374話「ふう……! ゆっくりのんびり飛空艇旅!」
飛空艇は十階層からなる大規模な船。
定期的に他の国へ航行しているようだ。これはその中でも格式が上のもの。
普通の浮船は格安っぽい。
「俺は女王さまを護衛する者ゆえ、同行はできぬがな……。代わりの者が来るから頼ってくれ」
ギョヌはプラネンタ王国へ残り、港ごと遠のいていく様子を見送るしかなかったぞ。
またなー、と手を振るしかない。
船内のエントランスホールで、サイ〇人鎧を着たラ〇ィッツまんまが「よう!」と手を挙げてきたぞ。
「ギョヌ殿から事情は聞いているぞ。まさか地闘神の虐殺を食い止めたとか」
「えっと……??」
「おう、アステロム王国の戦将ハツカダイってんだ。ヨロシクな」
ギョヌが魚〇宇水っぽい風貌してたけど、これあからさますぎるぞ。
黒髪ボサボサロングで強気そうな顔。なんか変な片眼鏡ある。鎧が完全に形状がソックリ過ぎる。
「うわー! これ完全にアレじゃないのー!?」
「サイ○人まんまッ!」
リョーコとエレナはワイワイする。そりゃそうだろ。
「ん? やっぱり知ってるか? 地上の漫画でこういうのがあったからナノマギアで生成してたんだ。あれカッコイイよな」
ここにも地上の漫画が流れ込んでんのか……。
ギョヌもそうだったように、地上へ行ったり来たりしてるやついるんだろうな。
船内を案内してもらったが、地底文明も侮れない。豪勢な食堂とかシアターとか浴場とか施設が充実しているとは思わなかった。
オレたちが止まる客室も最上のものらしく高貴な雰囲気が漂っている。シャンデリアやベッドキャノピーは唖然とするしかない。
「我らがアステロム王国は、ここを日本の位置とすると太平洋のハワイとなる」
「結構遠いんだな……」
オレとヤマミ、勇者ナッセ&魔法少女リョーコ、新キャラのベニマル、ジュビカは二人部屋。
ジャキガン生徒マジンガ、ジャオウ、ヒンケール、ラーシルト、ウギン、ナッツ、カイガンとモブ生徒三十五名は一人部屋。
大阪組フクダリウスと邪険モリッカ、サラクとミキオは二人部屋。
リョーコ、エレナ、マイシ、モリッカ、コハク、スミレ、モエキ、カグヒメル、ナガレ、エガラは一人部屋。
グランドルフも一人部屋に入れて「大人しくしててくれ」と命令しておいた。
これで部屋は割り振りできたぞ。(キャラ多すぎ問題)
なので、大広間で大窓から景色を眺める事にした。ヤマミと一緒に二人きりだぞ。
飛空艇は上下大地の真ん中辺りを航行しているようで、雲がモワモワ漂っている。
地上で例えれば対流圏辺りで十キロぐらいの高さっぽいな。
下を見れば、小さくなったプラネンタ王国が窺える。
「うわぁ……、地底境域界ってすごく広いんだな……」
「そうね。上の大地まで三十キロぐらい?」
上を見ても遠い天井が窺える。
それに約数百メートル幅の大きな岩柱があちこち点在していて、遠くほど霞んでいる。
やがて迫り来る岩壁に飛空艇がそのまま衝突、……と思ったら景色がギュルギュル歪み始めたぞ。
なんかチャプチャプと水面に入った感覚がする。
プレートスライドってやつか?
「失礼する。二日間はプレートスライドで航行しているので、慌てず気を楽にして欲しい」
ラディ〇ツみたいなハツカダイが丁重にお辞儀して説明してくれた。
その気になれば数時間程度でたどり着くらしいんだけど、豪華客船なので超ゆっくりでアステロム王国へ着く予定だそうだ。
「おいおい、大丈夫かよ? 水闘神が活動してんだろ?」
「ミズミール女王さまが褒美を与えたいとの事で飛空艇を手配されました。それに水闘神は更に東へ移動して、あなた方で言う北アメリカ大陸辺りで国を滅ぼして陣取り、その報告を受けたヒーロー協会が食い止めているそうです」
「でも水闘神は不死身だから、仕留めきれていないのが現状って事?」
「……さすが分かりますね」
「やっぱか」
地闘神と同様、絶対殺せないのでヒーロー側も手間取っているそう。
とはいえ水闘神の方も、ヒーローたちに足止めされているから猶予はあるんだそうだ。
だから急がなくてもいいらしい。
「いつも気を張り詰めてたらしょうがないもんな」
「そうね。ゆっくりしましょう」
食堂はバイキングなので好きな料理を持ってきて食べ放題だったぞ。
リョーコとエレナが欲張って腹を膨らましているのには笑った。モエキがウギギギとストーカーしてくるのは勘弁だけど、気づかないフリしておいた。
「ノーヴェンいたら楽なんだけどなぁ。作戦立てやすいし」
「個人的に来て欲しくないけど、色々な策を思いつくのは心強いものね」
するとフクダリウスがパーカー姿でやってきたぞ。いつも半裸ってワケにはいかんか。
「誘ったが、ノーヴェンは断ってきた。婚約者とコミュケーションするのに忙しいんだとか……」
「そっか……ハーレムのアイツらしいな」
「うむ」
どーせ酒池肉林的な事でもしてんじゃねーか? ←当たり!
「スミレはやっぱりブラクロから逃げる為?」
「……分かるのか?」
やはりヤマミの推測は当たっていたようで、フクダリウスは頷いた。
ブラクロに束縛されがちなので、自由を得る為にスミレが急遽参加したって感じか。
「助けてくれえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」
悲鳴声に振り向くと、ブラクロが捕縛したスミレを肩に抱えて去っていくのが見えた。悲鳴が遠のいていくけど、オレはどうしようもないぞ……。
……つかの間の自由だったなー。←他人事。
しかしまさかブラクロが追っかけてきたとはな。その執念ヤマミといい勝負だ。
「さ、行くか」
「ええ」
気にしない事にして場内を散策していったぞ。
オーケストラ、映画、ショッピング、ダンス、レジャープール、ゲーセン、カードゲーム……色々と楽しめた。
後半は気にしないでくれ。
広い客室のソファーでオレとヤマミはくつろいでいた。
「もう夜かぁ……」
「時計があるのはありがたいわね」
「窓の景色は相変わらずグルングルンしてるなぞ」
「通れないはずの大地の中を、プレートスライドで進んでいるらしいからね」
スライドしまくって“通れる道”を進み続けているって事か?
窓の景色は大地が勝手に蠢いているのが見える。パズルのように無数のパーツが組み立て直されたりする動きである。
映画のインセ〇ションやドクタースト〇ンジとかみたいな……。
「そういやテレビでプロキシマ星へ行く為に大きな宇宙船作ってるって話だっけ?」
「そうね。これもプレートスライド理論で星間航行するらしいわ」
なんかものすげぇテクノロジーを目の辺りにしてる気がする。
これも平成文明開化ってやつか……。




