。


「気長に行くしかあるまい。闘神(バトキア)は永遠の力を持つのだ。得られれば何とでもなる」

「それを独占したい為に父を暗殺したのか?」

「なに?」


 唐突に真っ直ぐの光線が走り、キレン総帥の後頭部から貫通した。あ……!

 ドサッと驚いた顔のまま固まったキレン総帥が横たわる。

 アーティファクトのビームガンを手にキリシアは目を細めた。


闘神(バトキア)をあわよくば独り占めしようとしていた事もな。だから、ここまで視察しに来るタイミングを待っていたのだ」

《それはお疲れ様です》

「なに!?」


 浮船(シート)の窓から見える妙な男が不敵な笑みを見せて、左手を額に当てて敬礼してくる。


「だ、闇闘神(ダクネシア)……ッ!?」

《あなた方の野望の為に闘神(バトキア)の力を渡すワケにはいかない。ぜひあの世にいる君の父と兄によろしく》


 キリシアは血眼で見開くが、間を置かずダーク螺旋光線がぶっぱなされて呑まれていく。

 やがて浮船(シート)はボガンボガンボガアアアンと爆炎に包まれていった。それを尻目に闇闘神(ダクネシア)は静かな目線で風闘神(フウザレル)雷闘神(サンボルダ)の棺桶を見やる。


「……さて目覚めの時だよ」


 なんとビクともしなかった棺桶のフタがフワッと開けられた。

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