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377話「宇宙帝Zの語られた真実!? 火星ヤバい!」

 宇宙帝(ゼット)が光の剣を振りかざしてナッセへ襲いかかってきたぞ。


地闘神(アスラリオ)ッ!! 追っかけてきて、ようやく見つけましたわよっ!! 覚悟するで(おっつ)!!」


 オレは咄嗟に太陽の剣(サンライトセイバー)でタキオン(ゼット)ソードと交差して受け止めた。

 いきりたつ彼女は銀髪の騎士姫といった感じの風貌だ。


「ゼエエエエエエエエトッ!!!」


 変な気合いを発しながら、絶え間なく剣戟を繰り出して追い詰めようとしてくる。

 嵐のような凄まじい剣戟をオレは慌てて捌く。


 ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!


「待て待てっ!! 話を聞かんかいっ!!」

「悪しき闘神(バトキア)の戯言など聞くに値しませんっ!! 覚悟して(おっつ)るが良いですわっ!!」


 いきり立っている彼女は話を聞かなさそう。

 なんとか必死に太陽の剣(サンライトセイバー)で捌いていると、うっかり腕にひと掠りして血が飛ぶ。

 すると腕が変な感覚に襲われる。ドクン!


「なっ!? なんだ!?」

「アハハハハハ!! これぞ古代文明利器ナノマギア・オリジンを(おっつ)する『マギアワクチン』で、アナタもシバキ(おっつ)ですっ!!」

「わ、ワクチン!!?」

「そうなのですよ!! 斬りつければ斬りつけるほどワクチンの量が増して闘神(バトキア)をシバキ(おっつ)できますっ!! 死ねーです!!」


 喜々と剣を振り下ろそうとしてくる宇宙帝(ゼット)にオレはプチンと切れた。


「だから話を聞かんかいーっ!! ライズーッ!!」


 ズガゴーンッ!!!


 地面からすくい上げるような急上昇斬撃で宇宙帝(ゼット)のアゴを突き上げた。

 この一撃で彼女は宙を舞って意識を失ったぞ。




 王宮のベッドで寝かされた宇宙帝(ゼット)はムニャムニャ目を覚まして、ハッと身を起こした。


「起きたかよ」


 呆れながら椅子に座っているオレと、隣に立っているヤマミが彼女の目覚めを確認した。

 宇宙帝(ゼット)は咄嗟に飛び退こうとするも、ビクッと体が麻痺してて動けない。ぐぎぎ!

