380話「オレのナノマギア・オリジンはワクチンに!?」
スペースオブザーバーが唐突に宇闘神を名乗り出して、オレを襲ってナノマギア・オリジンを奪い尽くそうとしていた。
しかしワクチンまで一緒に吸収してて、その途中で苦しみ始めた。
そしてオレのナノマギア・オリジンは新たにナノマギア・ワクチンとして生まれ変わったぞ。
《ぎはああああ~ッ!!!》
勝手に襲ってきて、勝手に奪ってきて、勝手に自滅したスペースさん……。
哀れシバキ乙されて死んだぞ。
戻ってきたモブヒーローも唖然としてて「え……? 死んだ??」と目の前の光景が信じられない様子。
血の池に沈んでいるイケメンだったスペースさんが上目遣いで微動だにしない。
相当苦しんで無念の死を遂げたのが窺えるぞ。
「ナノマギア・オリジンにとっては毒なんだが、ワクチンを取り込んだせいか変質してたのか……?」
「フハハハハッ!! この我も驚いたわ!! さっきので、もはやナノマギア・オリジンの性質は失われ、永遠と不死身と超再生と下僕化が消失してしまった!」
「ってかさー、そしたらアンタも消えちゃうじゃんー!?」
リョーコの言う通りだ。もし言っている通りなら、グランドルフも消えてもいいはずだ。
オレは思わず「大丈夫なのか??」と心配してしまった。
「ところがな、なぜか我がワクチンになってしまった! 超再生とダイヤモンド化は相変わらず健在で、ナッセから共通化された光属性の特性もそのまま!」
ピキピキとダイヤモンドで覆っていくグランドルフ。しかもピカーと灯る。
「そんなんありかい?」
「残念ながら、ナッセが死ねば我も死ぬのは変わらん!」
「ってか、ワクチンそのものになったって事はワタシ要らないじゃないですかぁ──!?」
お役ゴメンになったみたいな空気になって、宇宙帝Zことファルスタ姫は絶句したようだ。
「……おまえのおかげで助かったようなもんだから、命の恩人だよ」
「そうね。もしアステロム王国で襲ってくれなきゃ死んでたわ」
「むう……」
ヤマミはホッとしてて、オレも少し安堵したぞ。
なんだかファルスタ姫は納得がいかない顔してっけどな。
あの時、ファルスタ姫がワクチンを入れてくれたおかげでナノマギア・オリジンは生まれ変われたのだからラッキーだぞ。
これで心配なくデメリットなしで戦える。
「ううむ、そのような効果がワクチンにあるのか……?」
「すごい万能ッ!?」
フクダリウスとエレナに、ファルスタ姫は慌てて手をパタパタ降って否定する。
「そんなん初めてですっ!! ナノマギア・オリジンがワクチンに生まれ変わるなんて今まで一度もなかったですっ!! 大体実験した時だって、こんな現象なかったですーっ!!」
研究所で、その辺のゾンビを捕まえてナノマギア・オリジンを取り出してワクチンと混ぜた事があった。
もしも解析されて効かなくなるかも、と思っての事だった。
しかしワクチンを取り込んだナノマギア・オリジンは自壊して機能不全になった。
例え解析したとしても、ワクチンによって自壊するのは免れないと成功した事を見届けてきた。
「フン! ナッセは光属性のリア充だからな! そして光闘神だからこそ、ワクチンに生まれ変わる事ができたんだろう?」
「リア充って……」
「闇の眷族ヤマミとイチャイチャしやがって。チッ!」
ジャオウが妬ましそうにオレへ舌打ちしてきた。
本当はヤマミが好きだけど、取り入る隙がなくて羨ましいけど諦めるしかないってこった。
「ワクチン取り込むと、あんな風になるのに信じられねーですっ!!」
ファルスタ姫がスペースの死骸を指差して、キーキー喚いている。
哀れな死に様の死骸がブスブスと煮崩れしていく。
