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373話「地底境域界の救世主ナッセ!?」

 翌朝、朝日のように窓から暖かく日差しが見える。

 オレとヤマミはベッドから身を起こして、互い顔を見合わせた。


「おはよう。ナッセ、どう?」

「……いや、例の夢は見れてないぞ」

「そう」


 昨日の出来事を予知夢として見てしまったのは偶然なのか、それとも未だ見ぬスキルか?

 とにかく、そういうのが自分の意志で見れたらチートだ。昨日のように都合の悪い未来を潰せるからな。




 ミズミール女王へオレたちは跪いていた。


「予知夢は自由に見れないのだな?」

「そうみたいです。そもそもスキルなのかどうかも……」

「ふむ」


 ミズミール女王とギョヌは見合わせる。


「今後の事だが、他の闘神(バトキア)が復活してくる可能性もある。現に『水闘神(アクリアル)』が不穏に活動しておる」

「また襲って来るんですか?」


 しかし否定するように首を振ってきたぞ。


「それがじゃ……、遠くの国へ足を運んでいた王国兵によると『水闘神(アクリアル)』は拠点を作って勢力を拡大しておるようだ。そこの地闘神(アスラリオ)と違って暴れまわってこない」

「ナノマギア・オリジンで他人を支配していけば手駒にできるもんな」

「うむ。お主に“それ”が付いて、真相が判明しただけでも大きな収穫じゃ」

「このままじゃゾンビが増えて厄介になるんじゃないのー?」


 リョーコの言う通り、放っておけば数の暴力で押し切られる危険がある。

 ナノマギア・オリジンを特権としている闘神(バトキア)は支配欲があり、それは人類共通の敵とも言える。

 闘神(バトキア)同士()()で潰し合うなら楽だがなぁ。


「どの道、我々は巻き込まれるだろうし、勝ち抜き戦で一人残っても、闘神(バトキア)は明確な敵。そこでお主らが希望じゃ。同盟国を助けてくれはせぬか? 褒美は弾むぞ」

「ああ、そのつもりだぞ」

「そうね。闘神(バトキア)が地上へ襲ってこないとも限らないし」


 そういうわけで地底境域界(サブタレニアン)通行証を発行してもらった。

 ついでに金箔押しの黒いメダル『特命許可書』を授けてもらった。


「王国関係者にこれを見せるか読み取らせるかすれば、無条件で立ち入りを許される。この中に特殊なナノマギアがあり、本物だと証明できる。ちなみにこれを所有している者はほとんどおらん」

「い、いいんですか……? オレたち地上のクロマ人なんですが……?」

「ナッセ殿はもはや人外の妖精王。そしてナノマギア・オリジン所有者。他の闘神(バトキア)のようにならんだろう。故に我らが救世主にもなりうる」


 ニッコリとミズミール女王に言われちまう。

 ここまで全幅の信頼を寄せられるとプレッシャーを感じるぞ。

 だが、まぁ警戒されたり敵対されたりするよかマシか……。


「時に、これから厄介な事になるやも知れぬ」

「ギョヌ……?」


 ギョヌは後頭部を掻く。


「グランドルフが言っていたが火星にいる火闘神(カヴァリン)も、もしかしたら目をつけてくるかもしれん」


 そういや、コイツだけは火星に行ったから封印などされず健在なんだよな。

 もちろんヤツもナノマギア・オリジン所有者なので、同じ所有者であるオレたちとも敵対するだろう。

 早い話『チート独占したいんで同業者は死んでね』って事だしな。


「巻き込むなっちゅーに……」

「済まぬ」


 オレがジト目で突っ込むと、ギョヌはバツが悪そうに頭を下げてくる。

 乗りかかった船だし、やるしかねぇな……。


「まずこの国の防衛力を強化させてもらう。また闘神(バトキア)が襲ってこないとも限らない」

「それもそうだな……」



 とりあえずナノマギア・オリジンに『武器の超復元&敵のナノマギア・オリジンを制圧&持ち主を寄生禁止』を設定して、この国の武器に注入した。

 これで敵の闘神(バトキア)が襲ってきても、兵の物量でダメージは与えられる。


 王国兵はザワザワして、アーティファクト生成武器を手に取っていく。

 剣やら弓矢やら槍やら砲丸やら、なるったけ用意している。


「これも無欲なナッセならではの特性か……?」

「グランドルフを始め、ナノマギア・オリジン所有者はそんな事しないもんな」

「部族どもがゾンビにされたように、ヤツらは支配して手駒にするしか考えない。協力して戦おうなんて発想はないからな」

「これなら我らでも闘神(バトキア)とも戦えるぞ!!」


 ナノマギア・オリジンを注入された武器はボワッと光を纏うようになった。

 力を込めればオレ固有スキル『ナノマギア・オリジン特攻』が発揮されるらしい。

 普通にナノマギア・オリジン同士で傷つけるよりも、もっと大ダメージを与えるやつ。


「なんかダイヤモンドでピキピキなると思ってたんだがなぁ……」

「ハハハハハッ!! それは地闘神(アスラリオ)たる我の固有スキル! 今度はお主の属性が成せる固有スキルだ!」


 グランドルフはピキピキとダイヤモンドで皮膚を覆っていく。しかもボワッと光が灯る。

 両方の固有スキル持ってるみてーだ。

 ……とは言ってもコイツはゾンビだし、オレの傀儡(かいらい)だからこそか。


「グランドルフ……悪いな。闘神(バトキア)を全滅させたらナノマギア・オリジンは廃棄する。きっとおまえは死ぬ」

「おう!! もはや我はお主の手足も同然!! 好きに我を使え!」

「うん……まぁ……」

「フハハハハッ!! こっちはこっちで楽しいからな!!」


 それしか言えないの分かってる。

 都合よくボスに従うゾンビ、それも生前のグランドルフを再現しているソックリさんなんだよな……。


「それからグランドルフに命ずる! 小さいのになれ!」

「承知した!」


 ポンとミニサイズのグランドルフに縮んで、オレの肩に乗ってもらった。

 まるでデフォルメした感じでかわいい。

 ナノマギア・オリジンはそれさえも可能にする。ただ闘神(バトキア)としては必要がないから、こんな事はしない。


「これで他の国に驚かれる事はないはず……」

「そうね」


 いきなり地闘神(アスラリオ)グランドルフが一緒だと誤解されちゃうからな。

 これまで大虐殺してきたからなぁ……。



「さて、プラネンタ王国の同盟国へ行くか!」

「ミズミール女王は『アステロム王国』と言ってたわね」

「ああ」


 港まで行くと豪華船が浮いているぞ。タイタニック号みてぇ!

 大勢のネアンデル人がワイワイ賑わっているようだ。

 ギョヌが待っていて「飛空艇(フライデー)に乗るがいい。行き先は同盟国だ」と手を差し出した

 これもナノマギアによる大掛かりなアーティファクト生成だというのは知っている。


「では行くか!!」

「「「「おおおおおおおーっっ!!!」」」」

「いえーい! いええい!!」


 オレとヤマミを筆頭にジャキガン生徒とフクダリウスたちは飛空艇(フライデー)へ乗り込んでいった。

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