375話「ナノマギア・オリジンは亡霊システム!?」
オレとヤマミは朝起きて「おはよう」と和やかに言い合う。
「……夢見た?」
「いや、全然。一昨日の予知夢はなんだったんだってくらい」
「危機を感じた時に出てくるんじゃない?」
「それだったら人造人間大侵攻やダウートの地球征服の時にも予知夢出ていいだろ」
「うーん。全滅確定の未来だと予知夢出るとかじゃない?」
「かもな」
午前八時頃にジャキガン生徒たちやリョーコたちと一緒に朝飯バイキングをしていた。
好きなものを取り寄せて美味しくいただきま……。
オレはふと、ミニ地闘神がジッとしているのに気づいた。
「さっきからそうだったけど食べないのか? 不死身だから必要ないとか?」
「うむ! 四万年前はバリバリ食べてたがなぁ! いつしか腹が減らなくなって食べなくていいようになってたわ!!」
「……生きている時は食ってたけど、一度死んで複製復活されてから食べてねぇって事か?」
「言われてみれば確かにそうだな!! ハハッ!」
あー、そういう事か。
こいつゾンビになったんで食事を取る必要なくなったんだろう。
オレも不死身オンしたまま死んだりすると、同じようになるのかもしれない。何があってもオフのままで貫き通そう。
「そういや寝てない??」
「うむ、必要ないからな! ハーッハハハ!!」
ああ見てると、絶対ゾンビになりたくねぇな。
「ふむ、闘神とは、四万年前から存在し続ける“亡霊”か!」
「亡霊……」
マジンガがそう言い出してきたぞ。
確かに的を得ているな。もうとっくに死んでるんだもんな。
本人そのものではなく、ナノマギア・オリジンのシステムでそっくり再現している亡霊でしかない。
「おおお!! この我が亡霊とな!? 実感わかぬが、そういうもんかあ!!」
グランドルフは気にする事なく受け入れているみたいだぞ。
これから戦う事になる水闘神も亡霊なんだろうなぁ……。
「フン! ナノマギア・オリジンなんてのは虚構に過ぎん」
「そんなん怖ぇぇよ!! ってか、それ注入しろとかおまえ言ってただろ!? やべーわ!!」
「あれはナシだ!」
ジャオウとカイガンの掛け合い見てると、結構仲良し?
とはいえ、知らずに注入したらジャオウはひっそり殺されて傀儡になってたところだから、笑えない。
自分の中のナノマギア・オリジンが説明してくれたから事なきを得たけどさ。
「武器だけに留めておいたし、持ち主に寄生しないように設定してるからゾンビになる事ねーと思う」
「確かに手に取るのもおっかないけど、これなきゃ闘神や闘士にダメージ与えられないもんねー」
「うむ」
リョーコは困惑しがちで、フクダリウスも重々しく頷く。
ナノマギア・オリジンにはナノマギア・オリジンでしか対抗できない。
マイシやヤマミのように人外の力で剥がすとかできない限りはな。
「あたしはメタル化で戦ってたからムリなのッ!? 他に方法がなくてお手上げッ!」
「残念ながら、後方支援しかなかろう」
「えーそんなーッ!!」
エレナは困ったーとリアクションしてて、それにフクダリウスが首を振った。
スミレみたいに格闘グローブやブーツを装着しない限りはムリだろう。
なので、エレナにはザコ掃除にいってもらうしかない。
戦闘訓練室で元の大きさに戻ったグランドルフを相手にヤマミが戦ってみた。
黒い小人が床や壁を走って、グランドルフへ被弾して黒炎が燃え上がる。
「ぐああああああああああッ!!」
超再生が利かず、無敵化も機能しない。そのまま黒炎に呑まれようとする。
黒炎そのものがナノマギア・オリジンを剥がし続ける仕様になってるので、ダメージを与えられるようになってるんだ。