死んだ後もワクチンが細胞ごと融解しているのだろうか、いずれ液状化してしまうのだろう。
その後、怪我していたバーニングガイ、ダークシャドー、チェーンヘルザ、キャプテンジェネラルが運ばれてきて医療班が回復魔法をかけていた。
トルネードヴィーナスがやってきて「久しぶりね。ニンジャとガール」と手を振ってきた。
話を聞くに、最初はネアンデル人の助けを受けて水闘神と交戦した。
「裏切り者がやってくるとは思わなかったわ……。世界大戦でも参戦してないから怪しいとは思ってたけれども……」
トルネードヴィーナスは忌々しいと顔を顰めていた。
話は続いていて、交戦してて拮抗して長引く事も覚悟していたと語ってきた。
ところがスペースオブザーバーが自ら「宇闘神」を名乗ってきて、水闘神をナッセにしたように強襲してナノマギア・オリジンを奪って殺した。
「ヤツは取り込んだナノマギア・オリジンの特性を合算していく能力を持ってたのよ! 水闘神の持つ『液体化』もね! そしてあなたの能力も奪おうと欲をかいた」
「だからオレを掴んできたのか……」
「それが裏目に出たってわけね」
オレが襲われる前に、裏切ったスペースに戸惑ったヒーローたちが交戦する事になった。
しかし圧倒的な戦闘力を前になすすべなく倒されてしまった。
「だから静かだったのか……」
来た時はやけに静かだなーと思ってた。
そして霧が立ち込めている最中のチカッチカッとしてた火花はスペースとの戦いだった。
タイミングが良かったのか、ナノマギア・オリジンを持つオレが来たと察知して、スペースはヒーローたちへトドメを刺さずに待ち構えていたワケだ。
「宇宙帝Zのおかげだなー。まさかこんな事になるなんてな。たはは」
「なんだか煮え切らないですっ!」
オレは笑っていたが、ファルスタ姫としては納得がいかなかったようである。
とはいえワクチンが強力なのは分かったぞ。
「もう戦いは終わったようだし、事後処理か……。ワシらも手伝うぞ」
フクダリウスの助け舟に、トルネードヴィーナスは「ええ、本当に助かります」と感謝してくれた。
その後、みんなで死傷者を運んだり治療したりして忙しくなったぞ。
スペースが意外なほど暴れだしてたようで、被害はかなり大きかったみたいだ。
「全滅する前にこうなってよかったな」
「そうね。私も慌てたわ……」
オレとヤマミは並んでいるケガ人に回復魔法をかけていた。
マジンガとフクダリウスなど力仕事メインが何百人もの死傷者を運び、治った者から地上へ帰していった。
トルネードヴィーナスは報告しに地上へ舞い戻っていった。
二日後、なんとか戦後処理を終える事ができた。
バーニングガイ、キャプテンジェネラルがオレの前にいて頭を下げてきたぞ。
「感謝する……。助けに来てくれなかったら皆殺しされていたろう」
「うむ。あのスペースが厄介にも強かったのだ。マトモに戦えば勝ち目はなかったろう」
「ってか何も知らずにオレを襲って自滅したしなー。たはは」
「それでもありがたいってもんだよ。ニンジャ・ナッセ」
たまたま出てきただけでスペースを撃退したのだから、御の字だ。
結果だけで見ればマヌケだがな。
「それから頼みがあるわ」
「おお! マジカルガール! 頼みがあるんなら聞くぞ!」
ヤマミは火星の情勢を語った。
なので火闘神と五領主がヤベーので、そっちの四首領ヘインも助太刀に来てという頼みをしてみた。
できれば他の四首領にも協力を要請したいとも……。
「ううむ。ヘインは聞いてくれるか分からんが、ガールの頼みだ。精一杯やろう」
「ああ。それからヤミザキ、テレサ、ダウートにも連絡しよう」
「ぜひお願いします!!」
「よろしくお願いします!」
オレとヤマミは頭を下げた。




