378話「特攻とワクチンで四倍だ!! 亡霊バスター!」
「なんだとっ!? それは誠かっ!?」
みんなにも、そしてアステロム王国のベジダブル王にも火星の事情を話した。
火星は独裁体制を敷かれていて、トップの火闘神を始めとして五領主がそれぞれの地域を支配しているという。
しかも四首領クラスでトップがそれ以上だというのだ。
「それから、火星から脱走してきた自称宇宙帝Zがワクチンを持って襲ってきました」
「その者は!?」
「確保しています。暴れださないように呪縛してます」
謎の宇宙帝Zは火星から脱走してきたらしいが、突っ走りそうな性格だから動きは留めておくに限る。
まだまだ聞きたい事あるからな。
「それからワクチンを喰らったので、更新しておきます」
「なんと?」
「オレのナノマギア・オリジンがワクチンを分析して効力を取り込めました。これで全部ワクチン効力を持っている事になり、更に敵のナノマギア・オリジンへ有効打になりえます」
「おおお!? そんな事が可能なのか!?」
「……もちろんナノマギア・オリジンにも毒なので、いつかはオレの中からも全部なくなっていきます」
「対消滅のような感じかの……」
ううむ、と唸るベジダブル王。
オレは頷く。
「オレは逆に安心しました。だってナノマギア・オリジンがワクチンを解析して対策できたらヤベーので……」
「確かにな……それほどまでに……」
「ええ。その点は驚いたわ。ワクチンも対策できないようになっているので、いかに万能なナノマギア・オリジンといえども防ぎきれませんでしょうし」
「ああ、今はオレのナノマギア・オリジンにムリ言ってワクチン取り込ませてるからな」
オレとヤマミはそう言い切った。
「お主ら……本当にナノマギア・オリジンに未練ないのだな」
「ないです」「ないわ」
きっぱり言いのけてみせる。
自分のナノマギア・オリジンが全部消える前に闘神を全員倒せればいいからな。
よって永遠の命とか不死身とか全く興味ない。だって亡霊になるだけだし。
「……明日『水闘神』を倒しに行きます!!」
そう決意して、ベジダブル王や他の王国兵を驚かせた。
翌日、オレたちは起きた。
「予知夢は……?」
「相変わらずねぇぞ」
「そう」
本当、なんだったんだ? あの予知夢。
朝の準備を済ませ、オレたちは仲間と集合して意気投合したのだった。
そしてアステロム王国が用意してくれた浮船へ乗り込んだ。さっきの豪華客船とは違い、大きな漁船みたいな感じでサクッといけそう。
「よし、参加したい人は乗り込んでくれ!」
マジンガたちやフクダリウスたちは「うむ!」と続々乗り込んでいった。
すると向こうからドドドドドドドドッと土煙が立ってくるのが見える。なんと宇宙帝Zがムキーッて感じに走ってきてるのが見えたぞ。
うわぁ……メンドいやつ来た……。
「置いていくの許せねーですっ!! 水闘神退治に、なんでワタシをおいていくのか理解できねーですっ!!」
「え? 来るの?」
「ワタシをなんだと思ってるのですかーっ!!」
「足手まといになられるのは困るし、ここでゆっくりしていたら?」
「黒髪!! アンタはぜってー許せねーです!!」
ヤマミの方へキッと睨みつける宇宙帝Z。
オレは気を引き締めた。
「トラブルを起こすのはダメだ。置いていく」
「な、な、な、なんですってえええええっ!!?」
「今のオレは隊長だ。イザコザ起こしたまま生き死に関わる戦争に参加できねぇ。チームワークがないと勝てるもんも勝てねーからな」
「ううっ!?」
毅然と言い張られて、宇宙帝Zはしどろもどろしていく。
マジンガはそんなナッセに笑みを綻ばしていく。
「相手は独裁するようなナノマギア・オリジンを持つ水闘神だからな。地闘神のように積極的に大虐殺を起こすようなヤツじゃないが、準備が整えば侵略行為を始めかねない」
「ほ、本当にアナタは闘神じゃねぇですね……」
「当たり前だ。ナノマギア・オリジンは確かに都合よく下僕を思い通りにできるシステムだが、オレは金輪際使わねぇ」
オレとしても自分らしからぬセリフで驚いているよ。
隊長にされて流されかけてたけど、地闘神との戦いで成長したのかもしれない。
宇宙帝Zは神妙な顔で黙りこくってるけどさ……。
「分かりました!! アナタがその覚悟なら、この宇宙帝Zが見届けてやるです!!」
「イザコザは起こさないよな……?」
「また呪縛するわよ」
「ヒッ! それは勘弁してくれです!!」
ヤマミが苦手なようでビクッと怯えてるぞ。
ちなみに尋問した後、王様に報告後に開放している。その後ぐっすり寝てて遅刻しそうになってたのだが……。
それから宇宙帝Zの威力値はそう高くないから、大人しくして欲しかった。
「仕方ない。ワクチンは強力なようだからな。いざって時の切り札になるかも知んねぇ。それに火星の情勢も聞いてみたいしな」
「フハハハハッ!! お主がかのワクチンかぁ!!」
「え? アナタは!?」
オレの肩に乗っていたミニ地闘神が降りてきてドロンと大男に戻ったぞ。
大柄な男で筋肉隆々だから、宇宙帝Zは仰け反ってビビる。
「な、な、なんですかぁ────!!?」
「我は地闘神グランドルフ!! そして我が主は隊長ナッセである!!」
「グ、グランドルフがなんで味方になってるのですかあああッ!!?」
「我は完敗したからな!」
胸を張ってグランドルフは豪胆に笑って言い切ってしまう。
宇宙帝Zは汗を垂らすしかない。
「……コイツは最初敵だったんだけど、実は亡霊になってんだよな」
「亡霊っ!!?」
「昨日も言ったがナノマギア・オリジンによる亡霊だ。四万年前に一度死んだ時から、グランドルフを複製した亡霊のようなもので、データだけの存在だぞ」
「えええええええええっ!!?」
宇宙帝Zはオーバーリアクションして叫びだす。
「オレがナノマギア・オリジンを受け継いだ時から判明した。コイツはとっくに亡霊なので、オレの言う事をなんでも聞く奴隷みたいになっとる」
「そ、そんなん初耳ですっ!! そんなん聞いてねーのですっ!!!」
「私たちだって最近知ったばっかりなんだから……」
戸惑いまくる宇宙帝Zにヤマミは目を細める。
とりあえず『実はトップでも一度死んだらデータで複製された亡霊になる』と念を押すように言っといた。
それがあいつら不死身の秘密とも言える。
「だからこそ、オレたちはナノマギア・オリジンを根絶したいんだ」
「そうと聞いたらイザコザ起こしてる場合じゃねーです!! 協力して火星もやってやるですっ!!!」
「決まったわね……」
「うむ! その意気や善し!!」
……というワケで、新たに宇宙帝Zを味方に加えて出発したぞ。
「ワタシたち、ゴーストバスターズなのですうううっ!!!」