そのせいか、焼き尽くすまで時間はかかってるっぽい。
「もういいわよ」
「ほい」
オレが掌を差し出すと、黒炎が爆ぜ散ってグランドルフがシャキーン復活。
リョーコやフクダリウスの武器はもちろん、ヤマミの剥がす攻撃、マイシのドラゴン毒攻撃は有効打になると確証を得た。
「もう訓練は終わりかあ?」
「グランドルフ! お手!!」
オレが下手に手を差し出すと、グランドルフは「おう!」と右手で重ねた。
「おすわり!!」
なんと大柄なグランドルフが犬のようにサッと四つん這いで尻を下ろした。
普通なら犬扱いするのかと憤慨するんだろうが、グランドルフは喜々として「次は何だ!?」と命令を待っているようだ。
「腹踊りしろ!」
「おう! あらえっさー! あらえっさっさー!!」
なんとも間抜けな腹踊りをグランドルフが繰り返している。
フクダリウスは驚いた顔で「ううむ……。見事に傀儡だな……」とこぼす。
「キャイーン! のポーズいけ!」
「キャイイイイーン!!」
芸能人のアクションまで再現してくれる。大柄で屈強な男が可愛らしくキャイーンはキモすぎる……。
これは共通化されているので、オレの現代知識もグランドルフは得ている。
つまりオレの思うがままに動く万能傀儡なのだ。
「んーと、エキドナの絵を描いてみてくれ!」
「おおよ! 今度は絵描きかぁ!! 初めてやる事だが!!」
なんと当たり前のように紙とペンを取ると、描き描きして美少女イラストが完成された。
それはオレの絵柄を見事に再現している。
知識だけではなく経験も共有しているので、オレの絵柄を模倣なんてレベルじゃない。
「ハハハッ!! 綺麗だなぁ!! 綺麗だなぁああ!! 幼い感じがドキドキしよるわ! ぺったんこな胸に縦筋の谷間がイケるぞおお!!」
「やめろォ!!」
ついでにオレの性癖も入り込んでるかも知れない……。
他はともかく、ヤマミのジト目が痛い。
ナッツがそのイラスト見て、張り切ってフンフン鼻息を漏らしてくるぞ。
「ナッセに近づく為には、ロリコンが一番かぞ!? LOとか買って頑張らねばぞ……」
「やめろォ!!!」
慌てて手を差し出して制止した。
これで分かった。
最先端のテクノロジーではなく、独裁者にとって都合の良いシステムだ。
トップ以外は都合よく動いてくれる生きたゾンビ。
共通化してみんな幸せになるなんて虚構だ。全てはトップだけが実権を握り、都合よく自分だけの世界を作れる擬態システムなのだ。
更に言えばトップですら亡霊と化してしまう致命的な欠陥を抱えたテクノロジーだ。
「……ナノマギア・オリジン、こいつは存在してはならない。この世から無くしちまおう」
みんなは一斉に頷いた。
レジャープールでヤマミのチューブトップ水着を堪能しながら、一緒に楽しんでいったぞ。
リョーコの大きな胸のビキニやエレナの競泳水着も刺激強いがな。
モエキがビキニで「ギギギギ!」と嫉妬歯軋りしてくるの勘弁なー。
こうして二日目もエンジョイしたぞ。
翌日の朝、ついにハワイの位置にあるであろう地底境域界に出て、飛空艇はゆっくりとアステロム王国へ降下していく。
港へ着陸し、オレたちはついにそこへ踏み入れた。
「これが……アステロム王国の!?」
あちこち湖だらけの大地。その一つの湖の中心にある円形の王国。
岩を連ねた感じの建造物で中がくり抜かれた感じが多い。なかなか雰囲気がいい。
王宮は岩山が連ねられた感じで、無数の窓などが等間隔で並んでいる。
「国を囲む城壁に並ぶ七つの巨大なアレを除けば、異世界感があるなぞ」
「そ……そうね……」
どこから見てもちゃんと中の星が見える半透明の橙色オーブ……。
まんますぎィ!