 なぜか下半身がビクともしない。


「動かないように呪縛してもらったからね」


 ヤマミは指差す。なんと宇宙帝(ゼット)の影に黒いトゲが刺さっている。

 動かせるのは上半身のみで、両腕と下半身は全く動かない。宇宙帝(ゼット)はこちらを睨む。


「くっ! このまま拷問して楽しむつもりですねっ!!」

「するかボケ!」


 オレはジト目で呆れる。


「アナタは何が狙いなんですかっ!? このワタシを辱めようとするんですかっ!? こんな豊満な体は誰にも汚されないよう潔癖な身を保っているんですからねっ!」

「つーか誰だよ。宇宙帝なんとか言ってたが?」

地闘神(アスラリオ)を追いかけてきたとも言ってたわね。まさか他の闘神(バトキア)なの?」


 宇宙帝(ゼット)はギリッと歯軋りしていく。


「なーに寝ぼけてんのですか!? ワタシが闘神(バトキア)なワケありますかっ!? 宇宙帝(ゼット)を名乗る救世主なのですっ!!」

「自称かよ!」

「恥ずかしいわね……」

「あーもーなんなんですかあああっ!! 遥々火星から脱出できたというのに、このワタシが地闘神(アスラリオ)ごときに捕まってしまうなんてありえないですっ!!」


 ギャーギャーうるさいけど、彼女はどうやらそそっかしい性格のようだ。


「まず前提を言う」

「前提もなにもありませんっ!! 直ちにワタシを開放なさいっ!!」

「埋めるぞ……このまま」


 ギャーギャーうるさいんで、据わった目でドスを利かせて脅すとビクッと静かになってくれた。

 なんか涙目でプルプル震えている。

 オレはハァとため息をつく。


「前提として地闘神(アスラリオ)グランドルフはオレたちで倒した。そしてナノマギア・オリジンを受け継いだ」

「な、ななななななな!!? なんですってとぅばー!!?」

「落ち着きなさい」


 あからさまに動揺し慌てふためく宇宙帝(ゼット)。ヤマミは引き気味だ。


「このナノマギア・オリジンは致命的な欠陥を抱えたテクノロジーだ。故に全ての闘神(バトキア)を倒した後に廃棄するつもりだ。それが最大の目的だぞ」

「はあああああああああっっ!!?」


 やかましく叫びだす宇宙帝(ゼット)。よほどショックなのか口を大きく開けている。アゴ外れそう。


「その様子だと何も知らないようね。プラネンタ王国を襲撃してきた地闘神(アスラリオ)グランドルフと私たちは戦った。そして勝ったわ」

「ああ。どうしようもないほどヤバかったがな」

「じゃあ大虐殺の痕跡がバッタリ途絶えてたのはその為だったのですかっ!?」


 ワナワナ震えだしている。


「で、オレを追っかけてきたんだろ?」

「そ、そ、そうなのですっ!! ナノマギア・オリジンの反応がこの国に移動してたのでプレートスライドして追っかけてきたのですっ!!」

「単独でプレートスライドできるわけ?」

「そうなのですよっ!! 最先端アーティファクトのこの鎧は宇宙航行ができる他、プレートスライドを起こして時空間移動も可能で、更に対ナノマギア・オリジンのマギアワクチン搭載なのですっ!!」


 なんかゴテゴテした白い騎士鎧がそうか。


「オレはナッセだ。地上のクロマ人で、プラネンタ王国のミズミール女王に頼まれて救援に来てた。さっき言ったようだが地闘神(アスラリオ)グランドルフを倒したばかりだ」

「私はヤマミよ。言っとくけど闘士(バトラー)とかじゃないからね」

「ク、ク、ク、クロマ人風情が地闘神(アスラリオ)を倒したって言うんですかああああ!?」


 ネアンデル人はこうもクロマ人見下してんのかな?

 確かに高度な文明を築いているのは分かるが、見下されんのは気分悪いな。


「ともかく、オレの中のナノマギア・オリジンで実態を知った」

「はぁ!? 今度は新たに闘神(バトキア)となって暴れまわる気でしょうがっ!?」

「ナノマギア・オリジンはトップが独裁する為の都合の良いシステムで、自分の思いのままに動く下僕で社会を作ろうとする唾棄すべき欠陥テクノロジーだ。しかもトップでさえも一度死ねばシステムで蘇って亡霊のように活動する」

「そ……そんなの……聞いた事ないのです……!!」

「そりゃ独裁する闘神(バトキア)が、わざわざ親切に説明してくるわけねーしな」


 知らなかった情報を知ってワナワナ震えている宇宙帝(ゼット)


「火星から来たんだろ?」

「あ、ええ。うん」

「その火星にいる火闘神(カヴァリン)はそっちのワクチンで倒したのか?」

「あ、そうでした!! まったく敵わないので、なんとか地球のネアンデル人に応援を頼もうとしたのですっ!! その為に必死に脱出したのですっ!!」

「……そうか。まだ火闘神(カヴァリン)は健在か」

火闘神(カヴァリン)の他に五領主(ゴロード)もいて、火星は完璧な独裁体制になっててどうしようもないのですっ!!」


 まさかの情報にオレたちは言葉を失った。


「ご、五領主(ゴロード)……!?」

「そうなのですっ!! 火星の各地を支配する独裁者! 威力値が一〇〇万オーバーのヤベーやつですっ!! しかも火闘神(カヴァリン)は威力値三五〇万ほどで、それ以上の存在なのですっ!!」


 戦々恐々と語る宇宙帝(ゼット)に、オレたちは戦慄した。

 四首領(ヨンドン)クラスのが五人いる上に、それを遥かに凌ぐトップがいるなんて……。


「そんな完璧布陣による独裁体制による閉鎖社会が続いてて、どうしようもなかったわけね」

「道理で火星の情報がなかったわけだ……」


 テレビで火星と交渉したけどムダ云々言ってたのも頷ける。

 しかも火闘神(カヴァリン)は既に亡霊かもしれねぇ。亡霊のままずっと独裁体制を維持してるのかもしれねぇ……。


「みんなに知らせていこう!!」

「ええ! 一大事よ!」


 切羽詰ってオレとヤマミはすっ飛んでいった。

 しばし一人取り残された宇宙帝(ゼット)はベッドの上でプルプル震えた。


「この呪縛解いてから行きやがれですーっ!! うわあああん!!」

 一応、報告後に呪縛を解いてあげました……。

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